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映画『ドゥ・ザ・ライト・シング』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『ドゥ・ザ・ライト・シング』の概要:アメリカ、ブルックリンの黒人街を舞台に、ピザ屋の配達人ムーキーとその周囲の人々の何気ない暮らしを描きながら、人種差別問題に鋭く切り込んだ作品。スパイク・リーが脚本・監督を手がけたほか、自らムーキーを演じている。

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映画『ドゥ・ザ・ライト・シング』の作品情報

ドゥ・ザ・ライト・シング

製作年:1989年
上映時間:120分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:スパイク・リー
キャスト:ダニー・アイエロ、スパイク・リー、ビル・ナン、ジョン・タートゥーロ etc

映画『ドゥ・ザ・ライト・シング』の登場人物(キャスト)

サル(ダニー・アイエロ)
ブルックリンの黒人街でピザ屋を経営するイタリア系アメリカ人。黒人を毛嫌いしているかのような言動が多いが、根っからの人種差別主義者ではなく、むしろ自分の作ったピザを食べて街の子供たちが育っていくことを誇りに思っている一面もある。
ムーキー(スパイク・リー)
サルの店でピザの配達をしている。街の黒人たちの間で顔が広い。妹のジェイドと暮らしており、ティナとの間に子供が1人いるが、ティナの元には1週間に1度しか帰らない。ラジオ・ラヒームの死がきっかけで起こった暴動で、先頭に立ってサルの店を破壊する。
ラジオ・ラヒーム(ビル・ナン)
いつも大きなラジカセを持ち歩き、パブリック・エナミーの「ファイト・ザ・パワー」を大音量で流している。バギンに乗せられて、サルの店のボイコットに加わるが、サルに大切なラジカセを壊されてケンカになり、取り押さえようとした警官に殺される。
ピノ(ジョン・タトゥーロ)
サルの息子で、ビトの兄。根っからの黒人嫌いで、ムーキーのことも嫌っており、ムーキーと仲良くなっていくビトを店の裏に呼び出して暴力をふるっている。サルに店を売って黒人街を出ることを勧めている。
ビト(リチャード・エドソン)
サルの息子。ムーキーと仲が良いが、そのために黒人嫌いのピノにいじめられる。ムーキーから、兄を殴れとけしかけられるが、なかなかできずにいる。
マザー・シスター(ルビー・ディー)
窓際やアパートの前の階段で、街行く人たちの様子をいつも眺め、時々声をかけたりしている老齢の黒人女性。ときどきちょっかいを出してくるメイヤーのことが、昔の夫に似ていて嫌いだったが、徐々に彼に対する気持ちが変わっていく。
ティナ(ロージー・ペレス)
ムーキーの恋人で、ムーキーとの間に生まれた息子のヘクターと一緒に、母親と暮らしている。役柄とは別に、作品の冒頭で「ファイト・ザ・パワー」の曲に乗って踊りまくる。
ダー・メイヤー(オシー・デイヴィス)
街の人たちから「市長(メイヤー)」と呼ばれている老人。昼間から酒を飲んで街をウロつき、サルの店にも金をせがみに来る。若者からも馬鹿にされているが、正義派の一面も持ち合わせ、車に跳ねられそうになった子供を助けたりする。ビールはミラーと決めている。
バギン・アウト(ジャンカルロ・エスポジート)
ムーキーの友人。活動家気取りで口は達者だが、根は臆病で一人では行動できない。サルの店に黒人の写真が貼られていないことに文句を言い、ボイコット運動を起こそうとする。それがきっかけで大変な騒動を巻き起こす。エア・ジョーダンの靴を愛用している。
ミスター・セニョール・ラブ・ダディ(サム・ジャクソン)
街のマイナーラジオ局のDJ。12時間ぶっ通しの音楽配信番組を担当しながら、街の様子を中継している。
ジェイド(ジョイ・リー)
ムーキーの妹。美人でサルからも気に入られているが、ムーキーはサルが妹にやましいことを考えていると勘ぐる。ムーキーと暮らしているが、兄よりも稼ぎが良く、ろくな稼ぎをしない兄を養っている。
スマイリー(ロジャー・グーンヴァー・スミス)
言語障害のある黒人。黒人差別に反対しており、街中でキング牧師やマルコムXなど黒人活動家の写真を売っている。

