映画『春との旅』あらすじネタバレ結末と感想

春との旅の概要:主人公が孫とともに自分の最後の居場所を求めて兄弟を訪ね歩くロードムービー。主人公を仲代達矢が演じ、大滝秀治、淡島千景、柄本明、田中裕子などのベテラン勢が脇を固めた。2010年公開の日本映画。

春との旅 あらすじネタバレ

春との旅
映画『春との旅』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

春との旅 あらすじ【起・承】

昔漁師をしていた中井忠男(仲代達矢)は足を悪くして現在は無職。孫の中井春(徳永えり)の世話になり2人で暮らしている。妻には先立たれ春の母(忠男の娘)も数年前に自殺していた。

春は近くの小学校の給食を作る仕事をしていたが、その学校の廃校が決まり職を失うことになり“東京で仕事を探し1人で暮らしたいから誰か兄弟の世話になってくれ”と忠男に告げる。それに怒った忠男は嫌がる春を連れ長年会っていない兄弟を訪ね歩く旅に出る。

最初は長男の金本重男(大滝秀治)のところへ行く。長男なのに金持ちの嫁・恵子(菅井きん)の家へ養子に行った重男と、父親の後を継いでニシン漁の漁師になった忠男は昔から気が合わない。それでも忠男は“この家に置いてほしい”と重男に頼むが断られる。実は重夫は恵子と2人で老人ホームへ行くことが決まっていたのだ。それを聞いた忠男は、
その晩20年ぶりに酒を飲む。

翌日、墓参りをすませた2人は毎年届く年賀状の住所を頼りに末っ子の中井幸男の家を訪ねる。しかしその住所に中井という家はなく、2人は途方に暮れる。清水という女性が幸男と暮らしていたらしいということまでわかり、その家を訪ねるが留守だった。

次の日、偶然入った食堂で働いていた女性が探していた清水愛子(田中裕子)だとわかる。
愛子の話によると幸男は人の罪をかぶって現在服役中だという。兄弟の中で一番気の合う幸男の不器用な生き方を忠男は肯定する。

2人は鳴子温泉で旅館を営む長女の市山茂子(淡島千景)を頼っていく。しっかり者の茂子は甘ったれの忠男をたしなめ“春だけは犠牲にするな”と言う。子供のいない茂子は春だけここに置いて自分の後継にしたいと申し出るが、春は忠男のことを考え断る。

春との旅 あらすじ【転・結】

残る兄弟は仙台で不動産業を営んでいる三男の道男だけになった。都会へ出た忠男はホテルへ泊まりたいと言い出す。しかしその日は仙台で学会があるとかで、ホテルはどこも満室だった。仕方なく道男のところへ連絡するが、電話はつながらない。

歩き疲れた忠男は道端でゴネ始め、2人は喧嘩になる。自暴自棄になって泣き崩れる忠男を春は抱きしめる。結局その夜2人はベンチで眠る。

翌日、道男の家を訪ねるがそこは更地になっていた。近所で聞いた道男の転居先は高層マンションの一室だった。突然訪ねてきた忠男に道男(柄本明)は冷たかった。道男は不動産業がうまくいかなくなり家計は火の車になっていたが、忠男には見栄をはる。道男の言い草に怒った忠男は道男を殴りつける。それでも道男は無理をして2人にホテルのスイートルームを取ってくれた。

結局、忠男は兄弟の誰からも受け入れてもらえなかった。

春は忠男と旅をして、ずっと会っていない父の津田真一(香川照之)に会いたくなる。2人は真一の経営する牧場へ向かう。

真一は伸子(戸田菜穂)という女性と再婚していた。忠男と信子は真一と春を2人にしてやる。

春の母と真一は春が幼いころ離婚していた。原因は母の浮気でそれ許せなかった真一が家を出た。結局母はそのことを苦に自殺したのだった。春はずっと言えなかった本音を真一にぶつけ号泣する。真一はそんな春に寄り添い抱きしめる。

