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映画『チャンプ(1979)』あらすじネタバレ結末と感想

映画『チャンプ(1979)』の概要:自分のことを“チャンプ”と呼んで敬愛してくれる息子のために、再びリングへ上がることを決意した父親の挑戦と親子の深い絆を描いた珠玉のヒューマンドラマ。1979年公開のアメリカ映画。

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映画『チャンプ』 作品情報

チャンプ

  • 製作年:1979年
  • 上映時間:123分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ、スポーツ
  • 監督:フランコ・ゼフィレッリ
  • キャスト:ジョン・ヴォイト、フェイ・ダナウェイ、リッキー・シュローダー、ジャック・ウォーデン etc

映画『チャンプ』 評価

  • 点数:90点/100点
  • オススメ度:★★★★★
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★☆

映画『チャンプ』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)

映画『チャンプ(1979)』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

映画『チャンプ』 あらすじ【起・承】

ボクシングの世界チャンピオンだったビリー・フリン(ジョン・ヴォイド)は7年前にリングを下り、現在37歳。マイアミの競馬場で働きながら8歳になる息子のTJ(リック・シュローダー)と2人で暮らしている。

TJはビリーのことを“チャンプ”と呼び、いつか父がチャンピオンに返り咲くと信じていた。しかしビリーは酒とギャンブルに溺れ、現状を変えようとはしなかった。

ある日、ギャンブルで大儲けしたビリーはTJに“シーズアレディ”という競争馬をプレゼントする。8歳で馬主になったTJは、大喜びで馬の世話をする。

シーズアレディのデビュー戦の日。TJはアニー(フェイ・ダナウェイ)という女性と知り合う。アニーはTJに興味を持ち、シーズアレディに賭けてくれる。ところがシーズアレディはレース終盤で転倒し、怪我をしてしまう。心配してTJの所へ来たアニーを見てビリーは驚く。なんとアニーは7年前に出て行ったTJの実の母親だった。

ファッションデザイナーになりたいという夢を追い、自分たちを捨てて行ったアニーのことをビリーは許せなかった。しかしアニーの気持ちを察しTJと会うことは許してやる。TJはアニーのことをお金持ちの優しいおばさんだと思っていた。

デザイナーとしても成功し、医者と結婚して優雅に暮らすアニーと再会したことでビリーの生活は荒れる。ギャンブルに大負けし、シーズアレディを持って行こうとした借金取りとトラブルになり暴力を振るったビリーは、警察に逮捕されてしまう。

留置場へやってきたTJは、ビリーから“あの人の所へ行ってくれ、お前は厄介者だ”と言われ、泣く泣くアニーの所へ行く。アニーはTJに自分が母親だと打ち明けるが、TJは“チャンプじゃなきゃいやだ!”と泣き叫んでアニーを拒絶する。

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映画『チャンプ』 結末・ラスト(ネタバレ)

出所してきたビリーとTJは競馬場で再会し、2人の絆を確かめ合う。

雨の夜、アニーがビリーを訪ねてくる。アニーは自分が母親だとTJにバラしてしまったことを打ち明け、ビリーの口からTJにうまく説明して欲しいと頼む。ビリーはそんなアニーにやり直したいと言ってみるが、それが現実的でないことはわかっていた。そして、自分がやるべきことを始めようと決意する。

ビリーはもう一度リングに上がるためボクシングのトレーニングを始める。トレーナーのジャッキー(ジャック・ウォーデン)はビリーが頭に受けた古傷を心配し、病院で検査してからにしろとアドバイスするが、ビリーの意志は固い。ジャッキーは息子のために何かしたいというビリーの想いに負け、彼をサポートする。

ビリーはTJがアニーのことを母親として受け入れられるよう導いてやる。TJはビリーがアニーを大好きだったと聞き、彼女にビリーの試合のことを知らせる。

いよいよビリーの復活試合となる世界チャンピオン戦の日がやってきた。TJもセコンドにつき、必死でビリーを応援する。そして観客席にはアニーの姿もあった。ビリーは愛するTJのため、全身全霊をかけて試合に挑む。

若い対戦相手は手強く、ビリーは何度も打ちのめされる。TJはビリーにタオルを投げようとするが、ビリーは受け取らない。フラフラになりながら迎えた第6ラウンドで、ビリーは起死回生のパンチを決め、世界チャンピオンに返り咲く。

引きずられるようにして控え室に運ばれたビリーは、遠のく意識の中でTJに話しかけ、そのまま目を閉じる。TJは“チャンプ、眠っちゃダメだよ、家に帰ろう”とビリーにすがりついて泣き叫ぶが、ビリーは二度と目を覚ましてはくれなかった。

