映画『断崖』あらすじネタバレ結末と感想

断崖の概要:ケイリー・グラント主演のスリラー・サスペンス。共演はジョーン・フォンテーン、セドリック・ハードウィック。原作はフランシス・アイルズの「犯行以前」。アルフレッド・ヒッチコック監督の1941年米国映画。

断崖 あらすじネタバレ

断崖
映画『断崖』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

断崖 あらすじ【起・承】

ロンドン発ハズレイン行きの電車。トンネルを抜けて明るくなった時、リナ・マッキンロー(ジョーン・フォンテーン)の向かい側に男が入ってきた。リナは、メガネをかけて児童心理学の本を読んでいた。

そこへ、車掌が入ってきて切符を見るが、向かいに座る男の切符は3等車両の物らしい。追加料金を支払おうとするが、手持ちのお金がなく、ずうずうしくもリナにお金を借りようとするのだった。

リナのバッグを覗き込んだ男は、切手を見つけ、不足分として車掌に渡すのだった。男の名前はジョン・アイガースでジョニー(ケーリー・グラント)と呼ばれているらしい。女に人気があるらしく、彼が載った新聞を見てリナは驚く。

ある日、ジョニーは馬場で、大勢の女に囲まれていたが、偶然、富豪の娘リナの姿を見つけた。後日、ジョニーは3人の女を連れて、リナの自宅に現れた。その日、自宅で読書をしていたリナはまた驚く。

教会に行くという3人と連れ立って歩くが、途中でジョニーと2人きりに。風が強く、リナの帽子が吹き飛ばされてしまう。そんなリナの髪を優しく直すジョニー。自宅まで送ってもらうが、午後3時にまた会いたいとジョニーに言われます。

リナはジョニーをあまり快く思わなかったが、部屋で父親と母親の会話を耳にして悲しくなってしまう。父親は、リナのことを男嫌いのようだと言っていた。その言葉を聞いたリナは、衝動的にジョニーとキスをしてしまう。

その後、昼食の場で、両親にジョニーを夕食に招待したいと話す。しかし、両親は相手が女たらしのジョニーだと聞いて怒ってしまう。その時、ジョニーから電話が。会えなくなったと聞き、落ち込むリナ。

数日間、会えない時間が続き、リナはジョニーへ思いを募らせた。郵便局を訪ねても、1通の手紙もない。あきらめかけた頃、舞踏会の誘いの電報が届いた。”舞踏会でお会いしたい。あなたのことが忘れられないんです!”と。

舞踏会には、胸の部分が開いたドレスを着て出かけた。ジョニーはなかなか現れなかったが、リナは彼を見つけるとすぐに駆け付けた。2人はダンスを楽しみ、すぐに舞踏会場を後にした。

ジョニーが運転する車の中で、2人はキスを交わした。そして向かったのは、将軍の肖像画が掛けられた部屋。リナはとても素敵な部屋だと言い、2人はそこで結婚の約束をした。

リナは、郵便局へ行くと言って、ジョニーと駆け落ち結婚をした。ベニスなどを巡った新婚旅行から戻ると、ジョニーの新居に移った。しかし、新居にはメイドの女の子がいてまたも驚かされてしまう。

そんなところへ、ジョニー宛ての電報が届いた。内容は、友人に借りた1000ポンドの請求で、新婚旅行で使ったお金でもあったのだ。

断崖 あらすじ【転・結】

夫ジョニーの事が不安になったリナは、ジョニーに働くように勧めた。すると、この結婚を反対していたと思っていた母親から電話が。父親からの先祖伝来の椅子も結婚祝いとして贈られた。

ジョニーは、ほどなくして不動産会社で働き始めた。だが、ある日、部屋にあるはずの父親から贈られた椅子が2脚なくなっていた。ジョニーの悪友ビーキー(ナイジェル・ブルース)によると、競馬の借金に売ったのではないかと言う。

リナは、ジョニーに問いただすと、ビッキーのいとこに1脚100ポンドで売る約束をしたと話すのだ。リナは絶望するが、ある日、町の家具屋で椅子が売られているのを見るのだった。

そんな折、ジョニーがたくさんの贈り物を持って帰ってきた。リナは、椅子が買い戻されたと知り、安心した。ところが、その6週間前にジョニーが不動産会社をクビになっていたのだ!

離婚を決意したリナのもとに、電報が届いた。最愛の父が心臓発作で亡くなったという知らせにリナは悲しみに暮れた。父の遺産分配で得られたのは、将軍の肖像画1枚だけだったのだ。

ジョニーはこの処遇の不満だったが、新しい仕事としてビーキーと共に不動産会社を始める計画を立てた。しかし、上手くゆくはずもない。リナは、夫への疑惑の念を抱き始めます。

ジョニーとビッキーの話を聞きながら、”DOUBT(疑惑)”という単語から発展させて、”R”の入った”MURDER(殺人)”。そして、殺人に”ER”を加えれば、”殺人者”という様に妄想した。

ジョニーはそんな妄想に関せずだったが、リナにはジョニーがビッキーを断崖から落としている情景が浮かんでくるのだった。翌朝、リナは現場に行った。断崖には轍が残っており、疑惑が深まってゆく。

ある日、オドソン警部らが訪ねてきて、”イギリス人死亡 スウェイト氏パリで謎の死”という新聞記事を見せるのだった。ビッキーの死にジョニーが関わっているのではないか?ジョニーの行方を知ろうとロンドンのクラブに電話すると昨日発ったと言う。

次にリナは、女流推理作家のイザベルを訪ねた。ビッキーの事件について相談すると、彼女の小説「歩道橋の殺人」とよく似ており、殺人事件に間違いないだろうと言われます。

その後、保険会社からきたジョニー宛ての手紙をリナは盗み見た。そこには、リナに保険金が掛けられていることが書かれていた。ジョニーは自分を殺そうとしているの?

