『ドラッグ・ウォー 毒戦』あらすじ&ネタバレ考察・ストーリー解説

香港映画界の鬼才ジョニー・トーによる監督50作目。現代中国を舞台に、巨大麻薬組織と公安警察の熾烈な戦いを描く。主演は『アクシデント』のルイス・クー。その他ジョニー・トー作品の常連たちが脇を固める。

あらすじ

ドラッグ・ウォー 毒戦』のあらすじを紹介します。

麻薬の製造取引に関わる男テンミン(ルイス・クー)は逃亡中に事故を起こして病院に運ばれる。テンミンを調べた麻薬捜査官のジャン警部(スン・ホンレイ)は彼が麻薬に関わっていることを見抜き拘束する。中国では麻薬の密造は極刑に当たり、死を恐れたテンミンは減刑と引き換えにジャンの捜査に協力することになるのだった。ジャンは闇の大物チャンピャオから自分が原材料を貰い、自分の工場で精製した後に漁港を牛耳るハハという人物に渡していることを教える。

早速大規模な捜査隊を結成すると、ジャンはテンミンの人脈を利用してチャンピャオの甥のチャンとハハに接触を試みる。その甲斐もあってハハは漁港で逮捕までこぎ着けるが、チャンピャオの後ろには更なる7人の黒幕がいることが判明する。取引のために漁港にやってきた7人を何とか見つけ出すと、一網打尽にしようと企むジャンたち捜査隊。しかし一方でテンミンは極秘捜査を相手にばらし、昼間の市街地で7人と捜査隊の銃撃戦を無理矢理始めてしまう。その混乱に乗じて逃げ出そうという算段だったのだ。捜査隊のメンバーや一般市民までも容赦なく利用して逃亡するテンミン。しかしジャンの執念が僅かに上回り、自らの命を犠牲にテンミンを捕まえる。それからしばらくして、テンミンは死刑の執行を受けるのだった。

評価

  • 点数:75点/100点
  • オススメ度:★★★☆☆
  • ストーリー:★★★☆☆
  • キャスト起用:★★★☆☆
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:2014年1月11日
  • 上映時間:106分
  • ジャンル:アクション、サスペンス
  • 監督:ジョニー・トー
  • キャスト:ルイス・クー、スン・ホンレイ、クリスタル・ホアン、ウォレス・チョン、ラム・シュー etc…

ネタバレ考察・ストーリー解説

『ドラッグ・ウォー 毒戦』について、2つ考察・解説します。※ネタバレあり

2人の目的の違い

本来敵対関係にある筈の刑事と犯人が、共通の目的のために手を組む所謂バディものと言われる映画は人気のジャンルの一つだ。例えば『48時間』などはその典型だろう。本作も設定からはその気配が見られるが、ジャンの目的が麻薬組織の壊滅にあるのに対してテンミンの目的はただ逃げて生き延びることにある。だから2人は互いを利用しあうだけであって、決して必要以上に親密な関係になることはない。そしてこのことが物語の終盤で大きなうねりを生み出す仕掛けとなっている。

生への執念か信念か

ジョニー・トーは『エグザイル/絆』や『ザ・ミッション 非情の掟』に見られるようなヒロイックな銃撃戦に定評があるが、今作での銃撃はもっと泥臭いものになっている。テンミンは子供を盾にしたり身内を囮にしたりと、とにかく主人公らしからぬ卑劣な手を平気で使う。それは彼に信念が無いからだ。一方でジャンには麻薬組織撲滅という強い信念がある。警察対麻薬組織という対立は白昼の銃撃戦を経て、生への執念対男の信念というより普遍的なものに昇華されているのだ。結果としてジャンの信念はテンミンに手錠をかけることに成功し、死刑執行の際テンミンの無様な命乞いは完全に無視される。信念が執念に勝利したのだ。

まとめ

麻薬組織を追う刑事の話だなんてハリウッドで作ると、社会問題だの家族愛だの色んな要素をぶち込まれそうだが、そこはジョニー・トー作品、エンターテイメントに徹した作りになっている。やや説明不足の感は否めないが、無理矢理観客を話に引っ張っていくだけの話術を持ち合わせている辺りも流石と言った所か。本筋とはあまり関わらないが聾唖の兄弟がいい味を出している。見た目も地味で頭の回転も悪そうなくせに、いざ銃撃戦になるとそれまでの描写からは想像もつかないくらい強い。こういうアンバランスなキャラクターを脇に配置することで、物語全体を王道から少しずらして歪ませることに成功している。終盤の唐突なテンミンの裏切りから、主要人物がほぼ全滅する銃撃戦もこの歪みの上に見事に配置されている。

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