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映画『007 私を愛したスパイ』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『007 私を愛したスパイ』の概要:007シリーズの第9作目。核ミサイルを搭載した英国とソ連の潜水艦がことごとく消息を絶った。007ことジェームズ・ボンドは、ソ連の美人スパイと共に潜水艦の行方を追ううちに、世界を破滅に導く海運王の巨大な野望にたどり着く。監督は、本作品のほかにも『007は二度死ぬ』『007 / ムーンレイカー』などを手掛けたルイス・ギルバート。

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映画『007 私を愛したスパイ』の作品情報

007 私を愛したスパイ

製作年:1977年
上映時間:125分
ジャンル:アクション
監督:ルイス・ギルバート
キャスト:ロジャー・ムーア、バーバラ・バック、クルト・ユルゲンス、キャロライン・マンロー etc

映画『007 私を愛したスパイ』の登場人物(キャスト)

ジェームズ・ボンド / 007(ロジャー・ムーア)
英国諜報部MI6に所属するスパイ。元は海軍軍人で、階級は中佐。卓越したスパイ活動の能力を持ち、柔道など格闘術にも長けているが、美女に弱いのが玉に瑕。アニヤの発言から、一度結婚したが妻を亡くしたことが分かる。愛飲しているお酒は、シェイクしたウォッカマティーニと、ドン・ペリニヨン。
アニヤ・アマソヴァ / トリプルX(バーバラ・バック)
ソ連KGBのスパイで階級は少佐。英ソ両国の潜水艦捜索ミッションをボンドと共に遂行する。オーストリアで恋人を英国諜報部員に殺されるが、その諜報部員がボンドであったことを知り、ミッション遂行後にボンドを殺そうとする。
カール・ストロンバーグ(クルト・ユルゲンス)
ストロンバーグ商船を率いる海運王。海底都市を建設し、そこに人類を移住させる計画を立てているが、その計画を推進するため、地上の大都市を核ミサイルで壊滅させようとする。その野望を実現させるために、英ソの潜水艦を略奪した。
ジョーズ(リチャード・キール)
ストロンバーグに雇われた殺し屋。強人な肉体と鋼鉄の歯を持ち、ボンドを窮地に追い詰める。ストロンバーグの基地、アトランティスが爆破したときに海洋に放り出されるが、そのまま泳いで姿をくらます。後に『007 / ムーンレイカー』にも登場する。
M(バーナード・リー)
ボンドの上司。たびたび命令を無視し、破天荒な行動をとるボンドに手を焼く一方、ボンドの才能を高く評価し、今回のミッションでも政府高官に「Best man(最高の男)」と紹介している。本名は伏せられていたが、ゴゴール将軍が一度だけMを「マイルズ」と呼ぶシーンがある(日本語字幕では翻訳されていない)。
Q (デスモンド・リュウェリン)
英国諜報部の発明家。ボンドために武装したロータス・エスプリを用意する。その車は多数の武器を備えているほか水中を回遊することもできる水陸両用車で、ボンドの危機を救う。Qの本名は公表されていなかったが、アニヤが一度だけQのことを「ブースロイド少佐」と呼ぶシーンがある。
ゴゴール将軍(ウォルター・ゴテル)
ソ連の将軍で、アニヤのボス。東西冷戦期であったが、消息を絶った潜水艦の捜索を英国と共同で行う決断を下す。その発言や部下のアニヤの言動から、英国情報部の内部情報にかなり詳しいことがわかる。
カーター艦長(シェーン・リマー)
英国潜水艦の艦長。英潜水艦「レンジャー」の捜索に協力するためボンドとアニヤを艦に乗せるが、ストロンバーグの罠にかかり潜水艦は拿捕され、乗組員と共に拉致されてしまう。しかし、ボンドと共に脱出し、ストロンバーグの計画を阻止するため勇敢に戦う。

映画『007 私を愛したスパイ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『007 私を愛したスパイ』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『007 私を愛したスパイ』のあらすじ【起】

英潜水艦「レンジャー」とソ連潜水艦「ポチョムキン」が相次いで消息を絶った。レンジャーは核ミサイル16基を搭載しており、ポチョムキンも同様に核ミサイルを搭載している。
事態を重く見た英国政府は、諜報部のMに潜水艦の捜索を命じる。Mはオーストリアにいるジェームズ・ボンドを呼び出した。