ジョニーがヒ素など毒物の話をするのもおかしい。リナは、風邪気味だといって別室で休もうとして倒れてしまう。リナが目覚めた時、ジョニーとイザベルがいた。リナは、イザベルからジョニーがまた毒の話をしていたと聞き、恐ろしくなってしまう。

その後、ジョニーがミルクを持ってきてくれたが、ミルクの中に毒を入れているのではないかと疑い、飲むことができない。翌朝、実家に戻るとリナはジョニーに伝えた。ジョニーの運転で実家に戻る途中、運転が乱暴になった。

断崖が見え、恐怖で叫び声をあげるリナ。彼女を受け止めたジョニーは、一連の事件について告白した。”ビッキーとパリには行ってない。リバプールでお金を借りようとしたが上手くゆかなかった”と。

毒について話していたのは、自殺するためだったらしい。初めて、ジョニーの真実を知ったリナは、急に彼への愛情が大きくなるのを感じて彼と再び暮らすことを決意するのだった。

断崖 評価

  • 点数:70点/100点
  • オススメ度:★★★☆☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:1941年
  • 上映時間:99分
  • ジャンル:サスペンス、コメディ、ラブストーリー
  • 監督:アルフレッド・ヒッチコック
  • キャスト:ジョーン・フォンテイン、ケイリー・グラント、ナイジェル・ブルース、セドリック・ハードウィック etc

断崖 批評・レビュー

映画『断崖』について、感想と批評・レビューです。※ネタバレ含む

ジョーン・フォンテーンの繊細な表現が際立った、愛の妄想ワールド!

ヒッチコックの「断崖」。あまり人気がない作品ですが、ジョーン・フォンテーンの繊細な演技に注目してみたいと思います。

原作は、夫が殺人者で妻が殺されてしまうという筋書きですが、映画を観ると妻の妄想がメインに描かれています。

前半部分の、ジョニーに恋こがれるリナの表情が純粋でいいのですが、後半にかけて執拗なまでの夫への疑惑がすさまじい!ヒッチコックのサスペンス効果がよく効いています。

ジョーン・フォンテーンがこの作品でアカデミー賞主演女優賞を受賞したのもうなずけます。しかし、作品全体としては、妄想だけでは盛り上がりに欠けるし、ヒロインにも共感できない。

見どころとしては、ミルク入りのカップをケーリー・グラントが運んでくるシーン。ミルクの中に毒を入れているのではないか?とジョーン・フォンテーンは疑ってしまう。

白黒映画なのに白さが際立っているのも特徴。どうやって撮影したかはミルクの中に豆電球を仕込んで撮影しているそうですが、とても不思議な映像です!

ヒッチコック作品は、細かいところにまで注目して観るのがおすすめです。

ケーリー・グラント×ヒッチコック

ヒッチコック作品との相性抜群の俳優といえば、ケーリー・グラントではないでしょうか。本作では、妻に疑いをかけられる優柔不断で頼りない男。

ヒッチコック作品に限っていえば、「断崖」、「汚名」、「北北西に進路を取れ」、「泥棒成金」の4作に出演しています。4作とも違うキャラクターを演じ、特に「泥棒成金」(55)でのグレース・ケリーとの濃密なキス・シーンは外せない!

1953年に1度映画界を引退し、ヒッチコックの誘いによって、「泥棒成金」でカムバックしたのは有名な話です。それほど、グレース・ケリーとの共演が魅力的だったのでしょう。

彼の魅力は、ヒロインを輝かせるヒーロー役が誰よりも似合うこと!たとえ、情けない男を演じたとしても、女優との親和力がいいのだ。

断崖 感想まとめ

サスペンスの帝王として知られるヒッチコックは、犯罪心理だけでなく女性心理に長けた映画人であることが分かります。

特に妄想する女性の不安感や恐怖といったら!「サイコ」ほどの恐怖や説明はないものの、夫への疑惑から自分が殺されるかもしれないという強迫的思考に憑りつかれる様が見事です。

ヒッチコックのサスペンス効果、恐るべし!また、ジョーン・フォンテーンの繊細な演技はいいのですが、まだ若いのに(当時22歳)ずいぶん年を取った女性に見えるのが意図的なのかどうか分かりません。

謎がたくさん隠された作品でもあると思います。有名な、ケーリー・グラントがミルクを運ぶシーンにしてもなぜ白を際立たせているのか?もしかすると、恐怖感を増すためかもしれない。

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