映画『アリス(1988)』あらすじネタバレ結末と感想

アリス(1988)の概要:ヤン・シュヴァンクマイエル監督が実写とパペットアニメーションを融合させ、ルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」を原作に独特の世界観を持った映像作品を完成させた。1988年公開のチェコスロバキア・スイス・イギリス・西ドイツの合作映画。

アリス あらすじネタバレ

アリス
映画『アリス(1988)』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

アリス あらすじ【起・承】

アリス(クリスティーナ・コホウトヴァー)は子供部屋で退屈していた。その時、ガラスケースの中の置物のウサギが動き出し、ハサミでガラスを割って出ていくのを目撃する。正装したウサギは懐中時計を見て“大変だ、遅刻するぞ”とつぶやいていた。

部屋から続く荒野の先にある机の引き出しに入ったウサギを追って、アリスも引き出しに潜り込む。尻餅をついてバケツにはまったアリスは、底の抜けたバケツから地下へと続くエレベーターで深い穴の底へ落ちる。

穴の底には大きなドアと小さなドアがあり、アリスはインクを飲んで小さくなったり、クッキーを食べて大きくなったりするが、なかなか先へ進めない。ついに泣き出したアリスの涙で辺りは海のようになり、小さくなったアリスは水の流れに乗ってドアの外へ出る。

ウサギの家に入ったアリスは再びインクを飲んで大きくなり、ウサギと骸骨の小動物たちに鍋の中へ追い込まれ、ハリボテの人形になってしまう。暗い部屋に監禁されたアリスはハリボテから脱出し、今度は靴下の芋虫たちがうごめく部屋へと入る。そこで体の大きさを調節できるキノコを手に入れ、先へと進む。

アリス あらすじ【転・結】

アリスは赤ん坊が泣きわめく声が聞こえる小さな家の中にウサギを見つけるが、投げつけられた赤ん坊は子豚で、ウサギもどこかへ行ってしまう。階段を降りる子豚を追っていくと、帽子屋と三月兎の奇妙なお茶会が開かれている部屋を見つける。

帽子屋と三月兎はずっと同じことを繰り返していた。アリスは帽子屋の帽子から出てきたウサギを追って、階段の上にある部屋へ入る。そこには無数の洗濯物が干してあり、その先ではトランプの貴公子が戦っていた。

ウサギやトランプの家来を従えたハートの女王は貴公子たちの首をはねるようウサギに命じ、ウサギはハサミで貴公子たちの首をちょん切る。トランプをしていた帽子屋と三月兎も首をはねられ、アリスは女王とクローケーをすることになる。

しかしマレットのフラミンゴは鶏となり、ボールの針山はハリネズミとなって暴れ出し、クローケーはめちゃくちゃになる。被告人として法廷に立たされたアリスは王様と女王の支離滅裂な裁判で有罪となり、女王はアリスの首をはねるよう命じる。

その時、アリスは子供部屋で目を覚ます。全ては夢かと思われたが、ガラスケースの中のウサギの置物は行方不明のままだった。ケースの中でハサミを見つけたアリスは“いつも遅刻だわ、首をちょん切らなくちゃ”と思うのだった。

アリス 評価

  • 点数:80点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★☆☆
  • 映像技術:★★★★★
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★★

作品概要

  • 公開日:1988年
  • 上映時間:85分
  • ジャンル:ファンタジー
  • 監督:ヤン・シュヴァンクマイエル
  • キャスト:クリスティーナ・コホトヴァ etc

アリス 批評・レビュー

映画『アリス(1988)』について、感想と批評・レビューです。※ネタバレ含む

とても怖いが目が離せない

ルイス・キャロル原作の「不思議の国のアリス」はあまりも有名な児童文学で、彼の生み出した奇想天外な物語は幼心にどこか恐ろしく感じたものである。ジョン・テニエルによって形にされたチェシャ猫や帽子屋と三月兎とネムリネズミのお茶会などの挿絵も、不気味だが魅力的で、いつまでもじーっと見入っていたような記憶がある。

しかし多くの子供はルイス・キャロルの原作よりもディズニーアニメーションの「ふしぎの国のアリス」で、この物語を知ることの方が多いだろう。最近では2010年にティム・バートン監督が「アリス・イン・ワンダーランド」を製作しているので、そのイメージも強いかもしれない。どちらの作品もそれなりに原作の混沌とした世界観をうまく表現していたが、この「アリス」を見ると先の2作品がいかにキャッチーに作られているかを思い知る。それほどこの「アリス」は強烈だ。幼い子供は泣き出すレベルの怖さである。

残酷でリアルな子供の世界

本作はヤン・シュヴァンクマイエル監督によって脚色されており、原作に忠実なわけではない。ウサギは置物の人形という設定なので、破れたお腹からおがくずがボロボロと落ちてくる。ウサギが出入りする穴は机の引き出しであり、ハサミやインクなどの文房具が重要な小道具として使われている。

アリス以外の登場人物はパペットアニメーションで動くのだが、その造形が独特だ。頭が骸骨のトカゲや靴下の芋虫、三月兎はゼンマイ仕掛けで目玉がポロリと落ちる人形であり、帽子屋は木製の操り人形。アリスが缶詰を開けると中からフナムシのような虫の大群がもぞもぞと這い出してくるし、カエルの家来は生々しい舌で虫を食べまくる。そういえば子豚と鶏とハリネズミは本物だった。帽子屋と三月兎はウサギにハサミで首をちょん切られるが、首から下は普通に動いており、互いの頭を間違えてのせる。それがとても怖い。

ハートの女王はあまり怖くなかったなと思っていたら、最後に恐ろしい語りが入る。“いつも遅刻だわ、首をちょん切らなくちゃ、とアリスはそう思いました”という語りでこの映画は終わる。つまり、すぐに首をはねてしまう女王はアリス本人だったというオチだろう。確かに本作のアリスはどこか残酷で、ある意味非常にリアルな子供だった。

アリス 感想まとめ

登場人物のセリフはほとんどなく、時々子供の声で物語の語りが入る。そのため子供が頭の中で作り上げた空想世界をそのまま映像化したような印象を受ける。だから本作にはそこはかとない怖さがあり、ダークなおもちゃ箱のような面白さがある。パペットアニメで使われる人形にかわいい人形はひとつもない。どれもこれも不気味で、夢に見そうな恐ろしさ。ネズミがネズミ捕りに引っかかっていても本作のアリスは素通りだ。“ネズミさん、大丈夫?”なんて嘘くさいことは一切言わない。

子供騙しのファンタジーが嫌いな人は本作を試してほしい。これは癖になる。

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