映画『アノマリサ』あらすじネタバレ結末と感想

アノマリサの概要:「思い出のマーニー」や「インサイド・ヘッド」ら、話題作の多かった第88回アカデミー賞長編アニメーション部門にノミネートされた今作は、「エターナル・サンシャイン」などの奇抜な映像で知られるチャーリー・カウフマン監督による初の長編アニメーション作品。アニメでありながらR15指定されるなど、話題をさらいました。

アノマリサ あらすじネタバレ

アノマリサ
映画『アノマリサ』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

アノマリサ あらすじ【起・承】

カスタマーサービスに関する著作がヒットし、各地で講演会を行うマイケル・ストーンはその日、オハイオ州シンシナシティに降り立ちました。にぎわう空港を抜け、タクシーを拾い、指定されたシティホテルへ向かいます。雨の暗い夜、タクシードライバーは陽気でおしゃべりです。
しかしマイケルは湯鬱でした。彼は少し前から、心理的ストレスによるとある症状に悩まされていたのです。

出会う全ての人が、ある霧氷女王な男の同じ顔・同じ声に見えてしまう。

それはホテルの受付も、やかましいタクシードライバーも、家族でさえも同じでした。カスタマーサービスという接客の仕事柄、さらに私生活においてもその症状は彼にとって致命的でした。
しかし、旅先のシンシナシティには彼のかつての恋人がいました。泣く泣く別れた悲恋の相手、彼女ならばかつての美しい声で彼に語り掛けてくれるのではと期待し、急な電話でホテルのバーに彼女を呼びだします。
しかし現れた彼女もまた、ある男の顔と声でした。
しかし話すうち、当時の彼女へ募らせた思慕を思い出し、部屋に誘います。しかし現在の暮らしもある彼女は大激怒。怒って立ち去ってしまうのでした。

アノマリサ あらすじ【転・結】

彼女に去られたショックで、バーで酒を煽り、子供のためのおもちゃを探し街に降りるマイケル。ですが、夜も更けた時間に子供用のおもちゃ屋など開いているはずもありません。酔った頭の彼は、あろうことか大人のおもちゃ屋に足を踏み入れてしまいます。
そこで彼は、不気味なからくり式の日本人形に目を止め、購入します。

部屋に戻りシャワーを浴びるマイケルのもとに、部屋の外から女性の声が聞こえてきます。誰のどんな声を聞いてもある男の声に聞こえる彼にとって、それは奇跡の響きでした。慌てて彼女を追い、声をかけます。
彼女リサといい、友人と二人連れで、偶然にも彼の講演を聞きに来たと言うではありませんか。チャンスとばかりにマイケルはバーへ誘い、そのままリサを部屋に誘います。友人の推しもあり、リサはマイケルの部屋に訪れます。
部屋で彼女は、自分の容姿や人間性に自信がなく、これまでも幸せな交際をしてこなかったことなどをマイケルに告白します。しかし告白の内容などよりも、リサの「きちんとした」女性の声に夢見心地のマイケル。彼女をベッドに誘い、心行くまで彼女と愛し合うのでした。

翌朝、まさに運命の人ともいうべきリサに求婚するマイケルでしたが、朝食の際、口にものを入れたまま話す彼女にマイケルは苛立ちます。そしてその苛立ちに呼応するように、リサの顔に例の男の顔が重なっていきます。
マイケルは、その様を絶望的な思いで見つめます。一方、急な冷めた態度が理解できないリサは、午後は友人とあなたの講演会を聞きに行く、と彼に告げ部屋を出ます。

いよいよ講演会となり、マイケルは調子よく話し始めますが、会場中の同じ顔に段々と眩暈を起こします。ついには講演会も中止せざるを得ないほどになり、彼は逃げるように会場を後にします。リサには何も告げず、帰路につくマイケル。
家に帰ると、同じ顔をした妻や息子たちが彼を出迎えます。愛のない妻の不機嫌そうな顔も、お土産のおもちゃにしか興味を示さない子供の顔も、同じ男の顔です。
マイケルは絶望のうちに沈むのでした。

アノマリサ 評価

  • 点数:75点/100点
  • オススメ度:★★★☆☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★★★
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★☆☆

作品概要

  • 公開日:2015年
  • 上映時間:90分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ、アニメ
  • 監督:チャーリー・カウフマン、デューク・ジョンソン
  • キャスト:デヴィッド・シューリス、ジェニファー・ジェイソン・リー、トム・ヌーナン etc

アノマリサ 批評・レビュー

映画『アノマリサ』について、感想と批評・レビューです。※ネタバレ含む

ストップ・モーション・アニメーション

この映画が世界的に高評価を受ける理由のひとつが、その卓越した技術によるほかに類を見ない繊細なストップ・モーション・アニメーションです。
ストップ・モーション・アニメーションというのは、動かせる人形をいくつも作って、その人形を動かしコマ撮りにしてアニメーションにするというもの。NHKの教育番組などでよく見る、クレイ・アニメーションもこのジャンルの一種です。
今作では、主人公を含むすべての人形が繊細に動くように作られた一級品であるということ。一体50~100万ほどかかっているという人形は、確かに人間と見まごうばかりに、関節や表情に至るまで、細やかに動きます。
しかも今作では大胆なベッドシーンがあるのですが、裸体のなめらかな動きも完全にトレースしながら、裸体自体も思わず目を覆ってしまうほどリアリティを持って作られているのです。納得のR15指定。

アノマリサ

映像にばかり注意が向きがちですが、その内容の高さも大きな見どころのひとつ。今作で重点的に描かれるのは、主人公マイケルの他者に対する許容の狭さと一夜で終わる恋ですが、とくに後者は、もしかしたら誰しも覚えがある類の絶望なのでは、と思わせます。
人間だれしも、誰かを好きになると初めのうちはマックスで相手のことが好きですよね?たくさん期待もするでしょう、こんなに素敵な人に違いないとか、優しいに違いないとか。ですが、生活の中で徐々にそれらが勘違いだと気付くとき、人間は、恋した相手には絶望してしまう生き物なのです。
ベッドの中でアノマリー(Anomaly:例外的な)とリサという名前をかけて、アノマリサ、なんて甘い造語を作ったりしていたカップルが翌朝には破局する、悲しいことに、よくある話なのかもしれません。

アノマリサ 感想まとめ

アニメーションでは先進国である日本の作品が、アカデミーではあまり受賞しない理由はなぜだろうと思い鑑賞した今作、なるほど、かなり大人向けです。R15指定ですが、R18でもいいのではないかというくらい赤裸々なベッドシーンがあり、さらに内容の上でも、大人の心を深く抉る内容になっています。
許容できない相手がすべて同じ顔に見えてしまう、という症状は実際にある鬱症状なのだそうです。人間は目ではなく、心で相手を見ている生き物なのでしょう。道行く人の顔など記憶にろくに残らないように、好きな相手が、やたらと輝いて見えるように。

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