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映画『トンマッコルへようこそ』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『トンマッコルへようこそ』の概要:朝鮮戦争下の韓国。南北の兵士はそれぞれ敵の攻撃を避け、森の奥を彷徨っていた。彼らは、戦争下にしては穏やかな人々に出会う。その人たちについていった先は、美しい小さな村だった…。音楽は久石譲が担当、韓国上映時にて800万人を動員した人間群像劇。

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映画『トンマッコルへようこそ』の作品情報

トンマッコルへようこそ

製作年:2005年
上映時間:132分
ジャンル:ヒューマンドラマ、戦争
監督:パク・クァンヒョン
キャスト:シン・ハギュン、チョン・ジェヨン、カン・ヘジョン、イム・ハリョン etc

映画『トンマッコルへようこそ』の登場人物(キャスト)

ピョ・ヒョンチョル(シン・ハギュン)
韓国軍所属の少尉。北朝鮮側の町を爆破したことで、戦争に絶望し単身脱走した。心に深い傷を負い、寡黙で無表情。逆上すると手がつけられない。
リ・スファ(チョン・ジェヨン)
北朝鮮人民軍の将校。軍人としての腕は立つが、頭が切れて冷静な性格。ピョ少尉とは敵同士で、激しくいがみ合う。
ヨイル(カン・ヘジョン)
ヒロイン。トンマッコル村の少女。軽度の知的障害があり、実年齢より純粋で天真爛漫。まったくの飾り気のなさに、血生臭い男たちの心は洗われる。
ソ・テッキ(リュ・ドックァン)
人民軍の少年兵。人民兵の中では単純で血の気が多く、若さゆえに韓国兵に敵意をむき出しにする。戦いで荒れた心を癒されたことで、ヨイルに恋心を抱く。
ムン・サンサン(ソ・ジュギョン)
韓国軍の衛生兵。食いしん坊で気弱、あまり兵士に向いていない性分。歌の上手さはぴか一。最初は同軍のピョ少尉に着き従っていたが、ヨンヒと親しくなり兄のように慕う。
チョン・ヨンヒ(イム・ハリョン)
人民軍の下士官。人民兵では最年長で、所帯を持つ。人情に厚く、和解した後ピョ少尉たちにも温かく接する。
ニール・スミス(スティーブ・テシュラー)
連合軍大尉でパイロット。アメリカ人で、英語以外の言語は解らない。飛行中、操縦していた航空機が故障して地上に落下する。トンマッコルで、韓国・人民軍と奇妙な滞在生活を送ることになる。

映画『トンマッコルへようこそ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『トンマッコルへようこそ』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『トンマッコルへようこそ』のあらすじ【起】

1950年、朝鮮戦争時代。韓国軍兵士のサンサンは、戦線を逃れて森の奥を彷徨っていた。そこで、自害しようとしていた同軍の兵士ピョと出会う。味方であることを確認し、二人は行動を共にすることに。同じ頃、人民軍の将校スファとその部下たちも、森の中をあてもなく歩いていた。仲間の大半は殺され、彼ら3人だけが生き残った。

スファたちが滝で一息つくと、不思議な少女が草の茂みから現れる。ピョたちは、農民の形をした男に出会っていた。その男は、森の奥深くの集落に住んでいるという。空腹と疲労から、ピョたちはその男に同行することにする。ピョとサンサンが集落トンマッコルに着くと、連合軍のスミスが怪我の治療を受けていた。トンマッコルは、「子どもみたいに純粋な村」という意味で、この大戦下には不思議なくらい平和な場所だった。

少女ヨイルに連れられ、スファたちも村に到着する。敵対する南北の兵士が対面すると、その場は修羅場と化した。スファたちは手榴弾を掲げて、ピョたち含めて村人を脅す。ところが、韓国軍はさておき村人はこの状況をのみ込んでいないようだった。能天気とも取れる言動を見せ、彼らは脅迫などものともしないようだ。軍人たちは唖然とし、間が抜ける。一晩経って軍人たちがにらみ合いを続けていても、村人はマイペースに日常を送っていた。

ヨイルが、緊迫感などお構いなしに軍人らの間に介入する。ヨイルの純真無垢な振る舞いに、ピョたちは知らぬ間に毒気を抜かれていた。ヨイルは、手榴弾の引き金を奪って弄ぶ。ピョが慌ててその手榴弾を投げるが、その先には納屋があった。納屋は間をおいて爆破され、内部の食材が木端微塵に破裂して宙を舞った。淡雪にも見えるその光景に、ピョたちはうっとりと見入る。その頃には、南北の軍人の戦意は形を潜めていた。

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映画『トンマッコルへようこそ』のあらすじ【承】

軍人らが村に来て一日が経つ。トンマッコルには平和が戻り、村人への被害を危惧したスファが、一時的な休戦協定を結ぼうと申し出た。村人の生活に欠かせない納屋を壊した償いに、ピョたちは畑仕事を手伝うことになる。最年少のテッキは韓国軍に喧嘩を吹っ掛けるばかりで、まだ緊張感は完全に解けていなかった。

スミスは、連合軍本部に連絡を取ろうと試みるも失敗続きだった。村の男児ドングは、父がおらず、遊んでくれるスミスに興味を抱く。二人は、言葉こそ通じないが心を通わせていた。

