フランス映画のおすすめランキング10選

古い作品ながら未だに斬新に映る表現。映画界に革命を起こし世界の映画制作者に影響を与えた、印象深く心に残るフランス映画おすすめセレクトを、ランキング形式で紹介します。

皆さんはフランス映画という言葉にどんなイメージを持っているでしょうか。お洒落でエレガントというイメージが一般的かも知れませんが、それは言葉の響きが持つところからくるものであり、本質は人間心理の深さを印象的に描いた作品が多く、1950年代末から始まった”ヌーヴェルバーグ”という映画運動に代表されるように、監督の芸術センスに溢れた個性的な描写と、音楽的センスにも秀でたものがフランス映画の特徴です。印象的な表現の素晴らしい名作をここでご紹介いたします。

第1位 世にも怪奇な物語

あらすじ

フランスの有名なホラー作家、エドガー・アラン・ポーの小説による原作で、3部構成からなるオムニバス形式のホラー映画。フランス・イタリアを代表する3人の映画監督がメガホンを取る。第1話「黒馬の哭く館」は、ロジェ・ヴァディム監督作品。中性ヨーロッパにまつわる貴族令嬢が、殺した男の幻影に憑かれる悲恋物語。第2話「影を殺した男」はルイ・マル監督作品。ドッペルゲンガーに追い詰められたサディストの悲劇。第3話「悪魔の首飾り」は、フェデリコ・フェリーニ監督作品。悪魔の少女に取り憑かれ次第に追い詰められてゆく有名俳優の惨劇。それぞれに違ったテイストで、ミステリアスで幻想的なサスペンスホラーが展開される。

注目ポイント&見所

第1話はジェーン・フォンダの魅力満載の、詩情豊かで刹那的な悲劇が淡々と描かれるミステリアスな耽美的作品。第2話はクールなアラン・ドロンの冷徹さが際立つ作品。ドッペルゲンガーに追いかけられるサディストの哀れな末路を描く切迫した心理サスペンス。第3話はフェリーニ監督の幻想的映像の中で繰り広げられるサイコホラー。悪魔の少女に取り憑かれた役者を演ずる、テレンス・スタンプの圧巻の演技は必見。第3話のインパクトはあまりにも強烈。

⇒世にも怪奇な物語の感想

第2位 天井桟敷の人々

あらすじ

1840年のパリはタンプル大通り。パントマイム役者のバチスト(ジャン・ルイ・パロー)は女芸人ガランス(アルレッティ)と知り合い恋に落ちる。他にもガランスに想いを寄せる男たちは多かったが、バチストの想いは純粋過ぎて二人は結ばれることはなかった。やがてバチストは芝居小屋「フュナンピュール」の娘ナタリー(マリア・カザレス)と結婚し子供にも恵まれ、ガランスは金持ちの伯爵と結婚した。人気俳優フレデリックの計らいでバチストはガランスに劇場のバルコニーで会うことが叶い、二人は想い出の部屋で一夜を過ごすも、バチストの前に現れたナタリーと子供の姿を見たガランスは身を引く決心をした。去って行くガランスはカーニバルの群衆に飲み込まれ、彼女を追いかけるバチストの叫び声も空しく物語は幕を引く。

注目ポイント&見所

ピエロの悲哀というものを見事に表現したエンターテインメント。主人公のパントマイマーである純粋過ぎるバチストと、その周辺に生きる個性豊かな登場人物が、妖しく絡みながら人生の悲喜こもごもを描くドラマである。純粋無垢な青年のパントマイマーと、少々歳がいったおばさんの恋物語なのでロマンチックな部分には欠けるが、アクの強い共演者と、喜劇とも悲劇とも捉えられるストーリーが主人公のバチストを浮き彫りにし、混沌として不思議な魅力に溢れた元祖フランス映画の醍醐味が堪能できる作品。

⇒天井桟敷の人々の感想

第3位 勝手にしやがれ

あらすじ

自動車泥棒のミシェル(ジャン・ポール・ベルモンド)と、ジャーナリストの卵であるアメリカ娘のパトリシア(ジーン・セバーグ)は、ある日南仏の海岸で知り合い男女の関係に陥る。盗難車をパリへ届ける道中でミシェルは追跡する警官を射殺し逃亡するが、執拗に彼の後を追う刑事の捜査が近づいてくる。ミシェルを匿うように暮らしていたパトリシアは、やがて刑事の捜査に寝返り、追い詰められたミシェルは、盗難車を売った現金を受け取る際に張り込んでいた刑事の弾丸に倒れた。そこへ駆けつけたパトリシアに「お前は最低だ」と一言呟き、ミシェルは息を引き取った。

