映画『悪名無敵』あらすじネタバレ結末と感想

悪名無敵の概要:1961年から始まった「悪名」シリーズの第11作目。勝新太郎の演じる八尾の朝吉が、田宮二郎の演じる弟分の清次とともに、売春組織に泣かされる女を救い出すため命懸けで戦う。1965年公開の日本映画。

悪名無敵 あらすじネタバレ

悪名無敵
映画『悪名無敵』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

悪名無敵 あらすじ【起・承】

大阪は河内八尾出身の朝吉(勝新太郎)は、組織を嫌う古いタイプのヤクザ者だ。朝吉と弟分の清次(田宮二郎)は家出娘の君子がポン引きの常に声をかけられているところを救ってやるが、君子は2人に反抗して常と行ってしまう。

夜の繁華街で売春を強要されている君子を見た朝吉は、君子を助けてやることにする。売春組織は新湊組というヤクザの組が運営しており、売春婦の朱実(八千草薫)は朝吉の無謀な計画を止めようとする。朝吉は朱実まで一緒に逃がすことにし、清次と二手に分かれて大勢のヤクザ相手にひと暴れする。

朝吉は朱実と常を連れて待ち合わせ場所の大阪駅へ行く。しかし君子を逃した清次は新湊組に捕まってしまい半殺しの目に遭わされていた。朝吉は仕方なく、3人を連れて北陸行きの最終列車に乗る。

石川県の粟津で君子を親元に帰し、朝吉は朱実たちと温泉旅館に泊まる。朝吉は夫婦の約束を交わしたことのある朱実と常に、堅気の所帯を待たせようと考えていた。翌日には朱実に仲居の仕事も見つかり、2人は小さな借家住まいを始める。朝吉は2人に気を使って、片山津温泉へ行く。

片山津の旅館で朝吉は謎の女(藤村志保)に声をかけられ、一夜を共にし、本気で惹かれ合う。実は女は新湊組の女親分であり、大阪からの電話で朝吉の正体を知る。女親分は朝吉に大阪へ帰らないよう忠告し、自分の正体を明かさないまま、泣く泣く別れを告げる。

一方、朱実は常の裏切りで大阪へ連れ戻されてしまう。それを知った朝吉は、朱実を助けるために大阪へ帰る。

悪名無敵 あらすじ【転・結】

ポン引きをしながら様子を探っていた清次は、連合会の元締めが朝吉の命を狙っていることを知り、女親分に朝吉の命乞いをする。女親分は清次に銃を持たし、逃がしてくれる。

大阪駅で朝吉と再会した清次は事情を話し、朱実を諦めるよう説得する。しかし朝吉は聞き入れない。清次は女親分に言われた通り“片山津で会った女がそう言うてた”と朝吉に言ってみる。それを聞いた朝吉は驚き、連合会の寄り合いがある料亭へ乗り込んでいく。

料亭で朝吉と女親分は2人きりで話をする。朝吉は金でカタをつけようとする女親分の申し出を断り、改めて朱実を連れ戻しに行くと啖呵を切って出て行く。

清次も朝吉と一緒に死ぬ覚悟をして、2人は厳戒態勢の新湊組へ乗り込んでいく。朝吉は事務所へ、清次は店の方で大乱闘を繰り広げ、次々とヤクザを倒していく。朱実に叱られた常も朝吉たちを助け、ついにヤクザたちを降参させる。

朝吉は女親分を連れて朱実の前へ行き“お前を買うからここで裸になれ”と女親分を懲らしめる。朱実の取りなしで女親分を許した朝吉は、泣き崩れる女親分に“堅気になって幸せになれ、遊びやなかった”と言い残して去っていく。

無事に朱実と常を助け出した朝吉と清次は、2人の祝言をしてやろうと相談するのだった。

悪名無敵 評価

  • 点数:70点/100点
  • オススメ度:★★★☆☆
  • ストーリー:★★★☆☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:1965年
  • 上映時間:83分
  • ジャンル:アクション、ヒューマンドラマ、コメディ
  • 監督:田中徳三
  • キャスト:勝新太郎、田宮二郎、八千草薫、藤村志保 etc

