映画『明日への遺言』のネタバレあらすじ結末 | MIHOシネマ

映画『明日への遺言』のネタバレあらすじ結末

明日への遺言の概要:日本が誇る名優・藤田まことの遺作。大岡昌平のノンフィクション作品を「博士の愛した数式」の小泉堯史が映像化。第二次世界大戦後、米兵殺人の罪を問われた東海軍司令官・岡田中将が、部下や家族を守るため法廷論争を戦い抜く。

明日への遺言の作品概要

明日への遺言

公開日:2007年
上映時間:110分
ジャンル:ヒューマンドラマ、歴史、戦争
監督:小泉堯史
キャスト:藤田まこと、ロバート・レッサー、フレッド・マックィーン、リチャード・ニール etc

明日への遺言の登場人物(キャスト)

岡田資(藤田まこと)
元東海軍司令官。中将。米兵を略式裁判にて処刑した罪を問われ、部下と共にスガモ・プリズンに拘留、B級戦犯として起訴される。
フェザーストン主任弁護人(ロバート・レッサー)
岡田中将の弁護人。アメリカ人でありながら、米軍による市街空襲を無差別虐殺と位置づけ、岡田中将らの無罪を主張する。
バーネット主任検察官(フレッド・マックィーン)
東海軍による米兵処刑は殺人であると主張する検察官。岡田中将に敬意を表しながらも、職務を全うする。
ラップ裁判委員長(リチャード・ニール)
裁判長。敗戦国民である弁護側証人の証言にも真摯に耳を傾け、公正な姿勢を示す。
杉田中将(児玉謙次)
検察側証人。旧日本陸軍法務最高責任者。正式な裁判を経ない処刑は殺人であると主張し、法務局の事件関与を一切否認する。
武藤少将(松井範雄)
検察側証人。法務省役人。戦後、東海軍を調査し、東京裁判に先立ち武藤調書なる報告書作成。その中で司令官としての岡田中将に殺人容疑があると主張する。
岡田温子(富司純子)
岡田中将の妻。傍聴席には欠かさず通い、まっすぐに夫の裁判を見つめ続ける。
守部和子(蒼井優)
弁護側証人。客車乗務員。勤務中に米軍による散弾掃射に遭い、同僚や友人を亡くす。
水谷愛子(田中好子)
弁護側証人。真生塾孤児院院長。空襲による戦火の中、孤児たちを救おうと奔走する。

明日への遺言のネタバレあらすじ

映画『明日への遺言』のあらすじを結末まで解説しています。この先、ネタバレ含んでいるためご注意ください。

明日への遺言のあらすじ【起】

終戦も近い1945年5月、米軍の空襲により名古屋の市街地北部80%が焼き尽くされた。その際パラシュート降下した米兵38人に対して行われた略式裁判・処刑をめぐり、1948年3月、岡田中将を司令官とする旧東海軍の裁判が開廷する。

まずは、検察側証人として、杉田中将、相原伍長、武藤少将が登壇した。法務局長官である杉田中将は、法務局の関与を否定、正当な裁判を経ない米兵処刑は殺人であると断言する。続いて、相原伍長が目撃者として処刑人を断定。最後に武藤少将が、戦後東海軍を調査し作成された武藤調書について証言。捕虜とすべき米兵の処刑は殺人であったこと、そして責任者である岡田中将は有罪であることを主張した。

これに対し、弁護側の証人として登壇したのが、若い客車乗務員の守部和子だ。1945年7月の乗務中に受けた空襲体験を述べ、空襲が罪の無い市民が突然襲われる無差別攻撃であると法廷に印象付けた。本裁判とは無関係だと主張する検察側を退け、彼女の証言は証拠として認定される。

さらに、当時被害を受けた名古屋市街には軍需施設が無かったという証言が続き、孤児院を運営していた水谷が、1945年3月および6月の空襲で孤児を連れ逃げ回った悲惨な体験を語った。市街地への空襲が国際法違反であると主張するフェザーストン弁護人に対し、バーネット検察官は米国空軍すべてを糾弾するのかと反論するも、弁護人側証人達に対する反対尋問には至らなかった。

証人達がそれぞれの証言をする一方、米兵を斬首処刑した青年もまた自責の念に押しつぶされそうになっていた。岡田中将は全て自分の責任だと明言し、青年たちを叱咤して読経に励む。彼にとって本法廷は「法戦」であり、責任逃れはせず、しかし理不尽な主張にも屈せず、部下を守り抜くことを固く心に決めていたのだった。

明日への遺言のあらすじ【承】

いよいよ、岡田中将への直接尋問が始まった。フェザーストン弁護人は、まず事件当時の東海軍の状況について確認し、処刑された米兵たちは国際法に基づき有罪だったという岡田中将の考えを確かめる。日本軍劣勢の中、東海軍は日々の意思決定に追われ、戦犯容疑者に対する正式な裁判を行う事すら難しくなっていた。そのため、処刑された米兵たちは、市民に対する明らかな無差別殺戮の容疑者として、法務部将校の監督の元制定された略式裁判によって有罪判決を受けたのだ。

