映画『ブルーバレンタイン』あらすじネタバレ結末と感想

ブルーバレンタインの概要:デレク・シアンフランス監督による2010年製作のアメリカ映画。第63回カンヌ国際映画祭の出品をはじめ、世界的映画レビューサイトRotten Tomatoesでも10点満点中7.7点を獲得するなど、その内容の充実度は折り紙付き。アメリカの田舎町に暮らすごく普通の夫婦、シンディーとディーンの出会いから別れまでを描く切ないラブストーリーです。

ブルーバレンタイン あらすじネタバレ

ブルーバレンタイン
映画『ブルーバレンタイン』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

ブルーバレンタイン あらすじ【起・承】

冒頭、口論する若い夫婦と幼い娘の姿がスクリーンに映ります。
アメリカの田舎町の、典型的な一軒家。禿げかけたチンピラ風の身なりの塗装工の夫・ディーンと、不機嫌に眉間に皺を寄せる正看護師の妻・シンディー。
車の中での些細な会話からもすぐに険悪な雰囲気になるふたりにも、かつて、甘い季節がありました。

時は五年前にさかのぼります。
医学生のシンディーと、引越し業に精を出すディーンの出会いのきっかけは、シンディーの祖母でした。
彼女の暮らす老人ホームに仕事で訪れたディーンは、祖母を見舞うシンディーを見つけます。知的な瞳に少女のあどけなさを同居させた、美しい金髪の女性は、優しく祖母に話しかけます。ディーンは一目で彼女に恋をしました。
ですが、連絡先を聞き出そうとするも、冷たくあしらわれてしまいます。
シンディーには恋人がいました。ハンサムな同級生のボビーです。スポーツマンで人気者な彼でしたが、シンディーの前では、その自己中心的な性格を露見させるようになっていました。その姿は、彼女に大嫌いな父親を連想させます。
些細なことで苛立つ高圧的な父親におびえる母親と冷え切った家庭。そんな結婚だけはしないと心に誓いながら、いつも、男性に粗野に扱われてしまう自分。
鬱屈した気分のまま日々を過ごす彼女を、再会したディーンは、「夜の散歩」へと誘い出します。
モノマネをして彼女を笑わせ、ウクレレを弾きながら愛の歌を歌う、明るいディーン。ただ一緒に歩くだけで心を軽くしてくれる彼に、その距離を縮めるシンディー。
ですが、ボビーと別れディーンの気持ちに応えようとしていた矢先、彼女の妊娠が発覚します。望まない妊娠に、しかし自らに宿った命を絶つことも出来ず、絶望に負けそうになる彼女を抱きとめたのは、ディーンでした。一緒に泣き、ボビーから彼女を守り、両親からの渋々の許しを得て、ふたりはようやく結婚するのです。

ブルーバレンタイン あらすじ【転・結】

生まれてきた娘を、実の子のように可愛がるディーンと、シンディーの結婚生活は順風満帆に漕ぎ出したはずでした。

五年後に、物語は戻ります。
志を叶え、正看護師としてのキャリアを順調に積み上げるシンディーにとって、何かと理由をつけながら働かないディーンの姿は見苦しいものでした。日々の日常に見える、粗野な態度や下品な仕草も、彼女の気分を逆撫でし、苛立たせる原因でした。
そんな彼女の心を取り戻そうとディーンが用意したのは、安いラブホテルとアルコール。それだけでも、彼女の心を冷えさせるのには充分でしたが、その夜は、彼女に「別の男の子どもを産んだ」という、決定的な負い目を思い起こさせるきっかけにもなってしまうのです。
翌朝、何も言わずに出勤した彼女を追って、ディーンは職場に押しかけます。彼女の心が決定的に離れてしまうことを恐れた彼は、病院で暴れ、それが原因で彼女はキャリアに傷をつけてしまいます。
病院から戻ったシンディーは、ディーンに別れを告げます。みっともなくもすがりつくディーンは、「愛している」と繰り返しますが、シンディーは泣きながらも首を振るばかり。
「親のいない子にさせるつもりか」
卑怯な台詞も、シンディーへの愛からでした。それすらも届かず、家を出て、歩き去るディーンの後姿に、娘の「ダディ」と泣き叫ぶ声が重なります。

エンドロールに乗るのは、甘い季節のふたりの「愛の歌」。

ブルーバレンタイン 評価

  • 点数:85点/100点
  • オススメ度:★★★☆☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:2010年
  • 上映時間:112分
  • ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ
  • 監督:デレク・シアンフランス
  • キャスト:ライアン・ゴズリング、ミシェル・ウィリアムズ、フェイス・ワディッカ、マイク・ヴォーゲル etc

ブルーバレンタイン 批評・レビュー

映画『ブルーバレンタイン』について、感想と批評・レビューです。※ネタバレ含む

残酷なまでに丁寧な演出

なんという恋愛映画でしょうか。
観終わって、おすすめをした友人やレビューを恨みたい気持ちになるかもしれません。
それくらい、恋愛の辛さの詰まった恋愛映画です。

この映画の最大の特徴と言えば胸に詰まるリアリティー。それを可能にしているのが、丁寧に過ぎる演出の数々なのです。
たとえば、冒頭、禿げかけたビール腹、のチンピラ風の小汚いおじさんが登場します。小汚いおじさんことディーンを演じるのは、ライアン・ゴズリング。甘いマスクと高い演技力から世界中の女性たちから黄色い声援で迎えられる、いわゆる二枚目俳優です。
そんな彼を、「嫁に愛想を尽かされかけている小汚いおじさん」として演出するために、俳優自身も、体重を増やし、髪を抜き、歯を染め、特殊メイクを施しています。それに加え、歩き方や姿勢、話し方など細かな演技指導が入ることで、より一層キャラクターのリアリティーが増します。
五年前の出会いのシーンでは、ライアン・ゴズリングの本領発揮、爽やかでワイルドな好青年の姿を見せていますから、そのギャップに驚きます。

クローズな人間模様

この映画のもう一つの大きな特徴は、その登場人物の少なさにあります。
メインキャストの二人に加え、娘とボビー、そしてシンディーの父親。物語に大きくかかわるのはこの五人のみです。もっと言ってしまえば、メインキャスト以外の台詞は極端に少なく、ほとんどが二人芝居と言ってもいいくらいです。
そうすることで、より効果的に二人の関係の微妙な変化や、それによる表情や心情が映り変わるさまが画面に映り続けます。

映画には、俯瞰で全体像を楽しむものと、主観的に物語を泳いで楽しむものがありますが、今作は間違いなく後者。
登場人物と一緒になって心を乱され続ける114分、いやになるくらいの傑作です。

ブルーバレンタイン 感想まとめ

辛い映画でした。
ですが観終わった後に、「好きなひとを大切にしたい」と思わせる映画なのです。
それは、確かに二人の愛が本物であり、ちょっとした心無い行動で傷付くさまが、終始映画に映り続けるからかもしれません。二人の愛が壊れてしまうのが、悔しくて仕方なくなってしまうからかもしれません。

エンドロールに映るのは、甘い二人の日々であり、「愛の歌」なのです。こんなにも悔しくなるバッドエンドには確かに、ハッピーエンドを強く望ませる力があります。

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