悪名無敵 批評・レビュー

映画『悪名無敵』について、感想と批評・レビューです。※ネタバレ含む

朝吉と清次の男気

数々の悪名をさらしてきたヤクザの朝吉は、いつも着流しに雪駄履き。喧嘩をする時も基本的に素手。組織に属すことを嫌い、弟分の清次以外とつるむことはない。不器用で乱暴者だが独特の愛嬌があり、シリーズを通して女にはとにかくモテる。

弟分の清次は二枚目で口も達者なお調子者。調子が良すぎて朝吉によく叱られているが、兄貴分の朝吉に惚れ込んでおり、朝吉のためならいつでも命を捨てる覚悟がある。

朝吉と清次は絶滅危惧種に指定されるレベルの男気あふれる日本男児であり、2人の活躍は痛快だ。朝吉はいつも弱いものに優しい。それは女性に限らず、ヤクザにいじめられている屋台のおっちゃんであったり、親に見捨てられた子供であったり、いろいろなのだが、目の前に困っている人がいると必ず助けようとする。そこに損得勘定は一切なく、あるのは熱いハートのみ。ごちゃごちゃ言わずにハートで動ける男というのは、理屈抜きでかっこいい。

喧嘩はアナログな大乱闘

このシリーズは朝吉と清次が大人数相手に喧嘩をする大乱闘シーンが見ものである。朝吉は銃や刃物を嫌うので、喧嘩の基本は取っ組み合いだ。接近戦で殴ったり蹴ったりするこのアナログな乱闘シーンには、銃撃戦や斬り合いと違った面白さがある。

特に勝新太郎の立ち回りはいつ見ても迫力満点で、手加減しているように見えない。ひどい目にあわされる側の役者は、本気でヨレヨレに疲れ果てているようだ。

本作は敵が女親分だったこともあり、最後の乱闘がイマイチだったが、シリーズの中には数々の名乱闘シーンがあるので、興味がある方は是非チェックしてみて欲しい。

勝新太郎の演じる朝吉の魅力

晩年は様々な破天荒ぶりで世間を賑わした勝新太郎も、この当時はまだ30代前半。肌もツルッとしており、とても綺麗な目をしている。この悪名シリーズが全16作も製作される人気シリーズになったのは、やはり朝吉を演じた勝の魅力が大きい。

勝が演じる朝吉はシャイで純粋な男なので、困った時や照れくさい時、はにかむような表情をする。こういう時の勝の表情や仕草にはなんとも言えない愛嬌があり、個人的にはそこが大好きだ。この色気ある愛嬌は出そうと思って出せるものではなく、勝の人間性から滲み出るものなのだろう。それがそのまま朝吉の魅力になっており、だから朝吉は女親分にも朱実にも惚れられてしまう。これには説得力がある。朝吉には女心をくすぐる天性の才能がある。無意識なところがまた、女泣かせだ。

悪名無敵 感想まとめ

シリーズも後半にさしかかり、全体に落ち着いた印象の作品だ。様々な役者がキャスティングされるのもこのシリーズの面白さで、今回は女親分に藤村志保、売春婦に八千草薫がキャスティングされている。個人的には新湊組の幹部役で出演していた藤岡琢也のどこかコミカルな悪役ぶりが好きだった。晩年は札幌ラーメンのCMや渡る世間の父親役で善人のイメージが強くなった藤岡琢也だが、実は悪役がよく似合う。

血しぶきの飛び散るような任侠映画ではなく、カラッと明るい人情喜劇であるのがこの悪名シリーズのいいところ。本作はそこが少し弱かったので、また機会があればもっと人情喜劇の要素が濃い作品も紹介してみたいと思う。

Amazon 映画『悪名無敵』の商品を見てみる