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映画『ディア・ドクター』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『ディア・ドクター』の概要:高齢化が進む山間部の村で、唯一の医者として村人たちから慕われていた男が、ある日突然失踪してしまう。脚本・監督を務めた西川美和が、へき地医療や高齢化社会や死といった重たいテーマの作品を、人情味溢れるヒューマンドラマに仕上げている。笑福亭鶴瓶と八千草薫の自然な演技がとてもいい。

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映画『ディア・ドクター』の作品情報

ディア・ドクター

製作年:2009年
上映時間:127分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:西川美和
キャスト:笑福亭鶴瓶、瑛太、余貴美子、松重豊 etc

映画『ディア・ドクター』の登場人物(キャスト)

伊野治(笑福亭鶴瓶)
3年半前に神和田村の診療所に雇われ、村で唯一の医者として働いている。患者と丁寧に向き合う姿勢が喜ばれ、村人たちから慕われている。ところが、ある日突然失踪してしまう。
相馬啓介(瑛太)
研修医として、東京から神和田村へやってきた青年。父親は総合病院を経営する医者で、かなり裕福な環境で育った。真っ赤なスポーツカーに乗っている。
大竹朱美(余貴美子)
伊野の助手を務める看護師。医者だった夫と離婚し、シングルマザーとして息子を育てている。長年、緊急医療の現場にいた経験豊富な看護師で、とても頼りになる。
鳥飼かづ子(八千草薫)
神和田村でひとり暮らしをしている未亡人。3人の娘はそれぞれ独立している。胃の痛みに苦しんでいるが、なぜか病院へ行こうとしない。
斎門正芳(香川照之)
神和田村に出入りしている製薬会社の営業マン。伊野の秘密を知る人物。村のお年寄りとも顔見知り。軽度の胃潰瘍を患っている。
鳥飼りつ子(井川遥)
かづ子の三女。現在35歳。東京の大病院で女医として忙しく働いている。彼氏はいるが結婚はしていない。父親の法事のため、久しぶりに実家へ帰省する。
波多野行成(松重豊)
失踪した伊野の捜索のため、神和田村へ来た刑事。刑事らしく、何事も穿った見方をする。
岡安嘉文(岩松了)
波多野の上司。波多野と共に伊野の捜査を担当する。

映画『ディア・ドクター』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『ディア・ドクター』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ディア・ドクター』のあらすじ【起】

山深い過疎地の神和田村で、医者の伊野治が失踪する。3年半前、村長にスカウトされて村の診療所にやって来た伊野は、村人から名医として慕われ、年間2000万円の給与を受け取っていた。刑事の岡安と波多野は、村の人々に話を聞きながら、伊野の捜索を開始する。

研修医の相馬啓介は、2ヶ月前に東京からこの神和田村へやって来た。相馬は、とある総合病院の御曹司で、まだ研修医のくせに赤いスポーツカーを乗り回していた。村に来てすぐ、相馬は伊野のバイクと接触事故を起こし、診療所に担ぎ込まれる。伊野と看護師の大竹朱美は、意識を取り戻した相馬に運転手役を命じて、急患の診察へ向かう。

到着した家では、高齢のおじいさんが呼吸困難で苦しんでいた。診察中、おじいさんの呼吸が止まってしまうが、家族の希望で延命措置は見送られる。伊野は、大往生したおじいさんを抱き上げ、「ご苦労様」と労いの言葉をかける。すると、おじいさんが喉に詰まっていた赤貝を吐き出し、思いがけず蘇生する。これは単なる偶然だったが、村人たちは伊野の名医ぶりを讃える。

神和田村には1500人ほどの住民がいるが、診療所を引き受けてくれる医者がなかなか見つからず、4年間も無医村だった。そのため、やっと見つかった常駐医の伊野は、村人にとって神様のような存在だった。伊野は人間としてもよくできた人物で、村人たちに愛されていた。聞き込みを続けていた岡安と波多野は、そんな伊野がなぜ失踪してしまったのか、皆目見当がつかない。

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映画『ディア・ドクター』のあらすじ【承】

伊野と朱美は、診療所へ来られないお年寄りのために、定期的な訪問診療を行なっていた。相馬は伊野と朱美に同行し、へき地医療を学んでいく。医者が1人しかいないため、伊野は常に多忙で、夜中に叩き起こされることも珍しくない。しかし、伊野は嫌な顔ひとつせず、どんな患者にも誠実に対応していた。

岡安と波多野の捜査で、伊野の履歴書がデタラメであることがわかる。伊野がこの村に来て3年半になるのに、彼の正確な素性は誰も知らなかった。

失踪した日、伊野は鳥飼かづ子の娘のりつ子と、かづ子の病状について話をしていた。りつ子は、東京の大病院に勤務する女医だった。

夫に先立たれたかづ子は、この村でひとり暮らしをしていた。相馬が来て間もない頃、かづ子は畑で倒れていたところを近所の人に発見され、伊野の訪問診療を受ける。かづ子を診察した伊野は、彼女の重篤な病状に気づくが、みんなの前では夏バテということにしておく。

