『黄金を抱いて翔べ』あらすじ&ネタバレ考察・ストーリー解説

高村薫原作、井筒和幸監督によるサスペンス。主演は妻夫木聡。銀行地下金庫に眠る金塊の強奪計画を企てる6人の男たちを描く。キャッチコピーは「札束より欲しいもの、おまえにはあるか?」

あらすじ

黄金を抱いて翔べ』のあらすじを紹介します。

大学の同級生である北川(浅野忠信)に連れられ、幸田(妻夫木聡)は故郷、大阪へと帰ってきた。幸田の住居や働き口などを世話する北川は、ある企みを申し出る。それは銀行の地下に眠るという金塊を強奪する計画だった。「お金と違い金塊は永遠にある」という持論から、最高の汗をかこうと幸田に誘いかける北川。作戦次第だという冷静な幸田。2人は計画に必要な人材を集めていくのだった。

幸田は北川の自宅に呼ばれ、行ってみると野田(桐谷健太)を紹介される。野田はコンピューター会社に勤めるサラリーマンで、セキュリティシステムに詳しかった。さらにエレベーターの作業員をしていたという野田の友達の”じいちゃん”(西田敏行)、幸田が昔東京で会ったという爆弾魔の”桃太郎”ことモモ(チャンミン)の名前も挙がり、着実に仲間を探していくのだった。そんな時北川の弟、春樹(溝端淳平)に北川と野田の電話を聞かれ計画がバレてしまう。口止めに失敗し家を飛び出した弟の面倒を見て欲しいと幸田に頼む北川。ギャンブル依存かつリストカット癖のある春樹を迎えに行くと、そこはモグリの賭博場。その賭博場含め裏社会を仕切るキング(青木崇高)に春樹と幸田は目をつけられてしまうが、何とか逃げ切ることに成功した。

その後、モモは元北朝鮮のスパイで脱藩した今は裏切り者として追われていること、さらに来日後、兄を殺したため日本の警察からも指名手配されていることが分かる。人殺しと組むのはごめんだと計画を降りようとする幸田だが、北川に説得されモモを追手から助ける。それでも一時は計画の加担に反対したモモだったが、「人に誘われるのは初めてだから」と仲間に加わることを決意。さらに仲間入りを志願した春樹も含め、6人の男による綿密な計画が実行されていく。

果たしてその計画とは。そしてそれぞれの男が抱える闇が、徐々に明らかになっていく…。

評価

  • 点数:60点/100点
  • オススメ度:★★★☆☆
  • ストーリー:★★★☆☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★☆☆
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:2012年11月3日
  • 上映時間:129分
  • ジャンル:サスペンス
  • 監督:井筒和幸
  • キャスト:妻夫木聡、浅野忠信、桐谷健太、溝端淳平、チャンミン etc…

ネタバレ考察・ストーリー解説

『黄金を抱いて翔べ』について、3つ考察・解説します。※ネタバレあり

モモがお兄さんを撃った理由

まず、モモが北朝鮮の工作員として日本に潜伏しているとき、自国の情報が敵である日本の公安や韓国側につつぬけになっていると判明します。その裏切り行為がモモの仕業であり、彼は二重スパイだという疑いをかけられ追われる身となります。裏切り者を抹殺したい北朝鮮が送ってきた刺客が、お兄さんだったのです。それに感づいたモモは引き金を引きますが、「殺さなければ、自分が殺されていた」と震える声で語っています。

じいちゃんはなぜ自殺したのか?

自分の仕事を終えたあと、誰にも何も言わず首を吊ったじいちゃん。幸田がそこに駆けつけると、そばには吹田カトリック教会の判が押された聖書が。めくってみると、1枚の写真が挟まれています。そこにはなんと幼い幸田と母、さらに神父の格好をしたじいちゃんが写っていました。幸田は5才の頃吹田カトリック教会に放火した過去がありますが、その罪を神父さんが被ってくれたとモモに告白します。その神父さんこそがじいちゃんであり、幸田の父だったのです。モモの情報を売ったと白状するじいちゃんに対し幸田は「そのうち、金貨を投げ捨てて首を吊る時が来る。血の畑に埋められる時が来る。」と聖書の言葉を口にします。さらに「モモに何かあったら責任を取れ」という幸田。実の息子の言葉に、じいちゃんは秘めた決意をしたのだと思います。そして幸田の言葉通り、責任を果たし首を吊ってしまったのです。

幸田が最後に見た海の映像の意味は?

原作では実際に幸田たちが船に乗る描写があるそうですが、映画では恐らく幸田と北川の望む「人間のいない土地」へと向かう船なのではと思いました。

まとめ

エンドロールが流れた瞬間、えっ終わり?と思ったのが最初の印象です。北川が恐らく幸田の、恐らく死体を川に沈めるラストもそうですが、奪った黄金がどうなったのか。生き残った北川と野田はどんな生き方をしたのか。春樹は無事なのか。など様々な疑問を残したままエンディングを迎えたので少々不完全燃焼の思いが強いです。ですが脱走劇を描く映画なども逃げ仰せたところで終わる場合が多いので、今作も強奪に成功したその後を描く必要は無かったのかとも思います。
その上で、この強奪計画は少々杜撰すぎるのでは…と思った部分が多々あります。走行するトラックからダイナマイトを奪う時も、仮にも指名手配犯として報道されたモモが顔をまるっきり隠さず行動していますし、運転席にいた男2人のうち1人は気絶させることなく威嚇して終了です。そしてダイナマイトという危険物を運んでいたにも関わらずあんなにあっさりと荷台が開いていいものなのか…と不安になりました。極めつけは最後に黄金の入った金庫を開けるシーンですが力任せにハンマー、ノミ、バーベル等の道具を使って割とあっさりこじ開けます。1990年に生まれた原作といえども、2012年の映画でそんなアナログな金庫に240億の金塊をしまう銀行などあり得ない、と違和感ばかり覚えてしまいました。
その代わり、キャストの皆さんの演技力が素晴らしくてストーリーよりもそちらの印象が断然強いです。妻夫木さんの暗く重みのある表情や言葉、浅野さんの軽快かつ豪快な行動力、桐谷さんのコテコテの大阪弁に加え唯一計画の途中で怯えてしまう脆さ、溝端さんの狂気的な存在感、チャンミン(東方神起)の冷酷な面とふいに見せる温かさ、そして西田さんの人生に何の面白みも感じていないような陰鬱な空気など、それぞれの人間性が有り余るほどに伝わってきて感動しました。なので爽快な強奪映画を期待する場合あまりオススメできませんが、特にこの6人のファンの方は見るべき作品だと思います。

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