映画『クラウド アトラス』あらすじとネタバレ感想

クラウド アトラスの概要:「マトリックス」のラナ&アンディ・ウオシャウスキー姉弟と「ラン・ローラ・ラン」のトム・ティクヴァ監督合作のSFファンタジー。トム・ハンクスやハル・ベリーなど人気俳優の1人6役の演技に注目。

クラウド アトラス あらすじ

クラウド アトラス
映画『クラウド アトラス』のあらすじを紹介します。

1、「弁護士アダム・ユーイングの航海日誌」

1849年、アフリカを航海中、寄生虫の病にかかってしまった弁護士アダム・ユーイング(ジム・スタージェス)。彼は、モリオリ族の奴隷オトゥア(デビット・ギャスィ)と出会い、水兵として船で働かせてもらえるよう頼まれます。
彼を診察する医師ヘンリー・グース(トム・ハンクス)は、毒を盛ってアダムを殺そうとします。その危機を救ってくれたのが、オトゥアでした。故郷に帰ったのち、妻ティルダ(ペ・ドゥナ)と共に奴隷解放運動を始めます。

2、「クラウド・アトラス6重奏」誕生の秘密

1936年、ケンブリッチ。ゲイの作曲家、ロバート・フロビッシャー(ベン・ウィショー)は、エジンバラに向かい、老作曲家ヴィヴィアン・エアーズ(ジム・フロードベント)の作曲の手伝いを始めます。
採譜から始まり、やがて自分なりの曲を作りたいと望むようになりますが、傲慢な老作曲家はフロビッシャーの全てを奪おうとし、それに怒った彼は誤って老作曲家を殺してしまう。彼には恋人ルーファス・シックススミス(ジェイムズ・ターシー)がおり、自殺の直前まで手紙をしたためます。
また「弁護士アダム・ユーイングの航海日誌」をフロビッシャーは見つけ、読んでいました。

3、「ルイサ・レイ事件」

1973年、ゴシップ記者のルイサ・レイ(ハル・ベリー)は、停電したエレベーターに偶然乗り合わせた、老ルーファス・シックススミスから、重要な文書を預かります。その文書を基に、企業の不正を糾弾しようとするが、自らの命を狙われることに!
彼女を想う、アイザック・サックス博士(トム・ハンクス)も航空機事故で死亡。後にルイーザと同じ、”星の傷”を持つ物理学者メーガンにシックススミスの文書を託します。

4、「老編集者ティモシー・キャベンディシュの脱出劇」

2012年、老編集者ティモシー・キャベンディシュ(ジム・ブロートベント)は、作家ダーモット(トム・ハンクス)の出版パーティに参加。そのパーティで、ダーモットが怒りに任せて批評家フィンチを窓から投げて殺してしまう。
ダーモットの小説「顔面パンチ」は馬鹿売れするが、殺しのとばっちりを受け、キャベンディシュはヤクザからお金を要求されてしまう。キャベンディシュには、双子の兄がおり、兄に助けを求めたが、兄が潜伏先として用意したのは、体罰が日常化している老人施設だった。
キャベンディシュは、ノークス看護婦(ヒューゴ・ウィービング)の度重なる暴力に耐えかね、施設の仲間と共に車で脱出。酒場で、施設の実態を告発!”犯罪者のえじきにはならないぞ!”と強く抗議します。

5、「ネオソウル~クローン少女ソンミと革命」

2144年、ソンミ451(ペ・ドゥナ)は、クローン少女で給仕係として働いていた。同僚のユナ939(ジョウ・シエン)と共に「カベンディシュの大災難」という映画を鑑賞。そんな折り、ユナが反乱を起こして殺されてしまう。
ソンミの身もあぶないと、チャン・ヘチュ(ジム・スタージェス)が現れ、共に逃亡。やがて、保安部のような組織に捕まり、ソンミは尋問を受けます。”命は自分のものではない。全ての罪、全ての善意は未来へと繋がる”と話す、ソンミ。やがて革命のリーダーとなった彼女は、志半ばで拘束・殺される運命に!

6、「崩壊後の地球」

2321年、ヴァリーズマン・ザックリー(トム・ハンクス)は、同じ部族のアダムを見殺しにしてしまう。遠い星から来たネロニム(ハル・ベリー)は、核に汚染された地球を救いたいと考え、ザックリーに相談します。ザックリーは信用しないが、姪の病を治すことを条件に聖なる山への導き手としての仕事を引き受けます。
ザックリーは常に”オールド・ジョージ”の存在に怯えていた。ある日、怖い夢を見たと魔術師に相談すると、”橋が崩れたら下へ逃げろ”と”相手の寝首を搔いてはならない”というお告げを聞く。ザックリーの村は、コナ族に襲われ、壊滅状態に!しかし、姪の女の子は救うことができた。

エピローグ

2346年、地球をはるかに離れた惑星。ザックリー(トム・ハンクス)は、子供たちを集めて、地球の歴史や魂の話を聞かせた。はるか地球を懐かしむザックリー。ネロニム(ハル・ベリー)と姪と共に別の惑星に移住し、3人に仲良く暮らしています。
”おばあちゃんを愛してる?”と姪に聞かれ、”ああ、私の1番愛する人だよ”と答えます。おばあちゃん、とは、ネロニムのこと。2人は仲睦まじくいつまでも暮らしました。 ・・・6つの世界、6つの時代を紡ぐ、壮大な愛と魂の救済の物語。