その頃、ボンドはオーストリアの山小屋で女性とベッドを共にしていた。Mからの呼び出しに渋々女性と別れ、小屋を出るボンド。しかし、相手の女性はロシアのスパイで、小屋の外ではボンドをロシアの刺客が待ち伏せていた。

小屋からスキーで山を滑り降りるボンドを、ロシアのスパイ集団が銃を発砲しながら追ってくる。ボンドはストックに仕込んだ銃で敵を倒し、敵の包囲を破って断崖からスキーでジャンプ。あわやそのまま落下して即死かというところで英国旗のパラシュートを広げ、難を逃れた。

英国軍艦の艦上にヘリコプターで降り立ったボンドは、艦内の作戦室で国防大臣と軍の高官から、潜水艦レンジャーが消息を絶ったいきさつを聞く。レンジャーは潜水艦追跡システムによって、その航路が完全に読まれていた。ボンドは、そのシステムのマイクロフィルムが売られていたというカイロに向かう。

同じ頃、潜水艦ポチョムキンの行方を捜していたソ連のKGBも、同じマイクロフィルムの情報を入手していた。KGBのゴゴール将軍は、優秀なスパイである「トリプルX」ことアニヤ・アマソヴァ少佐をカイロに派遣する。

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映画『007 私を愛したスパイ』のあらすじ【承】

海運王、カール・ストロンバーグは、自らの海洋研究所の部屋に2人の研究者を招いていた。2人は潜水艦追跡システムの開発に協力した報奨金をもらえることで喜んでいた。しかし、ストロンバーグは、その場にいた女性の秘書を海中に放り込み、サメの餌食にして殺させた。秘書は追跡システムのマイクロフィルムを外部に売りさばいていたのだ。

2人の研究者は震え上がったが、無事その場から解放され、ヘリで陸地に送り届けられることになった。しかし、ストロンバーグの指示により、ヘリは洋上で大破。研究者はシステムの秘密が漏洩しないよう、暗殺された。

その頃、カイロに着いたボンドは、マイクロフィルムがマックス・カルバという人物の手に渡っているという情報を入手する。さらに、カルバに会うためには、アジズ・フェケシュという人物を介さなければならないという。そこでフェケシュを訪ねたボンドは、ストロンバーグの部下のシャンドアから命を狙われる。

格闘の末、シャンドアを建物の屋上から突き落としたボンドは、フェケシュの居所をつかんで夜のピラミッドの鑑賞会に向かう。しかし、フェケシュはストロンバーグに雇われた殺し屋のジョーズに殺される。ボンドが駆け付けた時には、フェケシュは殺された後だった。ボンドはフェケシュの手帳から、カルバの居所を突き止める。

カルバはマハラジャ・クラブという高級クラブの経営者だった。クラブを訪れたボンドは、KGBのスパイ、アニヤと出会う。2人がカルバと接触し、マイクロフィルムを入手しようとしたとき、カルバに電話が入る。電話に出たカルバは、電話工事の作業員に扮してクラブに潜入していたジョーズの鋼鉄の歯でかみ殺される。フィルムもジョーズに奪われてしまった。

カルバが殺されたことに気づいたボンドとアニヤは、ジョーズが逃走する電話工事の車の荷台に忍び込む。ジョーズはそれに気づいていたが、わざと気づかぬふりをして2人を乗せたまま砂漠の中の遺跡に向かう。遺跡に着いたジョーズは、ボンドたちを殺そうとするが、2人は協力してジョーズを倒し、フィルムと車を奪って逃走する。

しかし、車は砂漠の真ん中で、ガス欠で止まってしまう。『アラビアのロレンス』のテーマが流れる中、2人は砂漠の中を歩き続けるが、ようやく川にたどり着き、そこでカイロ行きの帆船を拾う。

帆船の中で、ボンドは用意してきた装置を使ってマイクロフィルムの中身を見た。そこには潜水艦追跡装置の概要が書かれていたが、肝心の技術情報が抜けていた。

アニヤはボンドに気を許したふりをして彼に近づくと、煙草を口に加えた。火をつけようとするボンドに、煙草の先から粉末をボンドの顔に吹きかけると、それを浴びたボンドは気を失った。船がカイロに着き、ボンドは目を覚ますが、アニヤはフィルムを持って姿をくらましていた。

