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映画『100歳の華麗なる冒険』あらすじネタバレ結末と感想

映画『100歳の華麗なる冒険』の概要:世界40か国で翻訳され800万部を超える大ベストセラーとなったヨナス・ヨナサンの「窓から逃げた100歳老人」をスウェーデンのフェリックス・ハーグレン監督が映画化。100歳の老人アランの冒険に満ち溢れた人生を痛快に描く。

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映画『100歳の華麗なる冒険』 作品情報

100歳の華麗なる冒険

  • 製作年:2013年
  • 上映時間:115分
  • ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ、ファンタジー
  • 監督:フェリックス・ハーングレン
  • キャスト:ロバート・グスタフソン、イヴァル・ヴィクランデル、ダーヴィッド・ヴィーベリ、ミア・シャーリンゲル etc

映画『100歳の華麗なる冒険』 評価

  • 点数:80点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★☆

映画『100歳の華麗なる冒険』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)

映画『100歳の華麗なる冒険』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

映画『100歳の華麗なる冒険』 あらすじ【起・承】

アラン・カールソン(ロバート・グスタフソン)はスウェーデンの田舎町にある老人ホームで100歳の誕生日を迎える。お祝いのパーティが始まる直前、アランは窓から脱走する。

アランのこれまでの人生は実に波乱万丈だった。爆破マニアのアランは11歳で孤児となり“人生なるようにしかならない”という母の遺言通り、流れに身を任せて生きてきた。爆破実験のやり過ぎで精神病院に入れられ、スペインの内戦でフランコ将軍と知り合いになり、アメリカで原子爆弾の開発に関わり、ソ連でスターリンと会い、最終的には冷戦時代のアメリカとソ連で二重スパイをしていたというすごい過去を持つ人物だ。それも自分で望んだわけではなく、何となくそうなって世界各地を転々としてきたのだった。

そんなアランは100歳となり、またフラフラと冒険の旅に出る。近所の駅でビーリンゲンまでのバスの切符を買ったアランは、ギャングのブルテンからスーツケースの見張りを頼まれる。しかしバスが来たのでスーツケースを持ったまま、バスに乗ってしまう。

閉鎖になったビーリンゲン駅にはユリウスという男が暮らしており、アランは彼の世話になる。追いかけてきたブルテンを冷凍室に閉じ込めスーツケースの中を確認すると、そこには5000万クローナの大金が詰まっていた。しかも酔いつぶれた2人はブルテンのことを忘れて寝てしまい、ブルテンは凍死してしまう。

バリ島にいるギャングのボス・ピムはブルテンの兄貴分であるイェッダンに再三5000万クローナを早く送れと催促していた。イェッダンは部下のヒンケンにブルテンと金の行方を追わせる。さらにアランが行方不明になったことで、警察も動き出していた。

アランとユリウスはブルテンの死体をジブチ行きの輸送荷物に詰め込み、金を持って逃走する。途中で気弱な青年・ベニーの車に乗せてもらい、湖のそばにあるグニラという女性の家に行き着く。そこにはグニラの元彼がサーカスから盗んだ象がいた。グニラは渋々彼らの宿泊を許すが、そこへ元彼がやってきたことで事態は急変。なんと元彼はギャング一味の弟分で、アランたちの居場所がギャングたちにバレてしまう。

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映画『100歳の華麗なる冒険』 結末・ラスト(ネタバレ)

金を取りもどすため、銃を持ったヒンケンがグニラの家へやってくる。しかしヒンケンは象のお尻の下敷きとなり窒息死してしまう。ユリウスはヒンケンの死体を燃やすため、車で出かけるが、死体ごと車は盗難される。

アランは誕生日のお祝いを言うため電話をしてきた昔の友人の息子・アレクにこの状況をそのまま全部しゃべる。自家用飛行機を持っているアレクは、彼らを好きなところへ連れて行ってやると言ってくれる。

アランたちは飛行機が着陸できる場所までサーカスのトラックで出発する。ところがその道中、彼らを追ってきたイェッダンの車と衝突し、彼らは怪我をしたイェッダンをギャングとは知らずにトラックへ乗せる。イェッダンは頭を打って記憶喪失になっていた。

バリ島のパムは金が届かないことに苛立ち、イェッダンに脅しの電話を何度もかけるがイェッダンは何のことかわからない。さらにアランがイェッダンにどこへ行きたいか尋ねると“バリ”と答え、一行は飛行機でバリへ行くことにする。

