映画『阿修羅のごとく』あらすじネタバレ結末と感想

阿修羅のごとくの概要:1979年にNHKで放送された向田邦子脚本の人気連続ドラマを、2003年に森田芳光監督が本作で一本の映画にまとめあげた。大竹しのぶ、黒木瞳、深津絵理、深田恭子の豪華女優陣が賑やかな四姉妹を演じる。

阿修羅のごとく あらすじネタバレ

阿修羅のごとく
映画『阿修羅のごとく』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

阿修羅のごとく あらすじ【起・承】

昭和54年のある冬の夜。
竹沢家の四姉妹は、三女・滝子(深津絵理)の呼び出しで久しぶりに集まる。
数えで七十になる父(仲代達矢)に愛人と隠し子らしき子どもがいるというのだ。
四人の意見はまとまらないが、母(八千草薫)に隠し通すことだけは約束し合う。

長年連れ添った両親のことは心配だが、姉妹もそれぞれが秘密を持っていた。
未亡人の長女・綱子(大竹しのぶ)は、妻のある枡川(中村三津五郎)と不倫中。
夫(小林薫)と子ども2人に恵まれ一見幸福そうな次女・巻子(黒木瞳)は、綱子とは逆の立場で夫の浮気疑惑に悩まされている。
奔放な四女・咲子(深田恭子)は、同棲中のボクサー・陣内の子を身ごもっている。
潔癖で男に疎い滝子も、浮気調査を依頼した興信所の勝又(中村獅童)と急接近し、初めての恋愛にあたふたしていた。

疎遠気味だった四姉妹は、父の愛人問題をきっかけに互いの秘密まで知ることとなり、そこに新たな葛藤が生まれる。
当事者である父と母は何事もなく静かに暮らしているのに、四姉妹の環境ばかりが目まぐるしく変化していく。

阿修羅のごとく あらすじ【転・結】

時は過ぎ、咲子は成功した陣内と派手に暮らし、滝子と勝又も無事結婚式の日を迎える。しかし、幼い頃から反目し合ってきた二人は互いの結婚を機にますます対立を深める。
そんな中、絶好調だった咲子の暮らしは、陣内の重篤な病気により崩壊していく。
綱子と巻子もまた、それぞれの立場で悩み苦しんでいた。

ある冬の日。母と外食して別れた後、夫の浮気に悩む巻子は何となく父の愛人のアパート近くへ行ってしまう。するとそこにはアパートを見上げる母の姿があった。娘に真実を知られ、母は困った表情を浮かべ、微笑み、その場で倒れたまま帰らぬ人となる。
四姉妹は、母がずっと父の愛人の存在を知っていたことにショックを受け、父を責める。
そして父は今日人知れず、愛人と別れてきたところだった。

母の死をきっかけに四姉妹はまた変化していく。
弱みにつけこまれ恐喝されていた咲子を滝子が救い、二人は長年のわだかまりを解く。
綱子は枡川への愛を素直に認め、巻子も夫を責めず穏やかに暮らす道を選ぶ。

桜が満開の頃。竹沢家には義理の息子たちと将棋をしながら居眠りをする父と、それを見て仲良く笑う四姉妹の姿があった。

阿修羅のごとく 評価

  • 点数:80点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★☆☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:2003年
  • 上映時間:135分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ、コメディ
  • 監督:森田芳光
  • キャスト:大竹しのぶ、黒木瞳、深津絵里、深田恭子 etc

阿修羅のごとく 批評・レビュー

映画『阿修羅のごとく』について、感想と批評・レビューです。※ネタバレ含む

時を経て叶えられた向田邦子の願い

原作者の向田邦子は昭和のテレビ界を代表する脚本家の一人だ。
向田はエッセイで、すぐに忘れ去られるテレビドラマの悲しさを綴っている。
だからこそ、観客の記憶に残るもっと凄い脚本を書きたいという高い志を持っていたが、その願いは突然の飛行機事故により叶わぬものとなった。まだ51歳の若さだった。

本作の脚本は、向田邦子賞を受賞した筒井ともみが担当し、設定こそ映画用にアレンジされているが、セリフは向田のオリジナルがかなり忠実に使われている。
それは、森田監督と筒井の向田に対する敬意の表れだろう。
そして、向田の願いはこの作品の映画化により叶えられたのではないだろうか。

謎が多い父の愛人と情念を見せない母の阿修羅

物語は終始四姉妹の事情で進行していく。
それはそれで飽きずに楽しめるのだが、紺野美沙子演じる愛人の事情がよくわからない。
子どもに仲代達也を“パパ”と呼ばせ、金銭的にも依存してきた(であろう)愛人は突然他の人と結婚するという。どんなに切ない顔をされても“おめでとう”なんて言えるものじゃない。仲代達矢は許しても、子どもと観客は許さないだろう。

そして、お母さん…。八千草薫はずっと仏様のように微.+部知っていたのに。
愛人宅前にいるのを黒木瞳に見つかって、一瞬戸惑いの表情を見せるが、すぐにいつもの微笑を取り戻す。このお母さん、一人の時はどんな顔をしていたのか…想像すると背筋が凍りつく。登場人物の誰よりも阿修羅度が高い女は、仏顔の八千草薫演じるお母さんだ。
2位は僅差で紺野美沙子演じる愛人だろう。どっちもそこはかとなく怖い。

阿修羅のごとく 感想まとめ

大竹しのぶと桃井かおり、黒木瞳と木村佳乃、深津絵理と深田恭子など、豪華女優陣による妙にリアルな火花の散らし合いは、間違いなく本作の見どころだ。
そんな女たちに阿修羅のような怖さを感じながらも、そのたくましい生命力に甘えずにはいられない男たちを演じるキャストの選択も絶妙である。

巧みな構成で非常に観やすい映画だが、テンポが良すぎて感情移入のないまま物語が進行してしまう歯がゆさもある。そして終わりは意外なほどあっさりしている。
タイトルの重々しさのイメージで本作を観ると、いい意味でも悪い意味でも期待を裏切られるだろう。実は笑いどころが満載なので、気楽に楽しんでほしい一本だ。

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