映画『初恋(2006)』あらすじネタバレ結末と感想

初恋(2006)の概要:『初恋(2006)』は、中原みすずによる同名小説の映画化作。実行犯は誰だったのか、未だに解き明かされない「三億円事件」を、女子高生が実行犯だったという新しい切り口で描く。

初恋 あらすじネタバレ

初恋
映画『初恋(2006)』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

初恋 あらすじ【起・承】

女子高生のみすずは、家庭環境が複雑で孤独だった。みすずがまだ小さいころに母が兄を連れて出ていったので親戚の家に預けられていたが、そこにも学校にも悩みを打ち明けるような相手はいない。
ある日、みすずは兄と再会する。ふらっとみすずの前に現れた兄のリョウは、マッチ箱を手渡す。

数日後、そこに書かれたジャズ喫茶Bという店を訪ねたみすずは、兄とその仲間たちと出会う。初めて踏み込む場所で、みすずはびくびくする。仲間たちにあれこれ聞かれる中、みすずは兄の仲間の中の一人、岸の言葉に腹を立てる。一人だけ他とは違う雰囲気を纏う岸は東大生らしい。子供扱いされ、「大人になんかなりたくない」と言ったみすずを岸は気に入る。
それからみすずは彼らと過ごすようになり、初めて心を許せる存在を知る。そして、岸に淡い恋心を抱くようになっていた。

ある日、みすずは岸からとんでもない計画を聞かされる。三億円を強奪する計画だ。みすずは驚くが、想いを寄せる岸のためなら、と計画に乗ることにする。
それから、計画実行のためにみすずはバイクや車の運転を岸から習うようになる。

初恋 あらすじ【転・結】

岸がこの計画を考えたのは、デモに参加した仲間が警察によって怪我を負わされたからだった。国家権力にたてつくための計画だった。

計画は上手く進み、みすずは白バイ警官に装って「車に爆弾が仕掛けられている」とだまし、現金輸送車から三億円を強奪した。すべて成功した。だが、みすずはこの件が終わったら何かが変わる気がしていた。
事件の後、岸は犯行を政治家の父に知られ、権力でもみ消された。その後みすずは岸に合わない日々が続いた。最後に想いを告げたみすずは岸を待ち続けたが、それから岸が現れることはなかった。

兄は暴行されて死に、他の仲間たちも若くして亡くなって行った。一人ぼっちになったみすずは、ある日岸が読んでいた詩集を見つける。その本の間には、岸が書いた手紙が挟まっていた。そこに書かれていたのは、みすずへの思いだった。初めて出会った日、お互いに恋をしていたことを知ったみすずは手紙を読みながら涙を流した。

その後、世間を騒がせた三億円事件の犯人が見つかることはなかった。

初恋 評価

  • 点数:80点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★☆☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★★

作品概要

  • 公開日:2006年
  • 上映時間:114分
  • ジャンル:ラブストーリー、青春
  • 監督:塙幸成
  • キャスト:宮崎あおい、小出恵介、宮崎将、小嶺麗奈 etc

初恋 批評・レビュー

映画『初恋(2006)』について、感想と批評・レビューです。※ネタバレ含む

日本の犯罪史上最も有名な事件の一つ

「三億円事件」といえば、当時一大センセーショナルを巻き起こした事件である。三億円といっても、現在の価値で考えてはいけない。当時の三億円、現在の価値にするとだいたい20億円にもなるのである。この金額を聞くと、どれだけとんでもない事件だったかが分かる。
今でもなお話題にのぼることがあるのは、犯人が捕まらないまま時効を迎えたからである。実際は警察の陰謀がどうだとかいう説があるが、やはりその実像は謎のまま。
それを、この作品は女子高生が実行犯だった、として描いている。映画の中では、お金目当てというよりも警察に一矢報いることが目的となっている。実行犯のみすずも計画した岸も一円も使うことなく終わった。
実際の事件も、これと同じようにお金目当てだったとは思えない。今にして20億円もの大金。欲だけで実行できることではない。

時代背景

三億円事件が起こった1968年は、学生運動が盛んな時代でもあった。みすずが出会ったジャズ喫茶Bの仲間たちも、デモに参加していたり、アングラ劇団で女優をしていたりと、社会に対する不満が渦巻く場所だった。学生のモラトリアムはいつの時代もあることだが、この時代は特にその印象が強い。社会に反抗する体力と時間があれば勉強しろと思うが、今の若者にはわからないなにかがあのころにはあったのだろう。
そうした背景で三億円事件は起こったわけで、世相を反映した事件だと感じる。

初恋 感想まとめ

三億円事件を扱ったことの方が目立っているが、この映画の主軸は主人公みすずと岸の恋である。みすずが岸に恋をしなければ、計画は実行されなかっただろう。三億円事件の犯行の描き方もえらくシンプルで、頭のいい岸が考えたであろう計画をみすずがその通りに実行するというだけだった。
最後はまた一人ぼっちになってしまったみすずだが、生まれてこのかた知らなかった仲間を得て、初恋を経験して、これからの人生は彼らと出会う前の孤独なみすずの人生とは違うといいな、と思う。

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