映画『シェルブールの雨傘』あらすじとネタバレ感想

シェルブールの雨傘の概要:「シェルブールの雨傘」(原題:Les Parapluies de Cherbourg)は、1964年のフランス・西ドイツ合作映画。監督は「ローラ」、「天使の入り江」のジャック・ドゥミ。主演は「パリジェンヌ」、「悪徳の栄え」の当時新人だったフランス映画の名女優カトリーヌ・ドヌーヴ。共演には「若者のすべて」などのニーノ・カステルヌオーヴォ 。音楽は本作で世界的な評価を受けて以降、数多くの名画に音楽を提供した作曲家・アレンジャー兼ジャズ・ピアニストのミシェル・ルグラン。

シェルブールの雨傘 あらすじ

シェルブールの雨傘
映画『シェルブールの雨傘』のあらすじを紹介します。

1957年11月、ジュヌヴィエーヴ(カトリーヌ・ドヌーヴ)はシェルブールの雨傘屋の娘で、近くの自動車工場に勤める恋人ギイ(ニーノ・カステルヌオーヴォ)を深く愛していた。ある日ギイに召集令状が来て、彼は二年間の義務兵役に発つことになる。その年の12月、雨傘屋の不況でエムリー夫人(アンヌ・ヴェルノン)は自分の宝石を売ることにした。宝石商のカサールがそれを買いとったのは、娘のジュヌヴィエーヴの美しさに魅せられたからだった。1958年1月。ギイからの便りはなかった。そしてジュヌヴィエーヴには彼との子供が宿っており、彼女がギイを待つ心には少しの曇りもなかった。そんな折りにカサールはエムリー夫人にジュヌヴィエーヴとの結婚を申し込んだ。3月が来てジュヌヴィエーヴの心にカサールの姿が少しずつ刻み込まれてゆく。ギイからは何の連絡もなかったが、カサールはお腹の子まで引き取ると言う。6月にカサールとジュヌヴィエーヴは結婚した。翌年の3月、戦闘による負傷した足でギイはついに帰って来た。彼はジュヌヴィエーヴの結婚を知り悲嘆に暮れる。足が不自由な彼は仕事のミスから失職し酒と娼婦に溺れてゆく。街を歩いても思い出の傘屋も閉じられたままだった。3月に叔母の娘マドレーヌとギイは結婚し、叔母の遺産でガソリンスタンドを買い商売を始める。1962年12月のクリスマス・イヴ。ギイとマドレーヌは子供も出来て幸せだった。その日の夕暮れ、ギイがひとりで店にいるときベンツが停まる。運転している女性はかつての恋人ジュヌヴィエーヴだった。彼女が車に乗せている女の子は紛れもなくギイとの間に出来た娘だったが、互いに多くの言葉は交さなかった。彼女は降りしきる雪の中を車で去って行き、ギイは何もなかったかのように買い物帰りの妻と娘を迎え入れた。

シェルブールの雨傘 評価

  • 点数:90点/100点
  • オススメ度:★★★★★
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★★
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:1963年
  • 上映時間:91分
  • ジャンル:ミュージカル、ラブストーリー
  • 監督:ジャック・ドゥミ
  • キャスト:カトリーヌ・ドヌーヴ、ニーノ・カステルヌオーヴォ、マルク・ミシェル、エレン・ファルナー etc

シェルブールの雨傘 ネタバレ批評

映画『シェルブールの雨傘』について、感想批評です。※ネタバレあり

エポック・メイキングなミュージカル

冒頭から派手なビッグバンドの演奏に合わせて、何気ない普通のセリフが全て歌によって語られる。映画によるミュージカルの手法というものを根底から覆し、オペラの手法を導入した革新的な表現である。映画ではそのストーリーの部分に焦点を合わせるため音楽は効果として使われるのが一般的だが、本作は全く逆であり、音楽ありきながらミュージカルの装飾的演出を排除した一般的な映画の表現である。セリフがない部分も音楽がイントロのように使われ、歌への導入部としての効果が見事である。呆れるほど緻密に作られた映画史に類を見ないミュージカル作品であるが、ダンスシーンがないところは歌劇であり、現代オペラという表現が似つかわしいだろう。しかし、この手法をステージでなく映画に取り入れるというアイデアは素晴らしい演出効果を生み出しており、凡庸になりがちなラブストーリーに、映画ならではの見事な効果として表れている。

ミシェル・ルグランの魔法

ジャズピアニストとしてのミシェル・ルグランには哀愁という表情が少なく、華麗すぎるその演奏にあまり魅力を感じた事はないのだが、メロディメイカーとしての器には恐れ入る。ルグラン自身もリーダーアルバムの制作はそれほど多くはないが、他のミュージシャンが残したルグラン作曲の名演奏は枚挙にいとまがない。特に本作のテーマソングはジャズやポピュラーの演奏でも有名であり、映画は観たことなくてもそのテーマを知る人は多いだろう。ストーリーにそれほど魅力を感じる部分は少ないのだが、やはり若き日のカトリーヌ・ドヌーブの存在感は圧倒的である。何より本作に酔う人はミシェル・ルグランの音楽の魔法に掛けられていると言っても過言ではない。

シェルブールの雨傘 感想まとめ

音楽に慣れてくると、パリの裏町風景とカラフルな色彩に目を奪われる。インテリアの装飾も従来のフランス映画とはイメージが違う万華鏡のような色彩である。一般的なフランス映画という固有名詞は、あまりにも有名な本作にイメージを準えている人が多いのではないだろうか。しかしフランス映画ではこのような作品の方が希であり、どちらかといえば退廃的で圧迫感のある耽美的な映画の方が多いのである。確かに美しくロマンティックなストーリーではあるが、ヒロインのカトリーヌ・ドヌーブばかりに目を向けるのではなく、革新的な手法と音楽の良さを改めて認識していただきたいものである。何の変哲もないエンディングも音楽のためにドラマチックな演出に変貌するのだ。

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