映画『誰も守ってくれない』あらすじネタバレ結末と感想

誰も守ってくれないの概要:“犯罪加害者家族の保護”というテーマを扱った2009年公開の日本映画。容疑者逮捕から3日間、加害者の妹とそれを保護する刑事がどのような日々を過ごし、周囲はどう変化したかを描く。

誰も守ってくれない あらすじネタバレ

誰も守ってくれない
映画『誰も守ってくれない』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

誰も守ってくれない あらすじ【起・承】

刑事の勝浦卓美(佐藤浩市)は、妻子と別居中で離婚の危機に直面していた。
それを危惧した娘は家族旅行を計画。勝浦は同僚の三島(松田龍平)に付き合ってもらい、娘へのプレゼントを買っていた。

同じ頃、小学生姉妹刺殺事件の容疑者として18歳の少年の身柄が確保される。
勝浦と三島は上司の坂本からこの容疑者の家族の保護を命じられ、その自宅へ向かう。

自宅前はすでにマスコミや野次馬が押し寄せており、その中を少年が連行されていった。

自宅内では、父親と母親と妹の船村沙織(志田未来)が刑事に取り囲まれ、混乱していた。
3人は事情聴取のため別々の場所に移される。

勝浦と三島は沙織の保護を命じられ、車で移動する。
マスコミの執拗な追跡を振り切り、用意されたホテルに到着するが、そこもすぐにマスコミにリークされ、勝浦は沙織を自宅アパートへ連れていく。
三島は家宅捜索へ回される。

勝浦は沙織に自宅から携帯電話を取ってきてくれと頼まれ、沙織の自宅へ行く。
家宅捜索中の自宅は騒然としており、その中で沙織の母親がトイレで自殺を図り死亡する。

勝浦は精神科医の尾上に相談し、落ち着いてから沙織に事実を伝えようとするが、沙織は彼氏の達郎から先に母の死を知らされショックを受ける。

勝浦は、3年前薬物中毒の容疑者を尾行中、その容疑者が通行中の少年を刺殺した事件のトラウマで苦しんでおり、尾上のカウンセリングを受けていた。
さらに今回のことで新聞記者の梅本に3年前の事件のことを蒸し返す記事を書かれ、坂本から東京を離れるよう命じられる。

誰も守ってくれない あらすじ【転・結】

ネットの掲示板は今回の事件で祭り状態となっており、少年や家族の個人情報が垂れ流しになっていた。
マスコミは、容疑者の家族を保護し、さらに母親を死なせてしまった警察を一斉に叩いていた。

勝浦は沙織を、家族旅行で訪れる予定だったペンションへ連れていく。
オーナーは、3年前の事件で子どもを殺された本庄夫婦で、被害者家族だった。

本庄夫婦は、沙織が容疑者の家族だと知った上で受け入れてくれた。

翌朝、本庄はネット上の書き込みで沙織の兄が幼い姉妹を刺殺したと知り、同じく刺殺された息子のことを思い出し、勝浦に出ていくよう告げる。
しかしペンションの周囲はネットでこの場所を知った野次馬に取り囲まれていた。
しかも、沙織本人が勝浦を困らせるためにネット上へ書き込みをしたことがわかる。
勝浦は、ここを出ることもできなくなる。

東京から三島と捜査本部の刑事がやってくる。
沙織は事情聴取を受けるが、何も話さない。

その夜、東京から沙織の彼氏の達郎がやってくる。
沙織は喜び、達郎も宿泊することを許されるが、翌朝2人は姿を消していた。

達郎はネット投稿者に沙織を売り、沙織の盗撮動画がネット上に流されてしまう。
勝浦が沙織を見つけ救い出すが、勝浦はネット投稿者たちに袋叩きにされる。

達郎の裏切りに沙織は傷つき、自分を守ってくれた勝浦に心を開く。
そして、事件の当日に見た兄のことを話し始める。

沙織は三島たちと東京へ帰ることになり、勝浦はしばらく休暇を取ることにする。
沙織は勝浦が忘れていた娘へのプレゼントを勝浦に手渡しお礼を言い、2人は別れる。

誰も守ってくれない 評価

  • 点数:50点/100点
  • オススメ度:★★☆☆☆
  • ストーリー:★★☆☆☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★☆☆☆
  • 設定:★★☆☆☆

作品概要

  • 公開日:2008年
  • 上映時間:118分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ
  • 監督:君塚良一
  • キャスト:佐藤浩市、志田未来、松田龍平、石田ゆり子 etc

誰も守ってくれない 批評・レビュー

映画『誰も守ってくれない』について、感想と批評・レビューです。※ネタバレ含む

シリアスなテーマを掲げたリアル感のない演出と脚本

本作はテーマの割に全くリアル感のない映画だ。
なぜ多感な女子中学生である沙織の保護を、中年のおじさん刑事勝浦一人にさせるのか。
最初の設定から疑問を感じているところへ、マスコミが警察車両を追い回して交通違反をしまくりのカーチェイスを繰り広げる。
現実にこんなことがあれば、それこそ大問題だが、そこは当然スルーされる。

書き出すとキリがないが、最もひどいのはネット住民の描き方。
ここでのネット住民はネット上だけでなく、リアルな世界でも犯罪行為を繰り返す。
コントに出てくるようなオタク風の人たちが刑事相手に暴力を振るう演出には悪意すら感じる。
加害者家族にとって一番怖いのはマスコミよりもネット住民ですよと言いたいのかもしれないが、その安易な発想も受け入れ難い。

リアル感を出せないのなら、思わせぶりなテーマは邪魔でしかない。

誰にも感情移入できない

テーマを無視して違う視点で観るなら、心に傷を負った中年男性と家族を失った少女の逃亡劇という設定だけは名作「レオン」と似ている。

それが本作の狙いなら、この2人への感情移入があってこそ、観客は物語に引き込まれ、ラストシーンに胸が熱くなるのだが、そこもうまく描けていない。

まず主人公の勝浦の行動に観客が感情移入できるような動機が見えない。
結局勝浦は仕事だから沙織といて、行き場に困り、勝浦のミスで我が子を殺された(と勝浦自身は感じている)本庄夫妻に甘え、沙織に逃げられ、オタクに暴力を振るわれたことで幸運にも沙織が心を開いてくれただけではないか。
自分から積極的に沙織を守ろうとしたようには見えないのだ。

沙織からは、不安や苦しみよりも“何で私がこんな目に!”という怒りばかりが伝わってくる。

2人に感情移入できないまま迎えるラストシーンは、「レオン」と違ってとても虚しい。

誰も守ってくれない 感想まとめ

本当に加害者家族の現実と葛藤を伝えたいなら、しっかり取材をした上で、加害者家族の立場や心情や社会の不条理を、もっと丁寧に神経を使って描くべきではないだろうか。
そうしないと、本作の製作者は、作中に描かれている無責任なマスコミやネット住民と同じ、加害者家族をネタ扱いする野次馬になってしまう。

“現実にこういうことがある”と言わんばかりのテロップを出せば、これが真実なのだと信じる人がいてもおかしくない。それにしては内容が無責任すぎる。

これから本作を観る人は、その点に注意して“これは全部作り話なのだ”という認識を持って観てほしい。
佐藤浩市や志田未来のキャスト陣は熱演しているので、見方によっては楽しめるだろう。

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