注目ポイント&見所

単純な犯罪ストーリーながら、従来になかったスタイリッシュなカメラワークと実験的で革新的な描写は、後の映画にも多くの影響を与えたヌーヴェルバーグの代名詞にもなった作品。陳腐なシナリオの中で繰り広げられる断片的な情景描写はストーリーを凌駕し、主演のジャン・ポール・ベルモンドとジーン・セバーグの人物像が、モノクロ映像の中で印象的に浮き彫りにされる。解りやすく言えば、「感覚的映画」の先駆けになったゴダール監督の代表作である。

⇒勝手にしやがれの感想

第4位 地下室のメロディー

あらすじ

老ギャングのシャルル(ジャン・ギャバン)は、刑務所で知り合ったフランシス(アラン・ドロン)と彼の義兄ルイを仲間に入れ、カジノの金庫から10億フランの現金を狙う計画を立てる。緻密な計画の下に強奪計画は成功するが、翌日の新聞記事にカジノにいたフランシスの姿が大写しされていた。警察の手を逃れようとプールサイドで観光客を装い逃げる隙を窺っていた中、警察の捜査を逃れるためフランシスは現金の入ったバッグをプールに沈めるが、無情にも水中で開いてしまったバッグから、盗んだ現金がプールの水面に次々と浮かび上がる。騒ぎ出した群衆の中で為す術もなく二人は水面の現金を見つめていた。

注目ポイント&見所

ジャン・ギャバンとアラン・ドロンというフランスを代表する二大スターの共演が見所。主役二人の粋なセリフ回しとアンリ・ヴェルヌイユのカメラワークに加え、シビれるテーマ曲をはじめとするミシェル・マーニュの音楽が見事に融合したハードボイルド。フレンチ・フィルム・ノワールの記念碑的な傑作。

⇒地下室のメロディーの感想

第5位 グラン・ブルー

あらすじ

幼い頃にジャックとエンゾはギリシャの海で出会い初めて素潜りを競う。12年が経ち、一流ダイバーとなったエンゾ(ジャン・レノ)は、ジャック(ジャン=マルク・バール)の行方を探していた。一方ニューヨークで働くジョアンナ(ロザンナ・アークエット)は、アンデスの高地で湖に水没した車の調査をするダイバーのジャックと出会い、故郷へ帰った彼の後を追いかけるようにヨーロッパへ旅立つ。エンゾはジャックをシチリアの競技会に連れ出すも敗れてしまう。ジャックへの対抗心に燃えるエンゾは無謀な記録に挑み命を落とす。その魂に引かれるように深夜の海に一人潜って行こうとするジャック。彼の子供を宿したジョアンナはジャックを引き留めるも、彼の海への想いを止めることは叶わなかった。そして限界を超える深さに達したジャックの目の前に一匹のイルカが現われ、彼を底知れぬ深淵へと誘って行った。

注目ポイント&見所

美しい地中海の風景が様々なカメラアングルによって無類の表情で切り取られる。リュック・ベッソン監督の出世作であり、ジャン・レノの存在感も見所である。恋愛物語はさておき、目がくらむような海の青さの中で、主人公のダイバー、ジャックとエンゾが繰り広げる幻想的なファンタジーとして鑑賞いただきたい。

⇒グラン・ブルーの感想

第6位 太陽がいっぱい

あらすじ

貧乏青年のトム(アラン・ドロン)は、古くからの友人フィリップ(モーリス・ロネ)を実家へ連れ戻すためナポリを訪れていた。フィリップにはマルジェ(マリー・ラフォレ)という婚約者がいた。友人のパーティーに向かうヨットの上でトムはフィリップから酷い仕打ちを受ける。トムはマルジェとフィリップが喧嘩をするように仕向け、彼女が船から下りた後でフィリップを刺し殺す。死体はロープで縛り海へ投げ捨て、彼はフィリップになりすます。フィリップの部屋に別の友人が訪ねてきたが、トムは犯行がばれるのを恐れその男を殺害し死体を捨てた。フィリップの遺書を偽装したトムは引き出した現金を全てマルジェに残し、フィリップの自殺を工作し、マルジェに取り入って愛を告げた。二人は結婚することになり、マルジェが手に入れたフィリップの現金も手に入れる。トムがビーチで美酒に酔っていた頃、フィリップのヨットが陸に引き上げられていた。スクリューにからまったロープの先に毛布で覆われた塊が現れ、腐乱した人間の手が覗いていた。

