映画『学校』あらすじネタバレ結末と感想

学校の概要:公立の夜間中学を舞台に、様々な事情を抱えた生徒たちと人間味あふれる教師の交流を描いた山田洋次監督の名作。1993年に公開され、日本アカデミー賞の最優秀作品賞をはじめ、数々の賞を受賞した。

学校 あらすじネタバレ

学校
映画『学校』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

学校 あらすじ【起・承】

東京の公立夜間中学で長年教師を務める黒井先生(西田敏行)は、生徒たちから愛情を込めて“クロちゃん”と呼ばれる名物先生だ。

2月の寒い夜、黒井先生の担任する3年B組では、生徒たちが卒業文集用の作文を書いていた。黒井先生は生徒たちを見つめながら、一人ひとりとの思い出を回想していく。

劣悪な家庭環境から非行に走り、シンナー中毒になるほど荒れた生活をしていたみどり。
在日コリアンで、56歳になって初めてここへ入学し、読み書きを覚えたオモニ。
中国人と日本人のハーフだが、日本に来てもうまくやっていけずにいた張(チャン)。
小児麻痺のため言語が不自由な修。
どんなに仕事で疲れていても、勉強は嫌いだが休まず学校へ来るお調子者のカズ。
心を通じ合えない両親への反抗心から、昼間の中学へ通わなくなった優等生のえり子。
そして、現在病気療養のため故郷の山形へ帰っているイノさん(田中邦衛)。

7人は年齢も育ってきた環境もバラバラだが、教師と生徒の垣根を越えて誰にでも分け隔てなく接する黒井先生や、親切な中島先生(竹下景子)たちに支えられ、ここで仲間と学べる日々を楽しんでいた。

そして、今日ここにいないイノさんからは“3月までには必ずよくなって、卒業式に出たい”と書かれたハガキが届いていた。
みんなもイノさんとの再会を心待ちにしていた。

学校 あらすじ【転・結】

しかし、その日の給食の時間、山形からイノさんの訃報が届く。
3年B組では、イノさんを偲ぶホームルームの時間が始まった。

山形で苦労を重ね、20歳で東京に出てきたイノさんは、数々の肉体労働で食いつなぎ、50歳を過ぎてやっとメリヤス工場の社員にしてもらった。

読み書きのできなかったイノさんは、母の死を機に学校で勉強することを決意し、夜間中学へ入学した。

競馬だけが楽しみで孤独だったイノさんの生活は充実する。

3年生の夏、イノさんは「ハガキを出す」という宿題を、想いを寄せてきた田島先生への恋文として一週間かけて仕上げ、郵送する。
田島先生から相談を受けた黒井先生はハガキを預かり、間に入って話をするが、馬鹿にされたと勘違いしたイノさんは、酔って黒井先生にからみ、店を追い出される。

心配した黒井先生はイノさんのアパートを訪ねる。
イノさんは体を壊して寝込んでおり、すぐに病院へ連れて行くが、その体は長年の苦労によりすでにボロボロで手の施しようのない状態だった。

イノさんは秋まで東京で穏やかな入院生活を送った後、卒業式には戻ると約束して、故郷の山形へ帰った。そして、今日亡くなったのだ。

教室では、イノさんの死を通して“幸福とは何か”を真剣に考える授業風景があった。

幸福の意味を考えたえり子は“将来この学校の先生になる”と黒井先生に告げ、黒井先生は“待っている”と約束する。

学校 評価

  • 点数:95点/100点
  • オススメ度:★★★★★
  • ストーリー:★★★★★
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★★

作品概要

  • 公開日:1993年
  • 上映時間:128分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ、青春
  • 監督:山田洋次
  • キャスト:西田敏行、新屋英子、裕木奈江、竹下景子 etc

学校 批評・レビュー

映画『学校』について、感想と批評・レビューです。※ネタバレ含む

山田洋次監督の作り上げた壮大な学校

寅さんシリーズで知られる山田洋次監督は、今も精力的に映画を撮り続ける日本映画界屈指の名監督だ。

そんな山田監督が10年以上密かに温め続けてきた企画が本作「学校」である。
脚本化には相当苦労したようだが、長年の脚本パートナーである朝間義隆とともに、ある教室の授業風景を軸にして回想を繰り返す構成を使い、夜間中学という空間とその意義を描き上げた。

あの教室の生徒とともに私たち観客も、“学ぶとはどういうことか”さらには“人生の幸福とは何か”という難しいテーマを、黒井先生、つまりは山田監督に導かれながら考える。

あの夜間中学のように、学びたい人は誰でも受け入れてくれる壮大な学校を、山田監督はこの映画を通して作り上げたのではないだろうか。

ゆけ!オグリキャップ!田中邦衛の魅力

田中邦衛の演技は理屈抜きでグッとくる。

社会からつまはじきにされ続けたイノさんという男。しかし、田中邦衛演じるイノさんは決して卑屈ではないし、暗くもない。むしろ、とても可愛い。

有馬記念のオグリキャップを語る名シーン。
まるで目の前をオグリキャップが走っているかのように“ゆけ!オグリキャップ!”と唾を飛ばしながら叫ぶ田中邦衛の演技に、いつの間にか引きずり込まれる。
あんなにイノさんらしく“ゆけ!”と叫び、鉛筆を持ち、はにかみ笑いし、酔っ払える役者(あえて役者と呼びたい)は田中邦衛以外にありえない。

“イノさんは田中邦衛そのものではないのか?”と疑いたくなるほど、本作での田中邦衛はまさにイノさんだった。

器用な役者ではないのだろうが、唯一無二の魅力を持つ、ものすごい役者だ。

学校 感想まとめ

本作は山田監督らしい“誰が観てもわかる映画”に仕上がっている。
日本語が理解できる人なら、ほぼ間違いなく理解できる。
そういう作品は意外に少ない。

そして、登場人物と対立する敵役は一人もいない。
それでも、この作品の中で生きる人たちは常に何かと戦っている。
明らかな敵はいないのに、やっぱり戦っているのだ。
その姿は多分、私たちにとても似ている。だから、とても感情移入しやすい。

本作は年齢を問わず安心して観られる一本なので、家族で鑑賞するのもオススメだ。
友情出演している渥美清がいつ出てくるのか、そこも是非楽しみにしていただきたい。

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