父のいない信子は忠男にここで一緒に暮らそうと言う。他人の信子の優しさに忠男は胸を打たれるが、その気持ちだけで十分だと断る。

忠男と春は真一の家を黙って抜け出し、忠男にとって思い出の蕎麦屋に入る。春は“ずっと私がお祖父ちゃんと一緒だから”と言い、2人は泣きながら蕎麦を食べる。

帰りの電車の中、春にもたれて眠っていた忠男はそのまま床に崩れ落ち、春が何度呼んでも目を覚まさなかった。

春との旅 評価

  • 点数:65点/100点
  • オススメ度:★★★☆☆
  • ストーリー:★★★☆☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★☆☆☆
  • 演出:★☆☆☆☆
  • 設定:★★★☆☆

作品概要

  • 公開日:2009年
  • 上映時間:134分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ
  • 監督:小林政広
  • キャスト:仲代達矢、徳永えり、大滝秀治、菅井きん etc

春との旅 批評・レビュー

映画『春との旅』について、感想と批評・レビューです。※ネタバレ含む

これでもかという豪華なキャスティング

仲代達矢の演じる主人公忠男と徳永えりの演じる孫の春がずっと旅をするロードムービーなので2人は行く先々で誰かに出会うわけだが、その面子がすごい。

最初に2人を待っていたのは大滝秀治と菅井きんの超ベテランだ。仲代達矢と大滝秀治が兄弟としてやり合っているだけで“いや〜、参ったね、こりゃ”と言いたくなる。

小林薫がちょっと顔をのぞかせたと思ったら今度は田中裕子が登場。“田中裕子はやっぱりうまいなあ”なんて感心していると、次は往年の大女優淡島千景が降臨する。老いてなお、透けるように白い肌が美しい。涙をこらえて弟を見送る演技は絶品だ。

続いては柄本明の登場。その妻は美保純だ。柄本明の長台詞から、仲代達矢との迫力ある兄弟喧嘩。もうお腹いっぱいなところに現れるのが香川照之。まさかとは思ったがやっぱり出ましたねという感じ。この人は年間何本の役をこなしているのだろう…。

まるで仲代達矢が日本の名優と名女優を相手に芝居を見せる旅のようだった。

演出がくどすぎる

これだけのキャスティングと感動的なストーリーを揃えていながら、どうも物語に入り込めない。その原因はとにかく演出がくどすぎるのだ。

まずはなぜそんなに音楽を入れたがるのか。ここまで音楽が入ると耳障りでしょうがない。

そしてやたらとアップが多い。アップはあってもいいがそのシーンの最初から最後まで(しかもワンシーンが長い)役者の顔だけが切り替わる映像が続くと“これは役者のスケジュールが合わなくて別撮りした映像をつないでいるのか?”とまで考えてしまう。役者の表情をよく見てくれということなのかもしれないが、はっきり言ってきつい。お願いだから引きの絵も見せて下さいと懇願したいレベル。

最後に、春のガニ股歩きは見苦しいだけで何のリアル感もない。歩いたり走ったりするシーンが多いだけに気になりだすともうダメだ。彼女が動くたびにイライラしてしまい、物語どころじゃなくなってしまう。

春との旅 感想まとめ

こんな作品にケチをつけると自分がすごく心の貧しい人間のようで気が引けるが、あえて言おう。完全に期待外れだった。

ずっと“どうだ!役者も感動的な脚本も演出も凄いだろう!泣けるだろう!”と言われているような居心地の悪さを感じてしまう。この話は映像にリアル感がないとどうしようもないはずなのに、あまりにいろんなものが過剰すぎてかえってリアル感がない。キャスティングは凄いけど、各役者さんの芝居は良かったけど、役者の知名度が勝ちすぎて全体の流れを悪くしている印象を受ける。

近年めっきり数の減った落ち着いた日本映画を見られると思って期待していただけにとても残念だった。でも、評判は悪くないようなのでこの映画で感動できる人は多いのだろう。それはそれで羨ましい。

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