映画『秋日和』あらすじとネタバレ感想

秋日和の概要:『秋日和』は、母と娘の愛を描いた、小津安二郎監督作品。里見弴の原作がもとになっており、小津監督が脚色を加えた。「紀子三部作」において若い娘を演じていた原節子が、今回は母を演じる。

秋日和 あらすじ

秋日和
映画『秋日和』のあらすじを紹介します。

八年前に亡くなった三輪の七回忌に集まった三輪の友人三人と、三輪の妻の秋子、その娘のアヤ子。
アヤ子は二四歳で、結婚適齢期。母と娘二人きりでつつましく暮らすことを心配して、三人はアヤ子の結婚のためにあれこれ考える。三人が持ってきた縁談に秋子は喜ぶが、アヤ子は断る。自分が結婚することで一人になってしまう母が気がかりだったのである。

だが、三人の友人の一人の間宮は、相手にと思った後藤とアヤ子がよく似合っていると思い、なんとか結婚させてやりたいと考える。そこで三人が思い至ったのが、秋子も再婚すればアヤ子も安心して嫁げるのではないかということだ。
三人は秋子に持ち掛けるも、当の秋子には再婚する意志が全くなく、思い通りにはいかない。反対に、秋子の再婚相手として丁度いいと言われた平山は、すっかりその気になってしまっていた。
間宮から母に再婚話があると聞いたアヤ子はショックを受け、秋子と喧嘩になる。
友人の百合子に相談する。秋子にも事情を聞いた百合子は、秋子の再婚話が秋子の知らぬ所で勝手に始まっていたことを知って怒り、間宮・田口・平山を集めて問い詰めるが、話す内に彼らの考えを知り、百合子も協力することになる。

秋子とアヤ子は温泉旅行にでかけた。そこで秋子は、やはり再婚はせず、一人でいたいのだとアヤ子に伝える。娘には幸せになってほしいと思いを伝え、二人は和解する。

アヤ子の結婚式が終わった後、秋子は一人でアパートの部屋にいた。訪ねてきた百合子と少し会話をした後、一人佇み、幸せそうな、また悲しそうな微笑を浮かべているのだった。

秋日和 評価

  • 点数:80点/100点
  • オススメ度:★★★☆☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★☆☆

作品概要

  • 公開日:1960年
  • 上映時間:128分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ、コメディ
  • 監督:小津安二郎
  • キャスト:原節子、司葉子、岡田茉莉子、佐田啓二 etc

秋日和 ネタバレ批評

映画『秋日和』について、感想批評です。※ネタバレあり

『晩春(1949)』との共通点と違い

親子愛を描いてきたこれまでの小津作品と同様、本作も母と娘の愛情がテーマとなっている。
両親のどちらかを亡くした親子という点では重なる。『晩春(1949)』では、母を亡くした娘と父親が描かれている。どちらも親子を題材にあつかっており、また娘の結婚も一つのテーマである。どちらの娘も自分が結婚することで一人になってしまう親を心配し、結婚することを渋る点もよく似ている。

本作は、『晩春(1949)』の対をなす作品といってよいであろう。片親が父から母に変わったことで、もたらされたものは何か。
『晩春(1949)』では、親子が暮らす家は二階建ての一軒家であった。家は広く、寝起きするのも別の部屋である。だからこそ、京都旅行で二人が同じ部屋に泊まる場面がよりタブーに思えてくるのである。
それに対して、本作では、親子が暮らすのはアパートである。女二人の経済力を考えると妥当のようにも思える。しかし、これができるのは女同士だからなのではないだろうか。

女同士であるからだろうか、もう一つ言えることは、秋子とアヤ子はお互い本音を打ち明けていたことである。それにより、アヤ子は本当に好きな人と一緒になり、家を出て幸せな結婚をした。
母秋子には、幸せになりたいアヤ子の気持ちが分かっており、そして娘アヤ子には、秋子が再婚を望んでいないこと、一人でもしっかり暮らしていけることが分かっていたのである。
だから、ラストで秋子が一人佇むシーンは、寂しさもありながら、幸せな人生に向かう娘を送り出した母の喜びが見えるのである。
これは『晩春(1949)』の父と娘にはない。同じく娘を送り出した父親は、一人きりになった家の中で一人ぽつんと佇む。そこには喜びはなく、哀愁が漂うのみである。

秋日和 感想まとめ

今までの小津作品では娘役で、結婚して見送られる立場を演じていた原節子が、今度は母親となり、娘を送り出した。
自分は一人でも大丈夫だ、と娘を送り出した母は強い。寂しいことはあったとしても、これからきっと明るく生きていくであろうことが伝わってくる。
同様に、娘のアヤ子、その親友の百合子も強い女性である。思ったことをはっきりと言い、怒り、笑う。そのメリハリが良かった。この二人が生き生きとしていたことが印象に残る作品であった。

そして、おせっかいとも言える三人の中年の行動も、作品を面白く引っ掻き回し、笑わせてくれた。小津作品には、必ずどこかにコミカルな場面があるが、本作ではそれが幸せなラストを引き立ててくれた。

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