その夜、昼間失くしたペンライトを探しに来たという理由で、伊野はかづ子の家を訪ねる。ペンライトは、医者だった父親から伊野が譲り受けたもので、「Dr.K.Ino」のイニシャルが入っていた。伊野は、そのまま晩御飯をご馳走になり、自然な会話でかづ子の事情を聞き出していく。

かづ子は体調の異変に気付きながら、それを隠していた。もし、重病であると診断されたら、りつ子は母親を東京へ呼び、最新の治療を受けさせるだろう。かづ子は、できれば住み慣れたこの村で、静かな最期を迎えたいと思っていた。しかし、医者になった娘に「無理な治療はしたくない」とは言いにくい。そのため、あえて病院での検査を避け、1人で胃の痛みに耐えていた。

かづ子の気持ちを知り、伊野はどうするべきか悩む。「このまま自然な最期を迎えたい」というかづ子の気持ちは痛いほどわかるが、そのためには伊野も一緒に嘘をつかなければならない。しばらく考えた伊野は、かづ子の気持ちに寄り添う決意をし、とりあえず胃カメラ検査を受けてもらうことにする。かづ子も伊野を信用し、それを了承する。

翌日、伊野は朱美や相馬を早めに帰らせ、かづ子の検査を行う。胃カメラで胃の内部を撮影し、採取した組織は組織検査に回しておく。

映画『ディア・ドクター』のあらすじ【転】

岡安と波多野は、伊野の実家を突き止め、母親に連絡を取る。「診断のことで患者の家族とトラブルになった」と伝えると、母親は絶句する。そこで初めて、伊野が医師免許を持たない偽医者であることが判明する。

朱美は、伊野が偽医者であることに薄々気づいていた。ある嵐の夜、土砂崩れに巻き込まれた村の作業員が、診療所に運ばれて来たことがあった。胸を強打していた作業員は、診療所で危篤状態となる。緊急医療の現場が長かった朱美は、破れた肺から漏れ出した空気が胸に溜まり、呼吸困難に陥っているのだと判断する。この場合、胸に針を突き刺して空気を抜くと、患者は助かる可能性が高い。朱美はそれを伊野に説明し、処置を施すよう促す。しかし、伊野は恐ろしくて手が出ない。朱美は思わず「私がやるわけにはいかないんだから!」と口走る。その言葉を聞いて伊野は覚悟を決め、朱美の指示に従い、緊急処置を施す。

朱美の的確な判断により、作業員は一命を取り留める。作業員の手術を担当した総合病院の医者は、伊野の処置を絶賛する。しかし、伊野と朱美の表情は暗かった。

岡安と波多野は、「3年半も一緒にいて、伊野が偽医者であることに気づかなかったのか」と、朱美を問い詰める。朱美は曖昧な笑みを浮かべ、話をはぐらかす。

細胞検査の結果、かづ子は末期の胃ガンであることがわかる。この事実を知っているのは、検査結果を受け取った伊野だけだった。伊野はかづ子に重度の胃潰瘍だと伝え、痛みや貧血の症状を和らげる薬を処方する。

岡安と波多野は、東京の病院に入院中のかづ子からも話を聞く。伊野が偽医者と知ってもかづ子は動揺せず、ただ自分がバカなのだと笑っていた。

伊野は独学で胃ガンについて勉強し、かづ子の治療を続ける。そんなある日、かづ子は夫の法事で娘たちが帰ってくることを気に病み、吐血してしまう。「娘が来るのを何とかして」とかづ子に懇願され、伊野は対策を考える。

製薬会社の営業マンとして村に出入りしている斎門は、最初から伊野の正体を知っていた。かつて伊野は医療機器メーカーの営業マンをしており、斎門と顔見知りだったのだ。伊野は斎門から薬を買うことで、秘密を守ってもらっていた。

伊野は、胃潰瘍を患っている斎門の胃を撮影し、その画像をかづ子の名前で保存する。斎門はその見返りとして、大量の薬を買ってもらう。

岡安と波多野が聞き込みに来た際、斎門はその事実を隠す。同業者の斎門には、医者になってみたかった伊野の気持ちが、何となく理解できた。

映画『ディア・ドクター』の結末・ラスト(ネタバレ)

かづ子の家に3人の娘が帰ってくる。りつ子は台所のゴミ箱で薬の包装ゴミを見つけ、何の薬かを調べる。医者のりつ子には、それが胃潰瘍の薬であることはすぐにわかった。りつ子は、2人の姉が帰ってから、母親にそのことを尋ねる。かづ子は、胃カメラも飲んで調べてもらったから心配ないと嘯く。

伊野を尊敬するようになっていた相馬は、他の研修を終わらせたら、再びここで働きたいと申し出る。伊野は、自分が相馬の思っているような人間ではないことを伝えようとする。伊野は思わず感情的になり、「俺は偽医者やねん、資格がないねん」と言ってしまう。しかし、相馬はそれを単なる謙遜だと思い込む。伊野もそれ以上は、何も言えなかった。

