『ビッグ・ガン』あらすじ感想とネタバレ映画批評・評価

ビッグ・ガンの概要:「ビッグ・ガン」(原題: Tony Arzenta、米題: Big guns)は、1973年のイタリア・フランスの共同製作映画。監督は「夕陽の用心棒」「続・荒野の1ドル銀貨」などのドゥッチョ・テッサリ。主演は「太陽がいっぱい」、「冒険者たち」などで知られるフランスの名優アラン・ドロン。共演はリチャード・コンテ、カルラ・グラヴィーナ、マルク・ポレルなど。

ビッグ・ガン

ビッグ・ガン あらすじ

映画『ビッグ・ガン』のあらすじを紹介します。

トニー・アルゼンタ(アラン・ドロン)は。ひとり息子カルロの7歳の誕生日を祝う席で、ギャングから足を洗う決心をする。トニーは組織の中でも重要な存在であり、狙った獲物は決して逃がさない腕利きの殺し屋だった。二大ボスのニック(リチャード・コンテ)とクチッタ(リノ・トロイージ )は、トニーが彼らの同郷のシチリア島出身という事からも目を掛けていた。組織でも将来は約束されているが、拳銃を手離せない殺し屋の生活をカルロにだけは見せたくなかった。

パーティの翌日、トニーはニックにその旨を申し入れたが、トニーは組織を知りすぎており、抜けるのは不可能だとニックは返事をためらった。ヨーロッパ各地に拡がっている組織の幹部も同様だった。幹部会での話し合いはトニーの抹殺という結論だった。数日後、息子のカルロを学校へ送る妻の車が不調で、乗り換えたトニーの車がエンジンを掛けると同時に大爆発を起こし、妻と息子は帰らぬ人となる。組織はトニーを消すつもりが誤って彼の妻と子を殺してしまった。故郷から駆けつけた神父や弟分のドメニコの慰めにも彼は救われず、更にトニーの報復を恐れた組織は第二の刺客をトニーの許に送り込んでくる。彼はドメニコと共にその刺客を追跡し殺害する。そしてトニーは以前に助けたことがあるサンドラの手引きで幹部の一人を殺害。ミラノに戻ったトニーはドメニコが見つけてくれたアパートに身を隠す。次なる獲物は組織の大物グルンワルドだ。サンドラの情報により、幹部たちがコペンハーゲンのグルンワルドの元に集まる事を知る。そしてグルンワルドがビルの前で迎えの車に乗り込もうとした瞬間、待ち伏せていたトニーの拳銃が火を噴いた。目的を果たした彼は自らも負傷したが、同郷のデンニーノに救われる。その頃ミラノでは、ドメニコがトニーのアパートの住所を白状させられ、惨殺されるという事件が起こり、アパートに入り込んだクチッタの部下は、部屋に身を隠していたサンドラを徹底的に痛めつけ、トニーの帰りを待ち伏せる。ミラノに戻ったトニーは自室に電話を掛けるが、受話器からのサンドラの鳴き声で全てを察し、クチッタの邸に忍び込み彼を射殺する。そして殺し合いの日々に疲弊したトニーは故郷を懐かしみ、サンドラを連れシチリアへと車を飛ばす。

ビッグ・ガン 評価

  • 点数:90点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:1972年
  • 上映時間:110分
  • ジャンル:アクション、サスペンス
  • 監督:ドゥッチオ・テッサリ
  • キャスト:アラン・ドロン、リチャード・コンテ、カルラ・グラヴィーナ、マルク・ポレル etc

ビッグ・ガン 批評 ※ネタバレ

映画『ビッグ・ガン』について、2つ感想批評です。※ネタバレあり

イタリアン・フィルム・ノワール

アラン・ドロンが主演でありながら、ドゥッチョ・テッサリ監督がイタリアを舞台に撮った作品なので、フレンチ・フィルム・ノアールではなく、イタリアン・フィルム・ノワールと呼べばいいのだろうか。アラン・ドロンの持つ独特な孤独感が巧みに描かれたハードボイルドの傑作である。俳優としても数多くの名作に出演し、撮影当時38歳という年齢は演技も雰囲気も最も充実している時期と言っていいだろう。クールさはそのまま保ちながらも、若い時代の線の細さはなく風格も充分に備わっている。マフィアものと言えばイタリアという設定が似合うのかも知れないが、画面から漂ってくる空気感はイタリアという部分は強調されていない。クライマックスのシチリア島の風景だけが別物みたいなところで、ハッピーエンド的なニュアンスを醸し出してはいるが、そこでのどんでん返しというところがイタリア的と言えばそんな感じはしないではない。しかし作品の展開は素晴らしく、シークエンスの繋ぎ方や小物の効果的な描写も素晴らしい。特にカーチェイスには目を見張るものがあり、素晴らしいドライビングテクニックがダイナミックなアングルで展開され、車がクラッシュする場面においても繋ぎのないリアリティが見事である。シナリオもいいが、静かなシーンからアクションシーンまで緻密に計算されたカメラワークの妙が随所に窺える。

アラン・ドロンという存在感

1972年にフランシス・フォード・コッポラ監督の「ゴッド・ファーザー」が公開され世界的なヒットを飛ばしたが、この時代のギャング映画には秀作が多い。特にフランスではアラン・ドロンが主演した名作が多く残っており、1967年の「サムライ」、1969年の「シシリアン」、1970年の「ボルサリーノ」、「仁義」など、フランス映画でもフィルム・ノワール作品が多く撮られている。クールなフランス人の殺し屋というアラン・ドロンのイメージが定着したが、多くの映画出演にも拘わらず、この俳優の作品には不思議と駄作がない。フランスの俳優の中ではジャン・ギャバンと並び、立っているだけで画になってしまうと言う希有な俳優だろう。ジャン=リュック・ゴダール監督が「生まれながらに固有の悲劇を抱え持っている人物」と評したのも頷ける話である。

ビッグ・ガン 感想まとめ

フランスの役者として有り続け、ハリウッドスターにないカリスマ性を見せつけたアラン・ドロンの名作の一本である。このような作品を観ているとフランスやイタリアの映画文化の高さを見直してしまう。そして決してハリウッドの二番煎じになることもなく、次々と名作を送り出してきた監督や俳優の質の高さも賞賛されるべきところだろう。本作はアラン・ドロンの作品としてはそう高い評価ではなかったが、言い換えれば評価の高いアラン・ドロンの作品は、それほどまでに素晴らしいものが多いという事である。世界中を虜にしたフランス映画の名優として、彼を知らない世代にも改めて多くの作品を観ていただきたい。

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