ボンドは、カイロにある諜報部の秘密基地に向かった。するとそこには、KGBのゴゴール将軍とアニヤが待ち受けていた。そしてMが現れ、今回の潜水艦捜索を英ソ両国が共同して行うことになったと説明する。

ボンドは、Qにマイクロフィルムの解析を依頼する。そして、その拡大図に映っていた、ストロンバーグ商船の海洋研究所とのつながりを発見する。ボンドとアニヤは、2人で研究所のある地中海のサルデーニャ島に向かった。

映画『007 私を愛したスパイ』のあらすじ【転】

サルデーニャに向かう寝台列車の中。個室で着替えようとクローゼットを開いたアニヤを、そこに潜んでいたジョーズが襲う。2人が争う物音に気付いたボンドは、アニヤを助けに入るが、ジョーズの怪力で天井や壁に叩きつけられる。

ボンドはルームライトのコードを引き抜いてジョーズの鋼鉄の歯に当て、電気ショックを与えた。そして、ジョーズがひるんだ隙に、彼を列車の窓から外に蹴り出した。命を救ってくれたボンドにアニヤは感謝し、その夜は2人でベッドを共にした。

サルデーニャに着いたボンドたちを、Mが待ち構えていた。Mはボンドのために、武装したロータス・エスプリを用意していた。ホテルに着いたボンドとアニヤは、偽装して海洋生物学者のスターリングとその妻になりすましていたが、おかげでストロンバーグからの招待を受けることに成功する。

ストロンバーグの海洋研究所は、実はアトランティスという秘密基地だった。海洋生物学者としてそこに招待されたボンドは、ストロンバーグから研究所内の海洋魚の名を尋ねられ、一瞬答えに窮する。しかし、すぐにプトロイス・ヴォリタンズという魚の名と特徴を挙げ、ストロンバーグの警戒感を解いた。

しかし、ボンドとアニヤの正体は、その後間もなくストロンバーグの知るところとなる。ジョーズが基地に戻り、2人の正体を知らせたからだ。ストロンバーグの命令を受け、その部下がジョーズと共にボンドを暗殺に向かう。

一方、ボンドはもう一度ストロンバーグの研究所を詳しく調べるため、ロータス・エスプリでホテルを出る。ボンドとアニヤの乗った車は、武装したサイドカー、自動車、ヘリと、ストロンバーグの命を受けた刺客たちのさまざまな攻撃を受けるが、Qの用意した装備がボンドたちを救う。

しかし、ヘリからの機銃攻撃に逃げ切れなくなったボンドは、車ごと海中に飛び込む。すると車は潜水艇仕様に切り替えられ、水中から小型ミサイルを発射して追撃するヘリを爆破した。

ホテルに戻ったボンドとアニヤだったが、会話の中から、ボンドがオーストリアで殺したソ連のスパイが、実はアニヤの恋人であったことが明らかになる。アニヤはこのミッションが終わった後、ボンドを殺すと宣言する。

映画『007 私を愛したスパイ』の結末・ラスト(ネタバレ)

ボンドとアニヤは、ストロンバーグが所有する巨大貨物船リパラス号を探るため、アメリカの潜水艦に同乗させてもらう。しかし、艦の電気系統は妨害電波によって麻痺してしまい、緊急浮上した艦は、巨大なリパラス号の船首の開口部から、船内に取り込まれてしまう。

リパラス号に中には、消息不明の英ソの潜水艦が停泊していた。新たに格納されたアメリカの潜水艦からは、カーター艦長をはじめ乗組員全員が艦外に出され、拘留された。そのとき乗組員のふりをしていたアニヤの帽子がはぎ取られ、長い髪が露わになると、一緒にいたボンドと共に、ストロンバーグに発見されてしまう。

アニヤはストロンバーグによってボートに乗せられ、アトランティスに連れていかれた。ストロンバーグは略奪した英ソの2隻の潜水艦に核ミサイルを搭載し、リパラス号から発進させる。彼の目的は、自らが開発する海底都市に人類を移住させるため、地上の大都市であるニューヨークとモスクワを核ミサイルで壊滅させることだった。

一方、ボンドはストロンバーグの部下に殺されることになり、連行されていた。しかし、途中でボンドは水中銃を使って敵を倒し、機銃を奪うと、潜水艦の乗組員たちを解放する。

乗組員たちが武器庫から銃を奪うと、リパラス号の船員たちの間に銃撃戦が始まり、潜水艦の乗組員たちが船をほぼ制圧した。しかし、リパラス号の司令室には頑丈な防壁が張り巡らされていて中に入れない。近づこうとすると、壁の銃窓が開いて攻撃される。