2人を心配し控え室へやってきたアニーは、泣きじゃくるTJを優しく抱きしめる。

映画『チャンプ』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『チャンプ(1979)』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

ビリーという男の魅力

ボクシングの世界チャンピオンだった主人公のビリーは、同じ競馬場で働く同僚に助けてもらいながら男手一つで息子のTJを育ててきた。8歳になるTJはよくできた息子で、ビリーが大酒を飲んで泥酔しようが、自分の小遣いを使いこもうが、ビリーのことを“チャンプ”と呼び、憧れの父を献身的に支えている。

ビリーは常識で考えると「いい父親」とは言えないのかもしれない。しかしTJという息子を見ると、ビリーがどれだけ息子を愛し、大切に育ててきたかがよくわかる。

TJは深い思いやりのある子だ。こういうことは理屈で教え込めるものではない。子供が親の生き様から自然と学んでいくものだ。ビリーは荒っぽい男だが、彼の優しさやピュアな人間性は観客にも十分伝わってくる。

特に印象的だったのは海でのシーン。ビリーはTJにアニーを母親として受け入れていいのだと諭してやる。“(アニーのことを)好きだったの?”というTJの問いにビリーは笑って“大好きだったさ、だからお前が生まれたんだ”と屈託なく答える。このビリーにはしびれた。

自分と子供を捨てた元妻のことをビリーのように許し、なおかつ“大好きだった”と子供に笑顔で語れる男なんてそういるもんじゃない。大好きなチャンプのこの言葉を聞いてTJはどれほど嬉しかっただろう。そしてビリーは密かに、もし自分がいなくなってもTJが一人ぼっちにならないよう心を砕いている。小さなやりとりからビリーのTJに対する深い愛情と優しい人間性がさりげなく伝わってくる印象的なシーンだ。

反則レベルのラスト

TJのために渾身の力を振り絞ってリングの上で死闘を繰り広げ、チャンピオンに返り咲いたビリーが、控え室で意識を失っていくラストシーン。試合前にトレーナーのジャッキーがビリーの古傷を心配していたことや、試合中にフラつくビリーを見て嫌な予感はしていたのだが、本当に死んでしまうとは…。

ビリー役のジョン・ヴォイドの熱演もすごかったが、TJを演じたリック・シュローダーの迫真の演技には完全にノックアウトされてしまった。大好きな父の死を受け入れられず“チャンプ起きて!眠っちゃだめだよ!家に帰ろう!”と何度もビリーに語りかけるTJ。彼が嘆き悲しむ様子は全く演技に見えない。“チャンプを起こして、チャンプがいいんだ”と泣き叫ぶリック・シュローダーは、本気でこの状況に混乱しているようだ。そのリアル感はものすごい。よってこちらの涙腺は完全に崩壊する。

“反則だ!これは反則レベルだ〜!”と思いながらも、彼の名演から目が離せないし、涙も鼻水も止まらないし。参りました。


若き日のジョン・ヴォイトの作品を初めて鑑賞しましたが、彼の演じるビリーという男がとにかくかっこよくてこんな父親だったらどんな環境に置かれても一生父のことを大好きでいるだろうなと、彼をチャンプと呼ぶTJの気持ちが物凄くよくわかりました。
周りから見れば良い父親ではなかったかも知れません。しかし、ビリーとTJにしか分からない絆は強く確かなものになっていて、お互いを支え合いながら生きてきた本当に素敵な親子だなと感じました。
頭の怪我について話した時に嫌な予感がしましたが、チャンプとなったビリーのラストは涙無しでは見られないでしょう。(女性 30代)

映画『チャンプ』 まとめ

かなりの映画を見てこういうものを書いていると、冷静に作品を見極めようとする癖がついてしまう。そのため観客を泣かせようとするあざとい演出や役者の大げさな演技にうっかり泣かされるようなこともほとんどない。特に安直に主人公を殺して観客の涙を誘おうとするような話は大嫌いだ。

しかし、物語に説得力があり、しっかり感情移入ができる素材を揃えたクオリティーの高い映画ならば話は別。本作はまさにそういう作品で、困惑するほど泣けた。親子の絆を描いたボクシングものくらいに考えていたので、正直驚いた。人物の描き方も丁寧だし、エピソードの盛込み方も秀悦だ。役者の演技も素晴らしい。それがあって、あのラストシーンなのでそれはもう泣くなと言われても無理。

ただ本作を「泣ける映画」という安っぽいカテゴリーで考えて欲しくない。深みのあるヒューマンドラマだからこそ感動があり、胸も熱くなる。本当にいい映画だった。

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