映画『ドゥ・ザ・ライト・シング』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『ドゥ・ザ・ライト・シング』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ドゥ・ザ・ライト・シング』のあらすじ【起】

ブルックリンの黒人街の朝。「ウェイク・アップ」を連呼するDJダディの声で、みな目を覚ます。今日は気温が37度の猛暑になるという。朝からうだるような暑さの中、街の住人たちはそれぞれに活動を始める。

2人の息子とピザ屋を開けるサル。兄のピノは、黒人街で商売をすることにいつも反対してサルを怒らせる。配達人のムーキーは遅刻。メイヤーがふらっとやって来て、サルは彼に掃除をさせるかわりに1ドルを与える。それを見たピノは、うちは生活保護団体か、と悪態をつく。

メイヤーは、韓国人夫婦が経営する雑貨屋にミラー・ビールが置いていないことに文句を言いながら、別のビールを買う。道端でビールを開けるメイヤーをどやしつけるマザー・シスター。彼女は18年間、そうやってメイヤーに悪態をついている。メイヤーは、そのうち彼女が自分に優しい言葉をかけるようになると予言する。

ティナは、家で母親とケンカをしている。母親は、もうティナの息子の面倒を見るのは嫌だという。ティナは怒って自分の部屋に籠もり、息子に対して、お前の父親はろくでなしだと愚痴る。「父親」とは、ムーキーのことだ。

バギン・アウトがサルの店にやって来る。チーズが少ないことに文句を言いながら、ピザを頬張ろうとするバギン。そのとき、店の壁にイタリア系の有名人の写真が飾ってあるのに、黒人の写真が1枚もないことに気付く。バギンはサルに文句を言うが、サルは取り合わない。この小さないさかいが、後に大きな事件を引き起こす。

ピザの配達に行くムーキー。途中でメイヤーに声をかけられる。メイヤーは「Always do the right thing.(正しいことをしろ)」と言う。

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映画『ドゥ・ザ・ライト・シング』のあらすじ【承】

街の暑さはピークに達していた。黒人の若者たちが消火栓を勝手に開いて水をまき散らし、街の人たちは喜んで水浴びをする。調子に乗った若者が、通りがかった白人のクラシックカーを水浸しにする。怒った白人が警官に訴えるが、車が丸裸にされる前に立ち去れと、逆に警告される。

ムーキーはラジオ局に配達に行くが、サルはムーキーが道草をしないようビトを同行させる。ムーキーは、兄に押さえつけられているビトに、たまには兄をぶん殴れと諭す。しかし、ビトには兄を殴るような真似はできない。

街の路上では、スウィート・ディックとその仲間2人の中年オヤジが、下世話な話をしている。そのうちの1人、MLは、向かいの韓国人夫婦が経営する雑貨屋が儲かっていることに腹を立てている。夫婦は難民ボートで1年前にこの地に来て、商売に成功した。その後も3人の下世話な話は続く。

ムーキーとピノが人種問題で口論を始め、それをきっかけに街の住人や警官がそれぞれにイタリアン、黒人、プエルトリカン、韓国人、ユダヤ人などをけなし始め、DJのダディがそれを制止する。

配達途中のムーキーと出会ったラジオ・ラヒームは、愛と憎しみについてムーキーに熱く語る。その後、サルの店を訪れたラジオ・ラヒームだったが、サルからラジカセの音量を下げるように注意され、腹を立てる。

ムーキーは、配達途中で家に帰ってシャワーを浴びる。そんな彼を妹のジェイドは、サボってないでしっかり働けとなじる。

映画『ドゥ・ザ・ライト・シング』のあらすじ【転】

サルの息子ピノは、ピザ屋を売ってこの街から出ようとサルを説得する。ピノはこの街を「猿の惑星」のようだと言い、黒人は嫌いだという。しかしサルは、自分の作ったピザを食べて、この街の連中が育っていくことは誇りだと、心中を語る。

その頃、バギン・アウトは、サルの店をボイコットしようと街の人々に訴えるが、意外にもサルの焼くピザの評判はよく、誰もバギンの誘いに応じない。

太陽が西に傾いた頃、メイヤーは韓国人の店でバラの花を買い、マザー・シスターに届ける。マザー・シスターは冷たい態度だが、メイヤーが窓辺に置いていった花を見て少し表情が和む。

