映画『グラン・ブルー』あらすじとネタバレ感想

グラン・ブルーの概要:「グラン・ブルー」(原題:Le Grand Bleu)は、1988年のフランス・イタリア合作映画。監督は「サブウェイ」のリュック・ベッソン。主演は「戦場の小さな天使たち」のジャン=マルク・バール。「アフター・アワーズ」、「800万の死にざま」のロザンナ・アークエット。「サブウェイ」のジャン・レノ。10代からダイビングに親しんできたベッソン監督が、長年の夢だったイルカに魅せられた潜水夫の物語を、実在の天才ダイバー、ジャック・マイヨールの協力を得て映画化した作品。カンヌ映画祭で公開当初は酷評を受けたが、その後フランス国内で徐々に反響を呼び大成功を収めた作品。いくつかのバージョンが存在する作品でもある。

●日本初公開は1988年に「グレート・ブルー」の邦題で劇場公開された120分の「THE BIG BLUE」。
●音楽とラストシーンが違うアメリカ公開版118分の「THE BIG BLUE」も存在する。
●世界初公開となったフランス公開版の「グラン・ブルー(Le Grand Bleu)」132分でセリフはすべて英語。仏公開版は俳優本人たちによる仏語バージョン。
●「グラン・ブルー/ロングバージョン(Le Grand Bleu/VERSION LONGUE)」ベッソン監督が最初に完成させた168分の無編集版。 日本では「グラン・ブルー/グレート・ブルー完全版」の邦題で劇場公開された(上映時は仏語吹替え版)。
●「グラン・ブルー/ロングバージョン(10ans Le Grand Bleu/VERSION ORIGINALE)」132分のオリジナル版。1998年に作品生誕10周年記念のフランスでリバイバル上映された仏初公開版と同じ作品。「グラン・ブルー/オリジナル・バージョン」として日本でも劇場公開。リュック・ベッソン監督は「一生大事にしていきたい、心の一本」と表している。

グラン・ブルー あらすじ

グラン・ブルー
映画『グラン・ブルー』のあらすじを紹介します。

ギリシャのキクラーデス諸島で1965年に8歳のジャック・マイヨールはエンゾと出会った。そこで二人は初めて素潜りを競うが、翌日にダイバーであるジャックの父の死を目撃し大きな衝撃を受ける。12年後の1987年、一流のダイバーとなったエンゾ(ジャン・レノ)は、稼いだ金をつぎ込んでジャック(ジャン=マルク・バール)の行方を探していた。ジャックと共にダイビング選手権に出場して勝利することがエンゾの夢だった。別なところでニューヨークで働く保険調査員ジョアンナ(ロザンナ・アークエット)は、自動車事故の調査でペルー・アンデス山脈の高地にいた。そこで彼女は、氷結した湖に酸素ボンベもなしに数十分も潜水するジャックに出会う。彼こそがエンゾが捜していた少年ジャックの成長した姿であり、彼は水族館のイルカだけを友として静かに暮らしていた。ジョアンナは彼の不思議な魅力に惹かれ、ペルーから故郷へ帰ったジャックの後を追いかけるようにヨーロッパへ旅に出る。やがてエンゾはジャックをシチリアの競技会に連れ出すが、そこでのダイビングでジャックに敗れてしまう。ジャックへの対抗心に燃えるエンゾは、無謀な記録に挑んだ挙げ句に命を落としてしまう。その魂に引かれるかのように、ジャックも深夜の海に一人潜って行こうとする。彼を愛し子供を宿したジョアンナはジャックを引き留めようとするも、彼の海への想いを止めることは叶わなかった。やがて人間の限界を超える深海に達したジャックの目の前に一匹のイルカが現われ、彼を底知れぬ深淵へと誘って行った。

グラン・ブルー 評価

  • 点数:点/100点
  • オススメ度:★★★★★
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★★
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:1988年
  • 上映時間:132分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ
  • 監督:リュック・ベッソン
  • キャスト:ロザンナ・アークエット、ジャン=マルク・バール、ジャン・レノ、ポール・シェナー etc

グラン・ブルー ネタバレ批評

映画『グラン・ブルー』について、感想批評です。※ネタバレあり

引きこまれるような海の魔力

「太陽がいっぱい」や「イル・ポスティーノ」など地中海を背景にした名作映画は多いが、穏やかな内陸に面した地中海は映画の背景として最高のロケーションである。中でもシチリア島周辺の風景はあまりにも美しく、リュック・ベッソンのカメラワークが人間ドラマと絡めて見事に描き出し、脳裏から離れない作品を作り上げた。本作の一番の見所は千変万化する「海」の色である。冒頭からモノクロームで描かれるコントラストの効いた夏の海。陽光にきらめく水面の鮮やかな青。浅い瀬の緑掛かった透明感の高い青。海中から水面を映す明るい青。深海へ向かう群青のグラデーション。イルカの跳ねる月夜の海。と、ここまで海の表情を豊かに捉えた映画はないだろう。その背景に流れるエリック・セラの幻想的な音楽がひたすら美しい。それに絡むダイバーの、ジャックとエンゾの海への想いが淡々と展開して行く。取って付けたようなジャックとジョアンナの恋物語は、この風景の中では邪魔になるだけであるが、映画としてのストーリーにアクセントを付けるための小道具のようなものだろう。夏がくるとその”ブルー”に身を委ねたくなり、どうしても観たくなる一本である。

”海の男に女はいらねえ”のか?

大人のお洒落な映画というようなニュアンスを持たれているかも知れないが、そんな風に捉えてカップルでイチャつきながら観ている人がいたらちょっと見当違いかも知れない。本作を観ていると女性は分が悪くなってくるのが解るだろう。物語の内容は幼なじみ同士の友情譚であり、そこに割り込んでくる女性は妊娠しながらも相手に全く無視されているのである。話がややこしくなるので恋愛はシナリオの中に描いて欲しくなかったのだが、当初の酷評というのもその辺の女性蔑視的な内容からではないのだろうかと自分なりに感じてしまう。こういったロマンを描く場合にはスキャンダラスな話は無用という感じの方が良かった気がする。実際キャラクター的には、ロザンナ・アークェット演じるジョアンナの存在は重要な位置を占めているのだが、なくても良いという感じで捉えれば意外に邪魔に思えるところもある。フランス映画らしいと言えばそれまでだが、決して彼女の悲恋物語ではなく、ジャック・マイヨールという人物像をカリスマ的に仕立てる添え物にしか思えない展開なのである。

グラン・ブルー 感想まとめ

さまざまな視点で語られている映画であり、観る人の意見も分かれるところであろうが、映画の設定では他に類を見ないダイバーの物語というところと、美しい地中海の風景が観る者を惹き付けてやまない作品である。「サブウェイ」でカルト的人気を博したリュック・ベッソン監督の出世作であり、ジャン・レノの存在感も本作で圧倒的となった。幻想的な海洋ロマンとして純粋に映像を楽しむ分には申し分ない映画だが、評価が分かれるところはその中で展開される恋愛物語の内容だろう。幾度となく見ている内に気にならなくなるようなところもあるので、大人になり切れなかったジャックとエンゾという少年が繰り広げるおとぎ話として鑑賞するのが正しい見方だろう。個人的には120分の「グレート・ブルー」のバージョンが簡潔で好みである。

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