裁判が進む中でも、岡田中将は若い部下たちのケアを怠らなかった。アメリカ人看守達にも毅然と立ち向かい、しかし礼儀正しく非も認める姿勢で徐々に周囲の尊敬を得、岡田中将は部下たちの心の支えとなっていく。

次に、裁判の論点は米兵処刑のプロセスに移る。そもそも、空襲が軍事目標のみに対し行われた場合は従来通り捕虜の扱いとし、略式裁判になるのは無差別殺戮が明らかな場合のみであった。略式裁判の責任者である岡田中将は状況から略式裁判を採用し、すぐに口頭で処刑を命じたことを自ら証言し、判決に不利になる事も包み隠さず話していく。日本軍における上官の絶対的権力を認め、日本刀での斬首刑も直接の指示ではないにせよ欧米の銃殺と同じく名誉ある方法であること、そして誰の判断にしても自分の責任であることを明言し、彼の部下を守ろうとする決意が法廷中の人々の心に働きかける。

明日への遺言のあらすじ【転】

裁判の被告人と傍聴席の家族は言葉を交わすことを許されないが、岡田中将は、フェザーストン弁護人に家族を一人一人紹介していく。長男の夢や一週間後の結婚式の話で法廷は和やかなムードに包まれるが、非情にも裁判は続いていく。

検察からの反対尋問では、無線手などの技手もまた処刑した意味について問われる岡田中将。市民を脅すビラを作ったのは搭乗員なのか、サイパンから戦闘機に乗り込む彼らに拒否権はあったのかと、岡田中将を厳しく追い詰める。しかし、岡田中将は、あくまで空爆が無差別攻撃であること、それが国際法を犯していること、そしてそれを知りながら空爆を繰り返した罪は搭乗員全員に及ぶと主張する。自らが部下全員の運命を握っていると信じ、正々堂々と法線を戦い抜くつもりなのだ。

岡田中将が独房でしたためる手記にも、その覚悟が記される。妻の温子に傍聴の感謝を述べ、大切なのは判決そのものではなく、仏の前に恥じない振る舞いを貫くことだと語りかける。そんな岡田中将は、自分を有罪にしようとするバーネット検察官にすら笑顔で挨拶し、検察官もまた、彼に笑顔を返すのだった。

相変わらずバーネット検察官は厳しい尋問を続けるが、岡田中将の主張が米国非難にまで及んでしまうと論点を逸らすなど、岡田中将を援護する姿勢すら見せ始めた。

そして、ついに検察側も岡田中将の意思を汲み、全責任の所在が岡田中将にあると論じていく。その上で、責任者として人道的な判断をすべきだったと指摘され、岡田中将も返す言葉が無い。しかし、当時の日々緊迫した状況下では、他に道は無かったとあくまで主張を続けていく。ただし、岡田中将は自身の信ずる仏教の教えを用い、人の心は変わりやすく弱いもの、そして米軍人たちも正当な裁判にかけられるべきであったことを裁判長に向け発言した。

休廷中、突然法廷に響く赤ん坊の泣き声。岡田中将の娘夫妻が、孫の博子を見せにやって来たのだ。フェザーストン弁護人が博子を抱き上げ、岡田中将に渡す。微笑み合う家族の様子を、バーネット検察官は複雑な表情で見つめていた。

明日への遺言のあらすじ【結】

裁判も終盤となり、裁判官たちもまた岡田中将に好意的な質問を投げかける。誰かの指示で略式裁判を取り入れたのではないか、米兵処刑は報復行為だったのではないか、と。米国では報復が正義として認められ、岡田中将も承知の事実だ。しかし、彼はどちらの質問もきっぱり否定し、日本陸軍の軍律にのっとった処罰であると繰り返し、裁判官たちも彼の意思を曲げることはできなかった。

最後の最後まで、全責任は自分にあると主張した岡田中将。彼は判決を前に、類まれなる公正な法論争を許してくれた法廷の寛大さと、戦時下の悲惨な毎日の中、誇れる働きをしてくれた部下たちへの感謝、さらに、この裁判が今後の日米和平に繋がるだろうという期待を述べた。そして裁判官、検察官、弁護人、家族、それからこの日に結婚式を挙げた長男夫妻に礼をし、部下に見送られながら法廷を去っていった。

判決は旧東海軍全員が有罪なるものの、死罪は岡田中将ただ一人。略式裁判を考案した大西大佐以下はそれぞれの懲役を果たした後、出所を許されることとなる。岡田中将の減刑を求める嘆願書が相次ぐが、岡田中将は妻に「本望である」と伝えたとおり、穏やかな心で絞首刑を受け入れた。彼の一連の弁論は部下の命を救っただけでなく、GHQに空爆の違法性を認めさせるに至ったが、それは岡田中将の知るところではない。最期の日々を読経や手記の執筆、部下や面会にくる家族との交流に費やし、妻や遺した子供に思いを馳せながら、岡田中将は絞首台の階段を上っていくのだった。

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