「だれも知らない建築のはなし」建築家の未来とは?本音に迫る73分。

だれも知らない建築のはなしの概要:国際的建築家、磯崎新氏他3名と海外の建築専門家にインタヴューした建築ドキュメンタリー。未来の建築への想いが語られる73分。石山友美が磯崎新アトリエ勤務を生かして本音に迫った初監督作。

だれも知らない建築のはなし みどころ

だれも知らない建築のはなし
映画『だれも知らない建築のはなし』の見どころを紹介します。

建築知識ゼロでも分かる!

建築について知らなくても、建築家の名前は知っていると思います。この映画は、日本を代表とする建築家・磯崎新氏、安藤忠雄氏、伊藤豊雄氏の3名と建築界で活躍する専門家にインタヴューしたものをまとめたドキュメンタリー。

テーマは建築家の未来についてです。建築家が普段、どんなことを考えて建物を作っているのか?建物が環境について与える影響など知りたいと思う内容ではないでしょうか。この映画を観たあとで、実際に建物を見よう!きっと新しい発見がありますよ。

建築家の問題意識を探る

東日本大震災以後、原子力発電所の事故や建物の耐震システムなど多くの不安を感じています。建築は自然環境をいかに生かすか、都市の再生を考えて作られていると思います。しかし、テクノロジーの暴走や自然災害で予測のつかない事態が起きた時、対処することは難しいのです。

建築の限界がそこにあるのではないか。また人口減少と共に人口が都市部に集中するという傾向もあります。もう、問題点だらけだよと頭を抱えてしまいますが、建築家はその点偉い!長い時間で物事を考えて作っているからです。

安藤忠雄氏は、「都市と自然」という本で、神戸の震災後に木を植えることで復興の力を起こし、環境を整えていく活動をしています。建物を建てて終わりではないのだと。建物は生き物なのですね。どう環境と関わっていくかが大事なんです。

そういった考えが反映されている作品が、「直島の地下美術館」(2004)です。水をモチーフにした作品が特徴です。

建築はまた都市計画とも密接な関係があります。特に公共建築として図書館や美術館、コンサートホール等が作られます。本当にその町に合った施設なのか?周りの景観を壊してないか?芸術面だけでなく、生活を重視して考えなくてはならない。本当に大きな仕事なのです。

日本建築とヨーロッパ建築の違い

ヨーロッパは、イタリア・フィレンチェの建築を手本にして、木造建築から石造建築へ進化していったようです。日本はというと、木造建築から日本独特の和様建築(神社や寺、茶室など)へ発展していきます。和様建築、つまり日本的なものが重要だと磯崎新氏は著作で述べています。

つくばセンタービルを設計した時、「日本的なもの」を求められていると感じたそうです。この和様建築について、ドイツの建築家ブルーノ・タクトが言った言葉がすごいのです!

「伊勢神宮こそ、全世界で最も偉大な独創的建築である」と。しかも、パルテノン神殿よりも素晴らしいそうです。建築って奥が深いですね。日本人として日本的な建築をもっと知りたいと思いませんか?

磯崎新氏の建物探訪~大分県編

磯崎新氏は大分県出身で、国際的建築家として活動しています。磯崎新氏の作品を3つ紹介したいと思います。

「アートプラザ」(旧大分県立図書館)

 1966年(昭和41)に完成。1967年に日本建築学会作品賞を受賞。のちに、県立図書館移転によって市民のための文化交流の場「アートプラザ」として再生されました。
アートホール3階の磯崎新建築展示室では、年間を通じて建築に関する資料や世界各地の建築模型を展示。定期的にアートイベントもされています。また1階と2階は市民ギャラリーとして利用できます。

住所:大分県大分市荷揚町3-31
電話:097-538-5000
開館:9時~午後10時。
☆磯崎新建築展示室は午後6時まで。
ウエブ:http://www.art-plaza.jp

「豊の国情報ライブラリー」

1995年2月に施工。県立図書館、先哲資料館、公文書館の3つの建物で構成している。特に、県立図書館はエントランス部分の吹き抜けと高い天井が特徴。また開架閲覧室に太い柱を配置しているのも面白い(百柱の間という)。

住所:大分県大分市駄原587-1
アクセス:大分交通バス「県立図書館」行に乗り、「県立図書館前」下車。電車なら西大分駅より徒歩約15分。

「湯布院駅駅舎」

1990年(平成2)に施工。中世イタリアの礼拝堂をイメージして作られています。木造平屋建て。改札口のない造りと待合室がアートホール(ギャラリー)になっているのが特徴です。1番ホームの端には、温泉の町らしく有料の足湯が利用できます。

住所:大分県由布市湯布院町川北8-2
足湯:大人¥160 小人¥80
☆特急「ゆふ」・「ゆふいんの森」・「ななつ星」、久大線の在来線が発着します。

建築家の未来とは

磯崎新氏は、「かくして孵化された都市は、崩壊する宿命にある。廃墟はわれわれの未来の姿であり、未来都市は廃墟そのものである。」と言っています。最近、廃墟や廃工場を訪ねるツアーが人気なのもなにか切ない感傷を感じるからでしょうか。

しかし、建築家は創造し続けます。日本の建築家があまり根づかない事や建築が多様化する社会に合致しているのかと悩みながら。建築の未来は明るいのでしょうか?それは本編を見てのお楽しみです。

建築家の存在意義へも鋭く突いたこの映画は意識変革をもたらす!必見のドキュメンタリーです。

まとめ

磯崎新氏、安藤忠雄氏、伊藤豊雄氏の3名と海外建築の専門家に建築家の未来についてインタヴューし、建築ドキュメンタリーとしてまとめた作品です。監督は、磯崎新アトリエ勤務の経験を持つ、石山友美。磯崎新氏をよく知るからこそ、独特の視点で撮れた貴重なものです。

この作品を観れば、建築への見方が変わりますよ。町を歩いて建物を見るのが楽しくなります。このドキュメンタリーは原題が「インサイド・アーキテクチャー~日本社会への挑戦~」です。日本の建築家の意識を高めるために、また建築を知らない人に興味を持ってもらうためにとても画期的な映画です。

日本独特の建築が世界に通用するのか。日本の建築を世界はどう見ているのか?
もっと日本の建築家が活躍できることを願っています。