映画『ベティ・ブルー 愛と激情の日々』あらすじとネタバレ感想

ベティ・ブルー 愛と激情の日々の概要:「ベティ・ブルー 愛と激情の日々」(原題:37°2 le matin、英題:Betty Blue)は、1986年のフランス映画。監督は「ディーバ」、「溝の中の月」のジャン=ジャック・ベネックス。主演は本作がデビュー作のベアトリス・ダル。「傷ついた男」、「サブウェイ」のジャン=ユーグ・アングラード。

ベティ・ブルー 愛と激情の日々 あらすじ

ベティ・ブルー 愛と激情の日々
映画『ベティ・ブルー 愛と激情の日々』のあらすじを紹介します。

35歳で明日の見えない生活を送っているゾルグ(ジャン=ユーグ・アングラード)は、海辺の小さな村でバンガローのペンキ塗り替えで生計を立てていた。彼の前にキュートな女性ベティ(ベアトリス・ダル)が現われ、二人はたちまち激しい恋に陥る。ベティはウェイトレスをしていたが、店のマスターに嫌気が差し、足の向くままにバンガローにやってきたのだった。ペンキ塗りばかりで日々を過ごしてゆく事に耐えられなくなったベティは、ヒステリーを起こして家具や食器を外に投げつけてしまう。その時、窓から投げ捨てようとした段ボール箱に入っていたゾルグのノートを発見し、徹夜で読んだベティは感銘を受け、ゾルグを見る目が変わったベティは彼に小説家になることを勧める。才能がありながらペンキ塗りで暮らしている事に怒りの持って行き場を無くしたベティは、雇い主とケンカし、バンガローに火をつけてしまう。そのまま逃げるようにパリに向かった二人はベティの親友リサの家に転がり込み、彼女はゾルグの肉筆の原稿を出版社に送るために毎日タイプライターに向かい始める。リサの恋人エディとすっかり意気投合したゾルグは、エディの経営しているピザの店でベティと共に働くことになった。出版社から来た返事があまりの酷評だったため、怒ったベティはその評論家のアパートに殴り込み怪我を負わせてしまう。やがてエディの母が死んだという電話が入り4人はエディの故郷に向かい、二人はその田舎街でしばらく生活することになる。ゾルグはピアノ販売の仕事を始めて平穏な日々を過ごすようになり、ベティは子供が生まれるのを楽しみにしていたが、ある日ゾルグが帰宅するとピエロのような化粧をしたベティが食卓で涙ぐんでいた、妊娠テストの結果が陰性で子供はできないと医者に告げられ、激しいショックを受けたベティは日増しに神経を蝕まれてゆく。そしてベティはついに自分の目をえぐるという行為に及び。虚脱状態のまま廃人同然となり精神病院のベッドに拘束されてしまう。その直後、ゾルグ宛に例の小説を出版したいという電話が入る。ツキが回って来たにも拘わらずベティからの反応はない。耐えられなくなったゾルグは女装して病院へ侵入し、枕を顔に押し付けてベティを窒息死させる。そしてゾルグは再び小説を書き始めた。その傍らでベティのようなキュートな白い猫が、原稿用紙に向かうゾルグをじっと見つめていた。

ベティ・ブルー 愛と激情の日々 評価

  • 点数:90点/100点
  • オススメ度:★★★★★
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★★
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:1986年
  • 上映時間121分
  • ジャンル:ラブストーリー
  • 監督:ジャン=ジャック・ベネックス
  • キャスト:ベアトリス・ダル、ジャン=ユーグ・アングラード、コンスエロ・デ・ハヴィランド、ジェラール・ダルモン etc

ベティ・ブルー 愛と激情の日々 ネタバレ批評

映画『ベティ・ブルー 愛と激情の日々』について、感想批評です。※ネタバレあり

恐るべし女優のデビュー作

主人公のベティは極度の強迫神経症である。感情が抑えきれず社会性が皆無なので他人との間に理論的な筋道を立てた会話が成立せず、自分を正当化するためには遠慮無く暴力を振るい、自分の味方となれば徹底的に擁護し献身的になるのだが、一度反目すると相手に対する憎しみは留まることを知らず、物事の後先を考える余裕など無く、破壊の限りを尽くす行動に及んでは、取り返しの付かない状況にまで人間関係を追い込んだ後にさっさとどこかへ消えてしまう。学習能力などもないので次の場所でも同じ行動を繰り返す。人間観察としてはこれほど興味の尽きない対象はないのだが、関わった人間が日々修羅場と化すのは必定である。ここで自分の恋愛経験を吐露しても仕方がないのだが、一度この症状と同じ女性と暮らしていたことがあり、生き地獄を経験したことがあるので、本作は自らにとってさほど衝撃的には感じることもなく、回顧録みたいな存在になってしまった。どのような人間にも内面的な部分では他人の想像に及びも付かない心理を抱えてはいるのだろうが、監督が求める抑制の利かない感情表現というものを、演技としてここまで表現できるベアトリス・ダルは恐るべし女優である。麻薬、窃盗、傷害などでの逮捕歴という実生活でも金看板を背負った剛の者だという。

美しければそれでいい

セックスとか暴力とか表現の中でタブー視され抑制というものを余儀なくされるものを、ここまで刹那的に美しく描いた作品はそう多くない。不道徳で退廃的な物語ながら決して人間的な醜悪さはなく、画的な美しさに感銘するというのは共通しているのではないだろうか。フランス映画の象徴とも言えるようなその表現は、本作のジャン=ジャック・ベネックスをはじめ、リュック・ベッソンやレオス・カラックスなどの監督が、ヌーヴェル・ヴァーグ以後のフランス映画界に新しい波をもたらしたが、その絵画的手法は独自の表現力としてに脈々と息づいている。フランス文学にも共通しているところであるが、文化に深く根ざした退廃的な空気感と、独特な言語の響きが興味の尽きない魅力だろう。

ベティ・ブルー 愛と激情の日々 感想まとめ

冒頭からのセックス描写が幾分激しいので、テレビで観る分にはボリュームに少々気を遣ってしまう部分がある。主人公以外の出演者も少々ネジが外れているので笑える箇所も多いが、後半になってベティが弱ってくる辺りから圧迫感が激しくなってくる。しかしながら街の風景や田園風景、部屋の細部に至るまで、その色彩の美しさには見とれてしまう。クレイジーでアヴァンギャルドなラブストーリーながらも、その全てを帳消しにしてしまうような色彩と空気感の虜になってしまうのだ。不幸な結末ながら、映画を見終わった後の不思議な清々しさも心地良い。その比類無きエンディングの心地良さが繰り返し観たくなる大きな理由なのだろう。

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