ある晴れた日、村人が農作業から帰宅する時、巨大なイノシシが襲い掛かってきた。軍人と村人は協力してイノシシを撃退する。真夜中、サンサンたちが肉を求めてイノシシの置き場へ行くと、先客のスファたちがその死肉を味わっていた。ヨンヒを皮切りに、サンサンたちはイノシシ肉を分けてもらう。軍人らは初めて笑い合い、銃を向けずに和解した。

村人衣装に身を包み、南北軍人らは村の生活に馴染んでいた。トンマッコルの穏やかな時の中で、童心に帰って遊びに興じることもあった。だが、ピョだけはスファたちから距離を置き、一人静かに物思いにふける。心の緊張が解れるのを感じていたが、ふいに蘇る戦線での殺戮行為がピョの胸を締め付けた。ピョは、この残酷な記憶に苦しめられていた。

映画『トンマッコルへようこそ』のあらすじ【転】

連合軍は行方不明のスミスを救出するため、トンマッコル周辺の地域を爆撃する作戦を立てていた。村では、サンサンはヨンヒと、スミスはドングと絆を深めていた。少年らしい感情を取り戻しつつあったテッキは、ヨイルにはっきりとした恋心を抱きだす。軍人らは今の時間に安らぎを見出していた。しかし、トンマッコルの収穫期が過ぎたら、軍人らは村を去り再び南北同士で戦う予定だった。

その夜、村では収穫祭が催された。サンサンが得意の歌を歌い、夜の森は祭りの灯に煌々と照らされていた。連合軍の戦闘機が、上空からトンマッコルへ迫っていく。地上に降り立つと、連合軍兵はトンマッコルを人民軍のアジトと誤解する。連合軍兵士は村に押し入ると、銃口を村人に向け人民軍の連中がいないか問い質した。目的を聞こうと前に出た村長は、兵士の一人に暴力を振るわれてしまう。恩人が虐げられるのを見て、ピョは憤慨してその兵士を手にかけた。沈黙を守っていたスファも参戦して、横柄な連合軍兵たちを叩きのめす。

連合軍の奇襲は収束するが、ヨイルが突然倒れる。ヨイルは無垢な振る舞いで兵士の怒りを買い、腹を刺されていた。元々耐性もなかった少女は、「お腹が熱い」と口にして急死してしまう。それまで笑顔が絶えなかった村人の間に、ヨイルが亡くなった途端悲しみが広がった。愛しの君を失ったテッキは、怒りに任せて捕縛した兵士を殺そうとする。しかし、ヨイルの天使のような笑顔が脳裏に過り、その手を止めた。

スミスが、ピョたちに見せたいものがあると森に連れ出す。着いた先は破損した戦闘航空機で、そこには武器が大量に積まれていた。連合軍兵からトンマッコルが爆破されることを聞いたピョたちは、標的を逸らすための計画を立てる。「爆撃誘導」作戦と称し、スミス・ピョ・スファたちは敵対関係を超えて、村のために協同することにした。

映画『トンマッコルへようこそ』の結末・ラスト(ネタバレ)

サンサンだけは当初その作戦を拒絶したものの、ヨンヒに諭され参加を決める。スファの推薦で、ピョが作戦の指揮を執ることになった。これ以上犠牲者を出さないため、ピョたちはトンマッコルを去る。村人に別れを告げ、ピョたちは作戦の決行に向かった。

ピョは、スミスに連合軍本部に戻るよう指示した。トンマッコルの安全はスミスの判断にかかっていると言われ、スミスは渋々本部への退却を決める。ピョたちは標的作りに精を出し、それを対空砲台に見せるよう画策していた。夜に連合軍の爆撃機が通過するため、それまでに準備を整える必要があった。

連合軍の爆撃機は、思ったより早く姿を現した。射程範囲内に戦闘機が入ると、ピョたち「南北連合軍」は攻撃を開始する。作戦は計画通りに進んだかのように思われたが、安心も束の間、敵の援軍機が次々と反撃してきた。ヨンヒとサンサンは銃弾に倒れる。連合軍は爆撃を実行、巨大な弾が空から落とされた。弾の墜落先は、ピョたちが仕掛けた偽対空砲台。結果的に、トンマッコルへの直接爆撃を阻止することができた。ピョ・スファ・テッキは笑顔を浮かべ、3人の命は爆撃の炎に散った。

翌朝。作戦現場には、一羽の蝶が5体の遺体の上を飛んでいた。5人の魂は、5羽の蝶となって天に昇った。場面はトンマッコルの部屋に切り替わる。ピョたちは、大の男5人で雑魚寝していた。そこにヨイルが忍び込み、テッキの耳に花を挿す。テッキはそれを感じ取ったかのように、幸せな寝顔を見せた。

映画『トンマッコルへようこそ』の感想・評価・レビュー

国を分断させられる事の本当の苦しみは我々にはわからないが、それでも感じるものはある。この悲劇を悲しさを強調するのではなく理想郷トンマッコルを描くことで伝えようとするセンスが素晴らしい。人類の誰もがどちらを選んだ方が良いかわかるはずなのに、そうはいかない現実と照らし合わせて暗い気持ちにもなるが、理想郷の為に命を懸けた兵士たちが救いになるのだろう。何百年後でもいつかトンマッコルが世界中に広がればいい。(男性 30代)

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