映画『バベットの晩餐会』のネタバレあらすじ結末 | MIHOシネマ

「バベットの晩餐会」のネタバレあらすじ結末

バベットの晩餐会の概要:1987年アカデミー賞外国語映画賞を受賞したデンマーク映画。日々の暮らしを丁寧に生きる老姉妹と、彼女達の元で働く謎の多い敏腕召使バベットの物語。目にも鮮やかな晩餐会シーンと、心優しい人々の交流が時代を超えて愛される。

バベットの晩餐会の作品概要

バベットの晩餐会

公開日:1987年
上映時間:102分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:ガブリエル・アクセル
キャスト:ステファーヌ・オードラン、ビルギッテ・フェダースピール、ボディル・キュア、ビビ・アンデショーン etc

バベットの晩餐会の登場人物(キャスト)

バベット(ステファーヌ・オードラン)
フランスからやって来た女。村の牧師館で、家政婦として働く。夫と息子を内乱で亡くすが、その悲しみを感じさせない働きぶりで、雇い主の老姉妹を支える。
マーチーネ(老年期:ビルギッテ・フェダースピール / 青年期:ヴィーベケ・ハストルプ)
牧師館を継いだ姉妹の姉。父は牧師で、ルター派の宗派の創始者。父の遺志を受け継ぎ、若い頃から信仰に生きる。村の貧しい人や病人に食事を届けることを日々の仕事としている。
フィリパ(老年期:ボディル・キュア / 青年期:ハンネ・ステンスゴー)
マーチーネの妹。姉と同じく美貌に恵まれ、さらに歌の才能も持っている。しかし、富や名声ではなく、村で質素に暮らし神と共にある事に価値を見出している。
ローレンス(老年期:ヤール・キューレ / 青年期:グドマール・ヴィーヴェソン)
スウェーデン軍人。賭け事で借金を作ったり、牧師館で聞いた文言を自分の物のように披露したりと、若い頃は調子の良い青年だった。しかし、マーチーネとの出会いをきっかけに仕事に励むようになり、大成する。
アシール・パパン(ジャン=フィリップ・ラフォン)
パリで人気のオペラ歌手。フィリパに歌を教える。その後はだんだんと落ちぶれ、世間からも忘れられてしまう。敬虔なカトリック教徒。

バベットの晩餐会のネタバレあらすじ

映画『バベットの晩餐会』のあらすじを結末まで解説しています。この先、ネタバレ含んでいるためご注意ください。

バベットの晩餐会のあらすじ【起】

19世紀ユトランドの小さな村に、ある老姉妹がいた。マーチーネとフィリパは、今は亡き村の牧師の娘で、長年村人達によく仕え深く慕われていた。貧しいながらも清らかな暮らしは村人達の模範だったが、そんな老姉妹がなぜかフランス人の家政婦を雇っていた。贅沢とも言える家政婦を雇うことになったきっかけは、姉妹の若かりし頃にさかのぼる。

今やすっかり老婦人となった姉妹も、輝く果実のように若い時があった。心の美しさが姿形にも表れたのか、教会には姉妹見たさに通うものもいる程だった。姉妹との出会いで、運命が変わった男達がいた。まず、姉のマーチーネに心を奪われたのが、スウェーデン軍の士官ローレンスだ。彼は隊で賭け事をして借金を作り、この村での謹慎を命じられた。そして、村で働くマーチーネの姿を見かけ、彼女と送る、のびやかで心穏やかな人生を想像した。彼には信心深い伯母がいたため、牧師館での集まりには容易に潜り込めた。そうして牧師の一家とはお近づきになれたが、単なる信者の一人として、あまりに溶け込みすぎてしまう。彼は自信を無くし、恋は実る事のないまま、村を去っていった。隊に復帰したローレンスは、この恋を忘れるため、身を立て名を馳せる事を心に誓った。そして王宮の侍女と結婚し、牧師館で覚えたフレーズを使って、敬虔な会話がブームの上流社会でのし上がっていった。

