映画『僕たちの戦争』あらすじネタバレ結末と感想

僕たちの戦争の概要:荻原浩原作の同名小説の映画化作品である。主演は森山未來。恋人役を上野樹里が務める。TBSでドラマ化もされている。

僕たちの戦争 あらすじネタバレ

僕たちの戦争
映画『僕たちの戦争』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

僕たちの戦争 あらすじ【起・承】

主人公の尾島健太は、サーフィンが趣味のフリーター。将来のことなどはあまり深く考えないタチで、ただただサーフィンに没頭していた。そんな健太が、台風が過ぎた後のある海でサーフィンをしていると、突然大きな波に飲み込まれて意識を失う。目が覚めると海岸に打ち上げられていた。しかし周囲の風景がどことなく違う。意味が分からないままさまよっていると沢村キヨと孫娘文子が暮らす民家にたどり着いた。

一方、昭和十九年、健太がおぼれた海に墜落した戦闘機があった。その操縦士は石庭吾一。吾一が気が付くとそこは病院で、見たこともない器具に囲まれていた。パニックになって飛び出した先に広がっている光景に、絶句する吾一。吾一と健太は、海を境に入れ替わってしまったのだ。恋人のミナミや、健太の父母に会うも本当のことをどう言えばいいかわからず、健太としてふるまうしかない吾一。彼は歴史の教科書を見て、日本がアメリカに負けたことを知るのだった。

健太は、吾一を探しに来た兵隊たちに捕らわれてしまう。自分は吾一ではないと訴えるが、姿が同じなので誰も信じてくれない。カレンダーを見た健太は、今が昭和19年であることを知り、戦争から助かるためにはポツダム宣言受諾の昭和20年まで生き延びるしかないと決意するが、兵隊として招集され、志願とは名ばかりの、半ば強制的に特攻隊員として訓練させられることになるのだった。

僕たちの戦争 あらすじ【転・結】

健太の恋人ミナミが、自分の祖母の遺品を整理して入りと、そこに健太のサーフパンツなどが入っていることに気が付きいぶかしんだ。健太に問うと、そこで初めて自分は健太ではなく過去から来たのだと健太、すなわち吾一から聞かされ、混乱するまま吾一の前から走り去っていった。

しかしその後、ミナミは健太の(つまり吾一の)子供を妊娠していることがわかる。石庭吾一の墓を見つけた吾一は、自分の代わりに死んだのは健太なのではないかと思い悩んだ。その結果、終戦の八月十五日に吾一が死んだとされる沖縄に出向くことを決意。何も知らないミナミと共に沖縄に行ったが、何も起こらなかった。ミナミを守って生きていくことを決意する吾一。しかし、海で泳いでいるうちに、海藻に捕らわれ身動きが取れなくなってしまい次第に意識が遠のく。

健太は、軍で鴨志田という男と出会う。彼がミナミの祖父であり、民家で助けてくれた文子がミナミの祖母であることを知る。その後、戦艦に乗り出撃をする健太の部隊。無事に八月十五日を迎えたが、敵艦に囲まれ、鴨志田が人間魚雷に乗って敵を引き付けると言い出した。健太は苦悩し、ミナミのことを思いながら、鴨志田に代わって自分が人間魚雷に乗るのだった。

僕たちの戦争 評価

  • 点数:90点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★☆☆
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:2006年
  • 上映時間:120分
  • ジャンル:SF、戦争
  • 監督:山元清多
  • キャスト:森山未來、上野樹里、内山理名、玉山鉄二 etc

僕たちの戦争 批評・レビュー

映画『僕たちの戦争』について、感想と批評・レビューです。※ネタバレ含む

文句なしの傑作

戦争映画は苦手である。何故かというと、苦しいことが分かっているからだ。本でも同じ。戦争にまつわる話は、基本的に精神を削られ泣いてつらいばかりだ。だからあまり見ないし読まない。だが、この作品は、多くの人に見てもらいたいと思った。まず、キャラクターがいい。入れ替わりものというある意味ありふれた設定ではあるが、健太と吾一、両側面から描かれるので飽きない。どちらかというと吾一が現代に来て「なんじゃこりゃあああ」という状態なのがいつも面白かった。キャラクター的に、明るく能天気な健太が陽で、マジメで穏やかな陰が吾一だが、ストーリー的には現代が陽、昭和が陰という非常にバランスのよい作りになっている。

だから泣ける。健太が身近すぎるのだ。戦争映画に出てくる人々はみんなまっすぐでひたむきでマジメで、それこそ吾一のような日本人だ。だが、健太は違う。不真面目だしふざけた若者だ。そんな彼が戦争に巻き込まれていくのは、恐ろしくリアルなのだ。ゾっとするのだ。戦争映画は歴史の勉強、みたいに思っていた私の先入観をぶち壊してくれたのである。

最後の健太の叫び

森山未來はすごい役者である、ということは今はもう定説かもしれない。が、当時はそれほど知らなかった。なんだかすごい人だなこの人は、とその迫力に気圧された。ふざけたシーンもまじめなシーンも、見事にこなす。そして、最後の最後、回天の中で健太は叫ぶ。国のためじゃない、家族のために戦争してるんだ、と。私はずっと戦争をしている昔の人は何も知らなかったんだと思っていた。馬鹿だから勝てると思っていたのだ、と。それがこのセリフを聞いて自分が愚かだったと知った。家族のために。ただそれだけのために、命を賭けた人たちが大勢いたことを知った。

このセリフを叫んだ健太の姿、つまり森山未來の表情は何年も前なのだが今なお瞼の裏に焼き付いている。

僕たちの戦争 感想まとめ

勉強のため、と心してかからないとなかなか気軽に観られないのが戦争映画ではないだろうか。ともすれば倦厭されがちの戦争モノだが、非常に親しみやすいキャラクターと描き方で作られているので、若者から年配の人まで楽しめると思う。ただ、妙にリアリティがあるので、かえって辛くなってしまう。健太と吾一、昭和と現代、同量で描かれるため明暗のバランスも絶妙である。最後の森山未來の演技は必見。余韻の残るラストシーンは賛否あるが、個人的にはかえって答えの出ない問いを投げかけられたようで、その深さにズルイとさえ思えるほど。

また、平和教育として、小学校や中学校の道徳教材に選んでもいいと思っている。

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