アランがギャングに誘拐されたと思い込んで捜索を続けていた警察は、ようやくアランたちを発見する。ところがブルテンの身分証明書がジブチの自爆テロ現場で見つかり、車の解体所ではヒンケンの死体が出てきたので、ギャングとアランは無関係であると判断する。犯罪性がないのなら問題ないとして、警察はアランの捜索を打ち切る。

一行はバリへ飛び、南国の島を満喫する。ところがアランたちがドライブ中、パムの車と隣り合わせになる。パムはネットでアランの顔を確認し、彼らが金を持ち逃げしていることを知っていた。パムは急いで彼らの車を追うが、トラックと正面衝突して死んでしまう。

バリの海辺でアランは恋に落ちたベニーとグニラを見つめながら、ユリウスと酒を飲む。一緒にバリまで来た象も楽しそうに波と戯れていた。

映画『100歳の華麗なる冒険』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『100歳の華麗なる冒険』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

シュールな笑いがてんこ盛り

100歳を迎えたアランが爆発音に誘われて老人ホームの窓から脱走を図ったことで奇想天外な冒険の旅が始まる。その現在の冒険と並行してアランの過去を回想するという構成で物語は進む。このアランの過去が波乱万丈どころではない、とんでもない過去なのだ。

アランが絡んできた歴史上の人物がすごい。スペイン内戦を引き起こしたフランコ将軍。アメリカの物理学者で原子爆弾開発の第一人者オッペンハイヤー博士。トルーマン大統領にレーガン大統領。ソ連のスターリンにゴルバチョフ。一番笑ったのはアルベルト・アインシュタインの弟ヘルベルト・アインシュタイン。もちろん彼は架空の人物(多分)で、姿形はあの世紀の天才アインシュタインにそっくりなのだが、中身は正反対でものすごいバカ。ソ連の強制収容所でアランとヘルベルトは友達になり、脱走計画を練る。ところがヘルベルトがバカすぎて、どうしても計画(超簡単)が理解できない。その間抜けなやりとりには爆笑してしまった。

本作にはこの手のシュールな笑いがてんこ盛りで、ツボに入り始めるとそこが妙におかしい。物語後半ではアランたちと一緒に巨大な象が行動を共にしており、それだけでも相当シュール。犬や猫ではない。逃亡仲間がでかい象なんだから。自由すぎる。

アランという人の生き方

アランはただの爆破マニアで、何の思想も持たない。彼の座右の銘は“人生なるようにしかならない”であり、流れに任せて生きているうちにあらゆる歴史上の重大事件に絡んできた。しかし本人にその自覚はない。ここら辺は「フォレスト・ガンプ/一期一会」を彷彿とさせる展開なのだが、本作はあくまで徹底的にコメディだ。フォレスト・ガンプは無自覚ながら色々と頑張っていたが、アランは全く頑張らない。

この“頑張らない”という生き方は、真似できそうでできない。たいていの人には一度きりの人生を精一杯生きたいとか、楽しみたいという欲がある。さらに他人からどう見られているかを常に意識してしまうという悲しい性がある。先のことなんて誰にもわからないのだから考えても仕方ないと思いながらも、今やりたいことを我慢してせっせと貯金をし、健康のために節制してはストレスを溜めていく。

そんな小市民的生き方を否定するつもりは全くないが、アランを見ているともう少し肩の力を抜いて生きてみるのもいいかもしれないと思えてくる。アランの自由は天涯孤独の境遇と引き換えにあるのだとわかっていても、明日は明日の風が吹くという気ままな旅をしてどこかで野垂死ぬのもいいだろうなと夢想してしまう。夢のまた夢のような話だけれど。

映画『100歳の華麗なる冒険』 まとめ

個人的にとことんバカバカしいコメディは大好きなので、この奇想天外な物語は素直に楽しめた。かなり強烈なエピソードが詰め込まれ人もたくさん死ぬので好き嫌いが分かれるだろうが、この世界観にうまく入り込めれば相当面白いはず。出来事の大小に関わらず全くシリアスさを感じさせない演出には高いセンスを感じたし、好感が持てた。

主人公のアランを青年期から100歳まで演じきっているロバート・グスタフソンはスウェーデンの国民的コメディ俳優だそうで、その演技はお見事。特に100歳のアランを演じる際のおっとりした動きと絶妙な間の取り方は素晴らしい。撮影時の実年齢が48歳だと知れば、彼の凄さがわかるだろう。

北欧の笑いがこんなに自分好みだったとは、思いもよらぬ発見で新鮮な驚きだった。アランの動きやボケが吉本新喜劇の竜爺(井上竜夫)のようだったことも付け加えておきたい。

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