ムーキーが、サルの店に妹のジェイドを連れてくる。サルはジェイドには親切で、彼女のために特製のピザを焼くが、それをピノが険しい目つきで見ている。ムーキーも、サルが妹にやましい気持ちを持っているのではないかと勘ぐる。

街にアイスクリームを売る車がやって来て、子供がそれを走って追いかける。その後からスピードを出して走って来た車に跳ねらそうになった子供を、メイヤーは身を挺して助ける。メイヤーにケガはなく子供も倒れて擦り傷を作った程度で助かった。

子供の母親は、メイヤーが子供にケガをさせたものと思いこんでメイヤーを責めるが、真相を知ると、今度は子供を叱る。メイヤーが、恐い思いをした子供を叱る母親をたしなめると、母親は口を出すなという。すごすごとその場を立ち去るメイヤー。しかし、その様子を見ていたマザー・シスターは、珍しくメイヤーに優しい言葉をかける。

ムーキーはティナの家にピザの配達に行き、そこでティナと愛し合って帰ってくる。サルは上機嫌のムーキーを叱りながらも、思わず吹き出してしまう。ピノは、サルや弟のビトがムーキーと仲良くやっているのが気に入らず、ビトを倉庫に呼び出して乱暴を振るう。

映画『ドゥ・ザ・ライト・シング』の結末・ラスト(ネタバレ)

店を閉店した後に、黒人の若者たちがピザを食べにやって来た。ムーキーは閉店を理由に店の入口を開けないが、サルは、自分のピザを食べに来た客だと言って、彼らを店に入れてやる。

バギン・アウトとラジオ・モヒートがやって来る。相変わらずラジオ・モヒートのラジカセは大音量で、バギンは黒人の写真を店に飾れとしつこく迫る。怒ったサルは、バットでラジオ・モヒートのラジカセを叩き壊した。

大事なラジカセを壊されたラジオ・モヒートは、怒ってサルに掴みかかり、取っ組み合いのケンカが始まった。サルの息子たちや客の黒人の若者たちを巻き込んで、ケンカはちょっとした騒ぎになり、警官が駆けつける。そこでラジオ・モヒートを取り押さえようとした警官が、彼の首を絞めすぎて、殺してしまう。

驚いた警官はラジオ・モヒートをパトカーに担ぎ込み、バギンも拘束してパトカーで連れ去る。残されたサル親子と、ラジオ・モヒートの死で興奮した街の黒人たちが睨み合いになった。

メイヤーは、サル親子には責任はないと訴えるが、ムーキーがゴミ箱で店の窓ガラスを割ると、黒人たちが一斉に店になだれ込んだ。店を破壊し、レジの金を奪い、最後には火を放つ。警官と消防隊がやって来て、騒動は暴動に発展した。

暴動を必死に止めようとするマザー・シスターは、メイヤーに保護される。燃え上がる店を呆然と見守るサル親子。店の壁にあったイタリア系の有名人の写真も燃えていた。スマイリーがその代わりに、黒人指導者たちの写真を飾っていた。

一夜明け、メイヤーは、マザー・シスターの部屋のベッドで目を覚ます。マザー・シスターは、ベッドの側で、朝まで寝ずにメイヤーを見守っていた。部屋にはメイヤーから貰ったバラの花が飾ってあった。2人は、暴動が起きたものの、街が無事であるのを見て安心する。

ムーキーは、サルに最後の給料をもらいに行く。店の焼け跡の前で呆然と座り込むサルに、給料を要求するムーキー。週250ドルの給料だが、サルは100ドル紙幣を丸めて5つ、怒りを込めてムーキーに投げつける。

ニューヨーク市長が昨夜の暴動の原因を調査し、再発防止に努めると発表した、というニュースをDJダディが伝える。ダディは、メイヤー(市長)から本物の市長にビールをおごらせろとシャレる。そして、今日もまた暑い1日になることを街の住人に伝えるのだった。

映画『ドゥ・ザ・ライト・シング』の感想・評価・レビュー

アメリカの人種問題をさまざまな人の日常をベースに語られる映画で、アメリカの人種について歴史を知ったつもりでいた自分でも、今までの知識をひっくり返されたようだ。

最後の言葉は、まさしくその通りだと納得してしまった。それぞれのコミュニティの人に熱量があり、誰が正しいかということは言えない複雑な相互関係を良く描写していたと思う。全て観た後でタイトルの意味を考えると、現代に残り続ける問題も無視できないと気づく。(女性 20代)

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