注目ポイント&見所

若くクールなアラン・ドロンの魅力が詰まったサスペンスの傑作。巧みなシナリオとスリルに満ちた演出ながら、決してそれだけが理由で名作になった映画ではない。役者の持つオーラというものがこれほど輝いて見える映画は希であり、デビュー間もないアラン・ドロンながら、すでに俳優として頂点を極めた風格すら備えている。

⇒太陽がいっぱいの感想

第7位 大人は判ってくれない

あらすじ

十二歳の少年アントワーヌ(ジャン・ピエール・レオ)は母の連れ子であり、狭いアパートで親子三人暮らしていた。ある日、登校途中に親友のルネと出会うと、二人は学校をさぼって一日を街で遊んで過ごす。翌日に欠席の理由を教師に追求されてアントワーヌは思わず母が死んだと答えたが、前日の欠席を知った両親が現れて嘘がばれ、彼はそのまま家へ帰らずに友人ルネの叔父の印刷工場の片隅で朝を迎えた。母は学校へ彼を連れ戻しに行き、精一杯に励ますが彼は心を閉ざしてゆく。ある日、アントワーヌは作文でバルザックの文章を丸写しにして教師から叱られ、弁護した友人のルネは停学になる。彼はルネの家に隠れ住んだが金に困り、ルネと共に父の勤める会社のタイプライターを盗み出すも換金できず、会社へ戻しに行った時に守衛に捕り、両親は判事の鑑別所送りに応じた。やがて母親が面会に訪れたが彼女は冷徹に息子を突き放す。ある日彼は監視の隙を見て脱走し、初めて見る海岸へと辿り着いた。

注目ポイント&見所

パリでの不遇な境遇に抗いながら過ごす主人公の日常をモノクロームで切り取り、繊細な少年の心理を客観的な視線で巧みに描く印象的な表現手法が斬新である。ラストシーンでの主人公の行く末を描かずに終わらせるシーンなど、ヌーヴェルバーグの先駆として現在でも色褪せる事はない作品。

⇒大人は判ってくれないの感想

第8位 冒険者たち(1967)

あらすじ

パイロットのマヌー(アラン・ドロン)と、カーエンジニアのローラン(リノ・バンチュラ)、駆け出しアーティストのレティシア(ジョアンナ・シムカス)の三人が描く挫折と冒険の物語。マヌーは凱旋門を飛行機でくぐり抜ける高額賞金が掛かったチャレンジに挑むが、それは仲間が仕組んだ悪戯であり、市街地での無許可飛行で免許を剥奪される。失業したマヌーはローランと共に仕返しに向かうが、そこでコンゴの海に財宝が眠っているという話を聞く。ローランもレティシアも仕事で行き詰まっており、三人は船に乗りこんで宝探しを始めた。そして彼らは財宝を発見し引き上げる事に成功するが、その財宝に目をつけていた強盗一味の襲撃に逢い、レティシアは流れ弾に当たって死んでしまう。危機を脱出した二人は彼女の故郷である島を訪れた。そこには彼女の弟が住んでおり、彼は海に浮かぶ旧ドイツ軍の要塞跡へ二人を案内した。ローランはその要塞をホテルに改造するプランを提案する。その夢を描く中で財宝目当ての強盗に再び襲われ、どうにか撃退するも運悪くマヌーは敵の銃弾に倒れ、ローランの腕の中で笑顔のまま静かに息を引き取った。

注目ポイント&見所

飛行機で凱旋門をくぐり、自分の開発したレーシングカーで記録を狙い、鉄くずでアートを作る一風変わった青年たち。各々が挫折しながらも、海底に眠る宝を探り当てて一夜にして大金を手にし、海上の要塞跡に隠されていた旧ドイツ軍の武器や、その要塞をホテルに改造するという、現在のおとぎ話のように輝いて見える大人の冒険譚に憧れる。