そこでボンドは、武器庫にあった核ミサイルの起爆装置を取り外し、司令室の壁を爆破する。敵の司令官は爆破で死亡し、ボンドたちは船を完全に制圧した。

すでに発進した潜水艦2隻からは、核ミサイルが発射されようとしていた。ボンドとカーター艦長は、司令室からの指令と偽装して、それぞれの潜水艦に指示を送り、攻撃目標の座標を変更させた。その目標とは、お互いの潜水艦だった。

ボンドたちの計略は成功し、2隻の潜水艦は互いに向けてミサイルを発射し、吹き飛んでレーダー上から消えた。しかし、安心したのも束の間、タンカーは戦闘による爆撃で船体の方々が爆破し、沈み始める。ボンドと潜水艦の乗組員たちは、残ったアメリカの潜水艦に乗り込み、リパラス号の船首を魚雷で破壊して脱出する。

カーター艦長に、ストロンバーグの秘密基地であるアトランティスを至急、魚雷で攻撃するよう、指令が下る。至急とは「5分後」を意味した。ボンドは囚われているアニヤを救うため、1時間待ってほしいと艦長に頼む。艦長は軍法会議にかけられることを覚悟で、ボンドに1時間の猶予を与えた。

Mの用意してくれた水上バイクでアトランティスに乗り込んだボンドは、仕掛けられた罠をかいくぐってストロンバーグの部屋に行き、彼を射殺する。そして、アニヤを救出に向かうが、その行手に、またしてもジョーズが立ちはだかる。

しかし、その時には、ボンドはジョーズの攻撃スタイルを熟知していた。ジョーズの攻撃を交わすと、ボンドは彼をサメのいる水槽に突き落とす。ジョーズはサメに食い殺されるかと思いきや、逆に鋼鉄の歯でサメを噛み殺した。

ボンドはアニヤの救出に成功するが、カーター艦長との約束の1時間が過ぎ、アトランティスへの魚雷攻撃が始まった。脱出用のドアも開かなくなり、万事休すの2人だったが、ストロンバーグが使う脱出ポッドを発見し、基地が海底に沈む寸前に脱出する。その頃、ジョーズも基地を脱出し、洋上を泳いで逃げて行った。

こうしてミッションは終わった。しかし、それはアニヤがかつての宣言通り、ボンドを殺す時が来たことを意味していた。ボンドに銃口を向けるアニヤ。しかしボンドは、それをいつものようにユーモアで交わす。アニヤはボンドを殺すことをやめ、2人はポッドの中で抱き合う。

Mとゴゴール将軍が乗る軍艦がボンドたちの救出にやって来て、ポッドは回収される。しかし、自分たちが救出されたことに気づかず、ポッドの中で裸で抱き合うボンドとアニヤを見て、Mと将軍は呆れ返るのだった。

※エンドロールの最後に、『007/ユア・アイズ・オンリー』に続く、というテロップが流れる。

映画『007 私を愛したスパイ』の感想・評価・レビュー

ルイス・ギルバートが監督を務めた作品『007は二度死ぬ』、『007 ムーンレイカー』、そして今作はシリーズの中でもかなり評価が低いんですよね。しかし、個人的にはロジャー・ムーアボンドのお茶目で少しおバカっぽい雰囲気にはマッチしていて良い意味でカタにはまらず、面白い作品になっていたと思います。
シリーズ10作目ということもあり、セルフオマージュっぽいシーンもあるのでぜひ見逃さないで欲しいです。ラストにユア・アイズ・オンリーに続くと出ますが、次作は急遽作られたムーンレイカーです。(女性 30代)


シリーズ屈指のヒット作。確かに他の作品と比べても全体に引き締まった感があり、真面目な007作品だと思う。その真面目さも近年のそれとは異なり、ロジャー・ボンドならではの軽やかさとのバランスが絶妙だ。冷戦時代の宿敵であるソ連の女スパイとの共同作戦という点も、ストーリーに華を添える。海上の敵アジトの豪華さ(?)や、水中走行も可能なボンドカー等、ハード面の見所も十分。唯一残念なのは、敵が「スペクター」ではないことだ。しかしだからこそ内輪ウケではない、007シリーズファン以外の人にも入りやすい1本かもしれない。(男性 40代)

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