翌日、母親の病状について詳しい話を聞くため、りつ子が診療所を訪ねてくる。伊野は、かづ子のカルテや胃の写真(斎門の胃の写真とすり替えたもの)を見せ、丁寧に病状を説明する。写真で見る限り、かづ子は軽度の胃潰瘍のようだが、処方された薬の中には貧血の薬があった。りつ子には、それが引っかかっていた。伊野は、実はかづ子は痔なのだと嘘をつく。それを聞いてりつ子も納得し、伊野の診断を疑ったことを謝罪する。

数年前に亡くなった父親の病気に気づいてやれなかったことを、りつ子は今でも悔いていた。その話を聞き、伊野の良心が痛む。りつ子は「母のことはお任せします」と伊野に頭を下げる。伊野は複雑な心境で、次はいつ帰るのか尋ねる。忙しいりつ子は、恐らく1年後になるだろうと答える。末期ガンのかづ子が、1年後も生きている可能性は極めて低い。しかし、りつ子はその事実を知らない。激しく動揺した伊野は、突然席を立って診療所を出て行き、バイクでどこかへ行ってしまう。

途中の農道で、田んぼの向こうにかづ子を見つけた伊野は、バイクを降りて脱いだ白衣を大きく振る。その後、道端に白衣を捨て、村から出て行く。

伊野は斎門に、かづ子の検査結果を託していた。それを見たりつ子は、母親の本当の病状を知って愕然とする。これが、伊野が失踪するまでの顛末である。

失踪直後、必死で伊野の捜索を続けていた相馬や村人たちも、伊野が偽医者であると知って、態度を急変させる。岡安と波多野は、周囲の人々が伊野を本物の医者に仕立て上げようとしたのではないかと感じる。伊野は、村人の期待に応えようと必死で医者のふりをしているうちに、後戻りできなくなってしまったのだろう。

村から逃げ出した伊野は、公衆電話から実家に電話をかけていた。伊野は泣きながら、認知症の父親に「お父さんのペンライト失くしてしもうた、あれ盗ったん僕や」と詫びる。伊野の父親は、ちゃんと資格を持った優秀な医者だった。

かづ子はりつ子を気遣い、りつ子が勤務する東京の大病院に入院する。しかし、ベッドでぼんやりしている母親を見ると、りつ子は「あの先生なら、どんな風に母を死なせたのか」と考えてしまう。刑事からは村を訴えることもできると言われたが、訴えられるのは自分の方ではないかと、りつ子は思っていた。

村の診療所は閉鎖され、神和田村は再び無医村となる。伊野が偽医者だったと知って、さっさと東京へ帰ってしまった相馬も、村へは戻って来ないだろう。

警察の捜査がひと段落した頃、かづ子の病室に病院の職員を装った伊野が現れる。にっこり笑う伊野の笑顔を見て、かづ子は嬉しそうに笑う。

映画『ディア・ドクター』の感想・評価・レビュー

テーマがしっかりとしているヒューマンドラマ。くよくよ悩んでいる時間がもったいないということに改めて気づかせてくれる良作だった。
このようなヒューマンドラマは当然演者の力量が作品の質を大きく左右する。今作では主演の笑福亭鶴瓶と瑛太を筆頭に、すべての出演者がはまり役だったように感じた。他作品の吹き替え版などでは批判されることもある笑福亭鶴瓶だが、今作は彼以外では考えられないほどに伊野治という役をこなしていた。
時間は2時間を超える作品だが、長さが苦痛に感じるようなことはなく、心が温まる作品だった。(男性 20代)


深く考えさせられる物語だった。伊野治が行ったことは罪になるが、完全に悪だと言い切れない部分はあると思う。伊野が去った後、神和田村が再び無医村になってしまったところが切ないなと思った。この村はこれからどうなっていくのだろうと心配になった。
自分が死ぬとき、慣れ親しんだ村で過ごしたいと思う鳥飼かづ子の気持ちは理解できる。でも、娘のりつ子のことを考えると、複雑な気持ちになった。自分だったら、母が亡くなった後に真実を知ったら、後悔して伊野を責めてしまうだろうなと思った。(女性 30代)


医者のふりをしていた伊野に対する感情は見る人によって大きく異なると思いますが、私は100%彼が悪いとは思えませんでした。
村人と接するうちに後戻りが出来なくなり、医者のふりをし続けたのだと思いますがそれで救われた人がどれだけいたのでしょう。病気を治せるのは医者だけかもしれませんが、悲しみ苦しみなど人間が持つ負の感情を和らげてあげるのは誰でも出来ること。相手に寄り添い話を聞いてあげるだけで良いのかもしれません。
伊野のように医者のふりをするなんて大袈裟なことをしなくても、誰かの心を救うことは出来るのかもしれないと感じました。(女性 30代)

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