映画『おとなのけんか』あらすじとネタバレ感想

おとなのけんかの概要:「おとなのけんか」(原題:Carnage)は、2011年のフランス・ドイツ・ポーランド・スペインの合作映画。監督は「ローズマリーの赤ちゃん」、「チャイナタウン」、「戦場のピアニスト」などのオスカー監督ロマン・ポランスキー。主演は「告発の行方」、「羊たちの沈黙」などのオスカー女優ジョディ・フォスター。「タイタニック」、「愛を読むひと」などのオスカー女優ケイト・ウィンスレット。「イングロリアス・バスターズ」、「ジャンゴ 繋がれざる者」のオスカー俳優クリストフ・ヴァルツ。「シカゴ」、「ダレン・シャン」のジョン・C・ライリー。

おとなのけんか あらすじ

おとなのけんか
映画『おとなのけんか』のあらすじを紹介します。

1月11日のニューヨークはブルックリン・ブリッジ公園での出来事。11歳のザッカリー・カウワンが、同級生のイーサン・ロングストリートの顔を棒で殴ったという子供同士の喧嘩の後、彼らの両親が話し合いのため集まることになる。リベラルな知識層であるロングストリート家の妻ペネロピ(ジョディ・フォスター)と夫のマイケル( ジョン・C・ライリー )は、カウワン家の妻ナンシー(ケイト・ウィンスレット)と夫のアラン(クリストフ・ヴァルツ)を家に招くが、冷静で平和的に始まった筈の話し合いは、次第にテンションが高まり不協和音を響かせて行く。子供の起こした事件を発端に、会話の中で生まれるあらゆる単語を深読みし、その真意を探り合うやりとりの中で、互いの仕事内容や人間像にまで誹謗中傷が及び、やがてお互いの本性がむき出しになり、夫婦間の問題までもが露わになって行くのだった。止めどなく飛躍して行く会話のバトルの中で、ナンシーはストレスにより突発的な体調不良になり、テーブルの上に激しく嘔吐する。大騒動の中で話は収束しかけ、帰ろうとするカウワン夫妻に掛けたマイケルの一言で再び話は蒸し返し、互いに我を通し続け、一歩も引かない頑固なおとなたちの喧嘩は、ウイスキーを飲みながら果てしなく続いて行く。

おとなのけんか 評価

  • 点数:95点/100点
  • オススメ度:★★★★★
  • ストーリー:★★★★★
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★★

作品概要

  • 公開日:2011年
  • 上映時間:79分
  • ジャンル:コメディ
  • 監督:ロマン・ポランスキー
  • キャスト:ジョディ・フォスター、ケイト・ウィンスレット、クリストフ・ヴァルツ、ジョン・C・ライリー etc

おとなのけんか ネタバレ批評

映画『おとなのけんか』について、感想批評です。※ネタバレあり

吉本新喜劇的なポランスキーの演出

片方の息子が片方の息子を殴ってケガをさせたところから映画は始まる。最初は夫婦どうしが敵対し、そのうち女性二人が共感し合い、男性二人が罵り合い、4人の攻撃対象がどんどん変わって行く。会話があちこちに飛び火しカウワン夫妻がエレベーターに乗る直前に戻り、ストレスや酒に悪酔いして吐き、少しの会話の変化で状況がどんどん変化して行き、アドリブの掛け合いみたいな、漫才みたいな自己主張がひとつの部屋の中で繰り返される。しかしこの演技派メンバー、もしかして台本無しでやっているのではないかというような錯覚にも陥るのだが、もししっかりとした台本があるとしたら、これだけのセリフを覚えなければならないということは至難の業だろう。いずれにしても役者のクオリティが半端ではない。「一言多い」という事がいかに厄介な状況を生み出すかという、シニカルな内容の吉本新喜劇を観ているような感覚である。

素直に笑ってしまおう

ポランスキー監督は作品内容が一貫しておらず、ホラー的であり、エロティックであり、ミステリアスでもある。戦場のピアニストみたいな文芸的な思考が根底にあると思うのだが、ポーランドからアメリカへ亡命した後、フランスへ逃亡したいきさつなどを考えると、自由にその時々に思いついたストーリーを描きたいという欲求は一貫しているのかも知れない。「ポランスキーのパイレーツ」以来のコメディだが、皮肉屋なポランスキーの部分がここでは出演者各々のセリフに散りばめられ、それを見事に演じきった4人の役者の力量が、他の作品には見られないオリジナリティ溢れるブラックコメディとして表現されている。大人が修羅場を演じている間に子供たちはとっとと仲直りをしているエンディングも秀逸である。

おとなのけんか 感想まとめ

ポランスキー監督には久々のコメディなのだが、歳を重ねると共にこんな映画も撮ってみたくなったのだろうか。その思い入れが中途半端でないところはキャスティングにしっかりと表れており、中でもオスカー主演女優賞の二人の演技バトルは壮絶である。不毛な会話を全てひっくり返すような、ケイト・ウィンスレットの嘔吐シーンには正直びっくりした。そして独裁者のような表情で演説よろしく、力説を振りかざすジョディ・フォスターもクレイジーさ全開の演技である。夫の二人は自分の都合だけで生きている刹那主義を露呈させ、その曖昧な存在を労り合うかのように馴れ合いに走る。おとなのけんかは面倒臭く、お互いが判り合う事などできないが、相手を尊重し譲歩しなければ生きて行くのは難しいというニュアンスの作品である。コメディながら唐突なクライマックスへの持って行き方など、ポランスキーの仕掛けるギミックには念が入っていると感じた。

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