映画『ぐるりのこと。』あらすじネタバレ結末と感想

ぐるりのこと。の概要:2008年に公開された今作は橋口亮輔監督によるオリジナル脚本作。とある夫婦の愛の日々を描いた感動作であり、ブルーリボン賞をはじめ、数々の日本の映画賞に輝きました。ちなみに、小説家梨木香歩による同名エッセイは一切無関係です。

ぐるりのこと。 あらすじネタバレ

ぐるりのこと。
映画『ぐるりのこと。』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

ぐるりのこと。 あらすじ【起・承】

出版社に勤めるしっかり者の翔子と絵描きで生活力がなくナンパなカナオの夫婦。待望の翔子の出産を控え、ささやかながらも幸せな日々を送っていました。
子どものためより高い収入を求め、カナオは法廷画家へと転身します。写真撮影が許されない法廷での、裁かれる人々を素早く絵に留めるその仕事は、筆の早いカナオにはうってつけでした。

とある日の食事会で、職を転々とするカナオを心配する翔子の兄夫婦でしたが、そんな二人の金に汚い様子を見て、翔子は三度カナオの優しく欲のない佇まいに安心するのでした。

しかし、待望の赤ちゃんは、死産に終わってしまいます。その事実を受け止めきれなかった翔子は、次第に生きる活力を失い、うつ状態に陥ってしまいます。
そんな彼女を支えるため、カナオは一枚いくらの世界の法廷画家の仕事により一層励まなければならなくなりました。様々な事件が往来する90年代、彼は法廷で様々な凶悪犯を目にします。そんな犯罪者たちにも、静かに絵筆を走らせ続けるカナオは、だんだんと法廷画家として認められていきます。

ぐるりのこと。 あらすじ【転・結】

時を同じくして、翔子は一度目の死産で出産を恐れるあまり、夫にも内緒で中絶手術を受けてしまいます。しかし、その気持ちと罪悪感の矛盾の中で、さらに精神のバランスを崩していきます。

とある台風の夜、カナオが仕事から帰ると、窓を開けっぱなしにして、水浸しの部屋で水浸しのまま翔子が佇んでいました。急いで抱きしめ、窓を閉めると、彼女はカナオの腕の中で暴れ、泣きじゃくります。中絶のことを告白し、それでもそばにいてくれるのはなんでだと彼に叫ぶ翔子に、カナオは「好きだから、そばにいたいと思っているよ」と優しく諭します。涙と雨と鼻水でぐちゃぐちゃの翔子の顔を、カナオは愛おしそうに撫でるのでした。

その台風の夜から、彼女は少しずつ気力を取り戻していきます。寺に通うようになり、その寺の僧侶から天井画の作画を依頼されたことをきっかけに、久方ぶりに絵筆をとります。
実は彼女もまた、昔は絵描きを志していたのでした。

一筆一筆、無心で花の絵の天井画を描いていくうち、精神的にも安定してくる翔子。そんな彼女を見守りながら、カナオも法廷画家としてさらに信頼されるようになっていました。
完成した天井画を見上げ、ふたりは堂の中に寝転がります。記念写真を部屋に飾るシーンで、映画は静かに幕を引きます。

ぐるりのこと。 評価

  • 点数:85点/100点
  • オススメ度:★★★★★
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★☆☆
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:2008年
  • 上映時間:140分
  • ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ
  • 監督:橋口亮輔
  • キャスト:木村多江、リリー・フランキー、倍賞美津子、寺島進 etc

ぐるりのこと。 批評・レビュー

映画『ぐるりのこと。』について、感想と批評・レビューです。※ネタバレ含む

俳優、リリー・フランキー

リリー・フランキーさんと言えば、画家や文筆家、タレントやコメンテーター、ラジオパーソナリティーとマルチな才能を見せる方です。最近では、俳優としての顔もすっかりおなじみですが、そんな彼の才能を初期に見出した一人が、今作の橋口監督であると言えます。
妻翔子役の木村多江とともに、今作が映画初出演となるリリーさん。そんな彼にあつらえたようなカナオという役柄を、実に自然体で演じているように見えます。だからこそ、今作はリアリティに満ちており、映画の後半、台風のシーンでの二人は特に本物の夫婦のようでした。

夫婦

他レビューでも言及しましたが、橋口監督は自身もゲイセクシュアルであることを公表しています。つまりは、「普通の夫婦生活」や「女性にとっての出産」は、彼にとってはファンタジーだということです。
そうでありながら、このリアリティはなんでしょう。もちろん、ゲイであってもパートナーとの信頼関係はなにより大切なことでしょう。しかし、翔子の子どもに対する思いや、バランスを崩す「女性性」についてのリアルは、実体験として味わえるはずもありません。
そのうえで、男と女の夫婦関係を繊細に描き切り、誰しもに、感動を与える。
改めて、橋口監督の人間を描く才能に身震いがします。

法廷画家

今作は90年代前半から00年代前半までの、長い時間を描いています。それは、日本でもそれまでに例を観なかったような凶悪事件が多発した時代でもあります。地下鉄サリン事件や、連続幼女誘拐殺人事件など、世間を震撼させた事件に対し、カナオは法廷画家として向き合っていきます。一見本筋とは無関係とも思える時代の波の中で、彼は確実に、人間としての器を広げ、妻を支えるに足る人物へと成長していくのです。その、時の流れの繊細な描写こそ、夫婦が夫婦になっていく様を描く上での重要なキーであるように見えます。

ぐるりのこと。 感想まとめ

映画好きの友人の結婚の際に、この映画のDVDをプレゼントしました。
確かに、幸せいっぱいの映画でもなければ、憧れるようなきらびやかな結婚生活が描かれているわけでもありません。ですが、ほかのどの映画のどんなに美しい夫婦よりも、羨ましい二人が映っているのです。うわべだけではなく、心で繋がり合った二人はこんなにも、胸が締め付けられるほどに愛おしいものなのですね。
夫婦っていいな、と心から思える傑作です。ぜひ、大切な方と一緒に観てください。

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コメント

  1. 匿名 より:

    内容は関係ないけど、題名は梨木香歩の本から、パクったと橋口が認めています。