⇒冒険者たち(1967)の感想

第9位 ベティ・ブルー 愛と激情の日々

あらすじ

海辺の村でバンガローのペンキ塗り替えをしているゾルグ(ジャン=ユーグ・アングラード)は、彼の前に現れたキュートな女性ベティ(ベアトリス・ダル)との激しい恋に落ちる。しかしペンキ塗りばかりの日々に耐えられなくなったベティは、ヒステリーから家具や食器を外に投げ捨てるが、段ボール箱からゾルグのノートを発見し、徹夜で読んだベティは感銘を受ける。ベティは雇い主とケンカをしバンガローに火をつけて逃げるようにパリに向かう。二人はベティの親友宅に転がり込み、彼女はゾルグの肉筆の原稿を出版社に送るため、毎日タイプに向かうも、出版社から来た返事が酷評だった。やがて二人は友人の故郷で平穏な生活を過ごす。だが妊娠を心待ちにしていたベティは検査の結果が期待外れで、激しいショックを受けて自分の目をえぐり、虚脱状態のまま精神病院のベッドに拘束される。その直後ゾルグの小説を出版したいという電話が入るがベティからの反応はない。耐えられなくなったゾルグは女装して病院へ侵入しベティを窒息死させる。そしてゾルグは再び小説を書き始めた。その傍らでベティのような白い猫が、机に向かうゾルグをじっと見つめていた。

注目ポイント&見所

冒頭からのセックス描写は幾分激しく、狂気じみたラブストーリーだが、街や田園風景、部屋の細部に至るまで、その色彩と空気感の虜になってしまう。不幸な結末ながら、見終わった後の不思議な清々しさも心地良く、繰り返し観たくなる美しい映像と、常軌を逸したストーリーはフランス映画の魅力に溢れている。

⇒ベティ・ブルー 愛と激情の日々の感想

第10位 シェルブールの雨傘

あらすじ

ジュヌヴィエーヴ(カトリーヌ・ドヌーヴ)はシェルブールの雨傘屋の娘で、近くの自動車工場に勤める恋人ギイ(ニーノ・カステルヌオーヴォ)を深く愛していたが、召集令状を受けたはギイは二年間の義務兵役に発つ。ジュヌヴィエーヴの母は不況から自分の宝石を売ることになったが、宝石商のカサールがそれを買いとったのは、娘のジュヌヴィエーヴの美しさに魅せられたからだった。ジュヌヴィエーヴにはギイとの子供が宿っていたが、カサールはジュヌヴィエーヴとの結婚を申し込んだ。ギイからは何の連絡もなかったが、カサールはお腹の子まで引き取ると言い、カサールとジュヌヴィエーヴは結婚した。翌年の3月に負傷した足でギイはついに帰って来た。彼はジュヌヴィエーヴの結婚で悲嘆に暮れ、仕事のミスから失職し酒と娼婦に溺れた。ギイは叔母の娘マドレーヌと結婚し、叔母の遺産でガソリンスタンドを買い商売を始め、子供も出来て幸せに過ごしていた。雪深いクリスマス・イヴの夕暮れ、偶然のようにジュヌヴィエーヴの車がギイの店に訪れた。彼女はギイとの間に出来た娘を車に載せていた。互いに多くの言葉も交さないまま、彼女は雪の中を去って行った。

注目ポイント&見所

美しくロマンティックなストーリーの中で展開されるオペラ的手法のミュージカルであり、セリフは全て歌によって表現される。ヒロインのカトリーヌ・ドヌーブの美貌も見逃せないところだが、ありきたりなストーリーをドラマチックに展開して行く革新的な手法と、ミシェル・ルグランの音楽が、本作を名作に仕立てた理由に他ならない。

⇒シェルブールの雨傘の感想

まとめ

ここに紹介したフランス映画は、以前に紹介した作品を省略しており個人的な見解でランキングしているので、世間での認識とは違うと感じる方も多いでしょう。しかし、フランス映画には欠かすことのできない「ヌーベヴェルバーグ」というものを理解するきっかけとなる作品を中心に選び、同時代にデビューし世界中にその名を知らしめた、フランス映画を代表するアラン・ドロンという俳優の作品も再確認していただきたく多めにセレクトしました。中には他国との合作映画もありますが、入門編としても押さえておくべきところは紹介出来たと思います。

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