そして、妹のフィリパを見初めたのが、パリの有名なオペラ歌手パパンだ。ストックホルム公演のついでにこの寒村を訪れ、ミサで歌うフィリパの歌声に惚れ込んだ。彼は牧師に申し出、フィリパに歌の個人レッスンをする事になった。フィリパの歌声は大したものでパパンは彼女をパリの舞台に立たせたいと願い、抒情たっぷりに愛の歌を教え歌った。すっかりその気になったパパンはフィリパの手に口づけをし、彼女を怯えさせ、あっという間にクビになった。傷心のパパンはフランスへ帰り、父と姉妹は再び静かで清らかな生活に戻った。

バベットの晩餐会のあらすじ【承】

長い時が経ち、1871年9月の嵐の夜。突然、姉妹の元を一人の女性が訪ねてきた。雨に濡れ、疲れ切った様子のその女性は、パパンから姉妹への手紙を持たされていた。彼女は名をバベットというフランス人で、パリ・コミューンの動乱のさなか、夫と息子を殺され孤独の身となってしまった。パリにいては彼女の身が危なく、姉妹の元で働かせてやってくれという依頼の手紙だった。料理の腕は保証するらしい。さらに、手紙にはパパンからフィリパへの変わらぬ愛も綴られていた。パパンは今、すっかり落ちぶれて寂しい老後を送っているようだった。

いくらパパンの頼みとはいえ、急な事に慌てる姉妹。そもそも、自分達には人ひとり雇う余裕がない。ましてや、料理の名手で有名な家政婦など、もってのほかだ。すると、バベットは目に涙をうかべ、置いてさえくれれば賃金はいらないと言い始める。彼女にとっては、姉妹の決断が生死を握っていた。人助けが生業のような姉妹に、バベットの頼みを断る事はできなかった。こうして、老姉妹とフランス人家政婦の生活が始まった。

バベットは、実に有能な家政婦だった。清貧を良しとする宗派のこの村の食事は、見た目にも舌にも寂しいものだったが、バベットは限られた食材と資金で日々の食事の質を向上させた。そして、賢く愛嬌のあるバベットは村にもすぐに馴染み、覚えたデンマーク語で軽快に値切り交渉し、老姉妹の家計にも余裕が出るほどだった。

バベットの晩餐会のあらすじ【転】

バベットが老姉妹の元に来てから、14年の月日が流れていた。彼女はすっかり村の人間となり、故郷のフランスとバベットを繋ぐものと言えば、友人が毎年送ってくれる宝くじくらいのものだ。

一方で、村人達の関係は年々悪くなってきていた。それぞれが年老いて気難しくなり、牧師館での集会も、ともすれば口論の場となってしまっていた。そんな村の様子を嘆いた老姉妹たちは、また信仰心に満ちた日々を取り戻せればと願い、ある祝いの場を企画する。村の牧師で宗派の創立者である亡き父の、生誕100周年祭だ。

そして、バベットの生活にも変化が起こった。なんと、今年の宝くじが当選したのだ。賞金は1万フラン。それだけあれば、彼女もフランスに戻ってやり直せるはずだ。老婦人は、この良き家政婦との別れを覚悟した。その雇い主に、バベットは一つのお願い事をする。賞金を使って、100周年の晩餐会に出す料理を作りたいのだという。ただし、内容はフランス料理で、彼女に任せる事。

老姉妹は、バベットに賞金を使わせてはいけないと、この話を断った。しかし、彼女をこの家に置いたあの日以来、何かお願い事をされるのは14年間で初めてのことだ。バベットの願いは聞き入れられ、さらに8日間の休みをもらうと、彼女は意気揚々と材料の仕入れの旅に出た。バベットの不在中、老姉妹は昔のように自分たちの手で食事を作り、村の貧しい人々に配り歩いた。バベットの味に慣れた村人達は、久々の姉妹の手料理に顔を歪めた。

フランスまで買い出しに行っていたバベットが、手伝いを頼んだ甥っ子と共に村に帰ってきた。籠に入った大量のウズラがピヨピヨ騒ぎ、牧師館のキッチンには生きたウミガメが連れ込まれる。予想外の食材に驚き、マーチーネは地獄の業火に焼かれる夢まで見てしまった。その悪夢では、バベットはまるで魔女だった。不安に駆られた彼女は、信者達に相談する。何を出されても、食事の事は考えず話さず味わわず、神の事だけ考えようと誓いあう出席者達。

