映画『ひまわり(1970)』あらすじとネタバレ感想

ひまわり(1970)の概要:「ひまわり」(原題:I Girasoli)は、1970年のイタリア映画。監督は「自転車泥棒」、「昨日・今日・明日」などのオスカー監督ヴィットリオ・デ・シーカ。主演は本作でヴェネツィア国際映画祭男優賞を受賞した、「8 1/2」、「昨日・今日・明日」などのイタリアを代表する名優マルチェロ・マストロヤンニ。「昨日・今日・明日」、「ああ結婚」などで、マストロヤンニと多くの共演作を残した名女優ソフィア・ローレン。

ひまわり あらすじ

ひまわり
映画『ひまわり(1970)』のあらすじを紹介します。

第二次大戦後のイタリア。戦争へ出征して行方不明扱いになった夫の消息を確かめるため、役所へ通い続ける女性がいた。戦時中、ナポリに住む娘ジョバンナ(ソフィア・ローレン)とアフリカ戦線行きを控えた兵士・アントニオ(マルチェロ・マストロヤンニ)は海岸で出会い恋に落ちた。結婚すれば12日間の休暇を取ることが可能だというジョバンナの進言から、出兵を望んでいなかったアントニオはそれに快諾し、二人は即座に結婚式を挙げる。休暇が終わりに近づいた頃、二人はアントニオの精神状態がおかしくなったと狂言を装うが、入院先で仮病が発覚してしまいロシア線線へと徴兵されてしまう。戦争が終わりミラノの駅で帰還兵を待つ家族たちの中で、アントニオの写真を兵士たちに見せながらジョバンナは手掛かりを探していた。そんな中で彼女は、過酷なロシア戦線でアントニオと行動を共にしていたという一人の兵士に出逢うが、力尽きて雪の中に倒れたアントニオを見たのが最後だったと男は語り去っていった。ジョバンナはアントニオの生存を確かめるためソ連へと旅に出た。かつて戦場だった街でアントニオの写真を見せて回るジョバンナだったが消息は掴めない。列車で案内された村には果てしなく広がるひまわり畑があり、その下にはイタリア、ソ連、ドイツの戦死者たちが無数に眠っているという。そして数え切れないほどの墓の前に立っても、アントニオの死を信じようとせず、ジョバンナは夫の行方を捜し続けた。やがて彼女はロシア人として生活しているイタリア人男性と出会うが、彼はアントニオの事は知らないと言う。諦めずにアントニオを探し続けている中、小さな村の駅に降り立った彼女は、アントニオの写真を見た人から一軒の家を紹介される。そこにはロシア人女性のマーシャと幼い女の子が暮らしていた。二人の暮らしを眺めている内にジョバンナは涙を流す。そしてマーシャは、戦時中に雪の中で息が途切れかけているアントニオを助けたと、覚束ないイタリア語で話した。やがて遠くから汽笛が聴こえ、マーシャはジョバンナを駅に連れて行く。次々と汽車から降りる人たちの中にアントニオの姿があった。互いに目があったもののジョバンナはそのまま汽車に飛び乗り泣き崩れた。イタリアに帰ったジョバンナは運命のいたずらに嘆き悲しむ日々を送る。一方で苦悩の末にアントニオはマーシャの許しを得てミラノに向かう。ためらいながらも再会した二人だったが、ジョバンナにも新しい夫と子供が居る事を知ったアントニオは、ソ連に帰ることを決心する。翌日、汽車に乗るアントニオをジョバンナが見送りに駅へ訪れた。戦争中に出征する夫を見送った同じホームに立ち、再びジョバンナは別れの列車を涙で見送った。

ひまわり 評価

  • 点数:90点/100点
  • オススメ度:★★★★★
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★★
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:1970年
  • 上映時間:107分
  • ジャンル:ラブストーリー
  • 監督:ヴィットリオ・デ・シーカ
  • キャスト:ソフィア・ローレン、マルチェロ・マストロヤンニ、リュドミラ・サベリーエワ、アンナ・カレナ etc

ひまわり ネタバレ批評

映画『ひまわり(1970)』について、感想批評です。※ネタバレあり

地平線までを覆い尽くすひまわり

ストーリーとは直接的な関係が薄いひまわり畑だが、ロシアの広大な平野に地平線まで広がるひまわりが圧巻であり、その美しい花畑の下には無数の戦死者が眠っているという話がどうにも切なく、一輪一輪のひまわりが、地上に甦った戦死者の姿を映し出すかのように戦争の悲惨さを描き出す、美しくも哀しいシーンである。戦争という背景にはこのような哀しい話が無数に隠されているのだろうが、引き離された主人公二人の物語もさることながら、その戦死者の亡骸の上に咲き誇るひまわりの話だけで、戦争の悲惨さを余すことなく描かれた名作である。

一輪のひまわりによって描かれる切なさ

本作のストーリーは戦時中の直接的な描写が少ない分、ひまわり畑のシーンが心に焼き付いてしまう。平和そうなロシアの農村風景は、かつて戦禍の中にあった戦地であり、多くの戦死者たちが国を問わず埋葬されたという墓地のような農村である。そして果てしなく広がるその花畑がクローズアップされ、一輪ずつのディティールが浮き彫りにされたとき、大きく花開いた一輪のひまわりが空に向かっているのではなく、俯き加減に手を広げているような人間の姿に映り、何ともやり切れない心境に陥ってしまうのだ。主人公の二人が絡まないこのシーンがなければ、ここまでの名作になっていなかったかも知れないが、余りにも象徴的な場面であり、背後で展開される悲恋物語を一層哀しくクローズアップさせる名場面である。

ひまわり 感想まとめ

戦死者たちへのレクイエムの様に奏でられる、ヘンリー・マンシーニのテーマ曲が印象的に映画全体を覆い尽くし、そのひまわり畑にまつわる話が心から離れない。主人公二人の悲恋は戦時中に起こった不条理な別離という話であるが、ソフィア・ローレンとマストロヤンニが圧倒的な存在感で物語に情感を加えて行く。最初は少々コメディタッチで描かれてゆくのだが、戦争が終わり撮影の場をロシアに移してからは、様変わりしたような人間ドラマに変貌するところの演出も見事。エンディングでクローズアップされる二人の表情が消えた後、再び大写しにされる一輪のひまわりと、もの悲しいメロディで飾られるラストシーンに涙が溢れる感動作である。

Amazon 映画『ひまわり(1970)』の商品を見てみる

コメント

  1. とら より:

    でも、二人とも生きていて、良かった
    それぞれ、新しいパートナーとの人生を進んで行く。なにも、結婚や、既成事実がゴールじゃないよねそこまで愛せた。ヒトとして行動を起こした二人にエールを贈ります!戦争は悲しいね。見ず知らずのもの同士が、かけがえのない、命を犠牲にする。ヒトは生きる為に生まれる。どんな人生も答えはない、ただ不可抗力による妨害なく、全うしたいものですね。この映画は人生の無常を描いています。えー話やな☀