クラウド アトラス 評価

  • 点数:90点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★★
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★★
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:2012年
  • 上映時間:172分
  • ジャンル:SF、ファンタジー、アドベンチャー
  • 監督:ラナ・ウォシャウスキー、トム・ティクヴァ、アンディ・ウォシャウスキー
  • キャスト:トム・ハンクス、ハル・ベリー、ジム・ブロードベント、ヒューゴ・ウィーヴィング etc

クラウド アトラス ネタバレ批評

映画『クラウド アトラス』について、感想批評です。※ネタバレあり

雲の彼方にある光~壮大な愛と魂の救済をめぐる物語

「クラウドアトラス」は、6つの世界・6つの時代を紡ぐ壮大な愛と魂の救済を描いた物語。長老ザックリーを演じる、トム・ハンクスやハル・ベリーなど人気俳優が1人6役を表現しています。輪廻転生の思想は、日本人にとっては理解できますが、男女の性が入れ替わって転生するとか宗教性を薄めて盛り込んである点が自然で好感を持てます。

一見、複雑に見える世界ですが、ラナ&アンディ・ウオシャウスキー監督とトム・ティクヴァ監督の物語再構築と映像のセンスの良さが光っています。難しすぎるという方は、何度か映画を観てもらうか、原作小説を読むことをおすすめします。全てが分からなくても、好きな俳優がどの時代のどんな人物か追いかけるのもいいでしょう。エンドロールを観るとこんなに一人で演じているの!とびっくりします。

ただ物語を追うだけでない楽しみがありますね。この映画のスゴイところは、ただの転生物語で終わらないこと。転生した先で、誰もが様々な困難に立ち向かいます。さりげなく辛辣に問題提起されているのに気が付きましたか?”文明が崩壊した世界”では、放射能汚染を、”19世紀のアダム弁護士の航海日誌”では、黒人差別撤廃運動を、1970年代の”ルイサ・レイ事件”では、ハル・ベリー演じるゴシップ記者、ルイサ・レイが企業の不正の事実を追いかけています。

また19世紀のエジンバラでは、ゲイの作曲家の愛と苦悩が描かれており、マイノリティや人種差別に対しての3人の監督の強い意識がうかがえます。ただ、残念だと思ったのは、近未来、ネオソウルの町の描き方です。中国や韓国、日本の雰囲気をミックスしたような造りとありきたりな近未来都市を観ていると、なぜかちぐはぐな感じがして美術的に好きになれませんでした。

そして、気になる言葉がたくさんあります。その1つが”犯罪者の餌食にはならないぞ!”という強い言葉。老人施設から脱走した、老編集者の口癖。長い間、虐げられた人々の気持ちを代弁しているかの様です。本作は3時間に近い大作ですが、愛やSF、ファンタジー、ミステリーと要素がたくさん詰まっています。

”クラウド・アトラス6重奏”を奏でる、ベン・ウィショーの魅力

人気俳優が大勢出演し、まるで壮大な魂の交響曲を聞いているかのよう。特にベン・ウィショーの演技が素晴らしいのです!彼は、野心を持ったゲイの作曲家や双子の兄の妻、レコード店の店員など1人6役を演じています。なかでも、野心を持ったゲイの作曲家役がぴったり。気品があり、恋人にしたためる手紙に彼の優しさや苦悩が表現されています。

いつの時代でもマイノリティに対する偏見や差別が根深いこと、それを乗り越えようとする強い意志が、この映画の核にあるのではないでしょうか。自殺してしまうシーンでは悲しくやり切れない想いがしました。ベン・ウィショーの魅力は、繊細な演技とあるがままの存在力です。彼の演技をトム・ティクヴァ監督も絶賛しています。

トム・ティクヴァー監督の、「パフューム ある人殺しの物語」(06)では、主人公ジャン=バディスト・グルヌイユを鬼気迫る演技で魅せてくれます。この作品もおすすめです。ちなみにトム・ティクヴァ監督は、1936年と1973年、2012を監督したそうです。(それ以外の年代は、ウォシャウスキー姉妹が監督。)

クラウド アトラス 感想まとめ

”命は自分のものではない。全ての罪、全ての善意が未来へと繋がる”とクローン少女ソンミ451は言う。死を超えて出会い、また巡っていく。クラウドアトラス6重奏が奏でる世界。自分の命もまた誰かの命、未来へ繋がっていると考えると、とても幸せな気持ちになれる作品です。複雑な世界ですが、最後はトム・ハンクス演じる、ヴァリーズマン・ザックリーの人生へ集約されます。

「マトリックス」シリーズのラナ&アンディ・ウォシャウスキー姉弟の永遠のテーマである、”マイノリティの幸せ”と「ラン・ローラ・ラン」のトム・ティクヴァ監督の”反復とリズム”が上手く合体して成功した映画だと思います。3時間近い長編であるが、一瞬の夢のように鮮やかで面白いのは、”アクション・カット”などのリズムよい映像技術とたくさんの人生を生きた俳優力が魅力だからです。

深く、人生について考えさせられます。ただ無理に理解しようとしなくてもいいのです。だけど、”輪廻転生”という考えがあれば、少し生きやすくなると思いませんか?最後に、1936年のゲイの作曲家フロビシャーが残した言葉でお別れしましょう。”よりよい世界が君を待っている。次の人生で会おう。R・Fより”。

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