姉妹の元に、もう一つ驚くニュースがもたらされた。ローレンスが、伯母と共に晩餐会に参加したいと言うのだ。ローレンスは、かつて己に誓った通り、華やかに出世し将軍と呼ばれる地位にいた。それでも、彼は自分の選んだ道がはたして正しかったのか、いまだに悩み続けていたのだ。その答えを求めに、今回またこの村を訪れたいと願うローレンス。こうして、晩餐会の出席者12名が決まったのだった。

バベットの晩餐会のあらすじ【結】

晩餐会の日。厨房では、バベットと甥が慌ただしく働いている。厨房に置かれたグロテスクな食材を見て、マーチーネは不吉な予感に身を震わせた。そんな老婦人の想いはよそに準備は進み、ローレンスと伯母も無事に到着した。給仕を務める甥の合図で食卓へ入ると、そこにはいつもの牧師館の様子は無かった。一流レストランさながらのテーブルセッティングで、多数のグラスが蝋燭の光に輝き、ナプキンは華やかに折られ食卓を彩っていた。

グラスに注がれる、一流のシェリー酒にシャンパン、ワイン。信者達は銘柄など知らないが、香りに驚き、「食事の事は考えない、話題にしない」という約束を必死に思い出す。料理もまた、ウミガメのスープや、キャビアのドミドフ風といった手の込んだ物ばかり。舌の肥えた将軍は正しくその価値を受け止め、喜び、同席者達の共感を求めようとする。しかし、誰一人としてその話題には乗らなかった。乗ってはいけない約束だからだ。それでも、将軍のうんちくやテーブルマナーに注目し、真似て、皆だんだんと料理に心奪われていく。

メインのウズラのパイ包みが運ばれてきた時、将軍はパリで訪れたあるレストランを思い出した。超一流店の、カフェ・アングレだ。ウズラをまるまる使ったこのパイ料理は、そこの女料理長のオリジナルレシピだった。間違いない。興奮して、いかにその女料理長の腕が素晴らしいか、そして今宵この晩餐会でその料理が食べられる喜びを語る将軍。もちろん、誰も将軍には応えない。しかし、確実に信者たちの目は輝き、頬は緩んでいた。

デザートと食後のコーヒーが配られる頃には、すっかり彼らの心は満たされていた。いがみ合っていた老人たちはお互いを許し合い、牧師館を出てもなお、輪になって讃美歌を歌う。

ローレンスもまた、一つの答えを見つけていた。誰と結婚して、いくら出世をしようとも、自分の魂はいつもマーチーネの側にいた事。そして、二人がどんなに離れても、自分の心はこれからも彼女の側にいる事。世界は美しく、不可能などない。そうマーチーネに告げ、去っていくローレンス。マーチーネも、慈愛に満ちた目で将軍を見つめ、頷き返して見送った。

老姉妹は、バベットに礼を言う。そして彼女も、自分がカフェ・アングレの料理長だった過去を明かした。姉妹はバベットとはこれでお別れだと思っていたが、バベットはパリに帰るつもりはなかった。もとより、帰る金などなかったのだ。カフェ・アングレのコース料理は、12人前で1万フラン。賞金は、この晩餐会の為にすべて使ってしまっていた。

姉妹は驚き、自分達より若いバベットの将来を心配する。こんな腕があるのに、一生貧乏暮らしではかわいそうだ。しかし、バベット本人は、貧しい芸術家などいないと信じていた。彼女をこの村に派遣したパパンは、自らの経験から、地上の名声は虚しいと手紙に書いていた。老姉妹もまた、華やかな社交界やオペラ座での名声を求めず、村で人の為に生きてきた。晩餐会で、ある信者が言った。天国に持って行けるのは、この世で人に与えてきた物だけ。マーチーネとフィリパは、たくさんの物を持って行けるだろう。そして、老姉妹は自分達と同じ魂をバベットに感じていた。芸術家として、いつかまた腕をふるえる時が来る。それが天国であっても、それこそが神の思し召しなのだ。フィリパは、バベットを強く抱きしめてやった。

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