映画『必死剣 鳥刺し』あらすじとネタバレ感想

必死剣 鳥刺しの概要:豊川悦司主演のラスト15分の死闘が見事な時代劇。原作は藤沢周平の「隠し剣孤影抄」の中の1編。共演は吉川晃司、池脇千鶴、岸部一徳、小日向文世。「やじきた道中てれすこ」の平山秀幸監督。2010年日本映画。

必死剣 鳥刺し あらすじ

必死剣 鳥刺し
映画『必死剣 鳥刺し』のあらすじを紹介します。

3年前。物頭・兼見三左ェ門(豊川悦司)は、能「殺生石」が終わった後、藩主の愛妾・連子(関めぐみ)を刺し殺した。すぐに斬首を言い渡されるかと思ったが、1年間の蟄居と無役、禄高の減少と軽い処分だった。
兼見三左ェ門がなぜこのような凶行に及んだのか?それは藩政に口出しをするようになった藩主の愛妾・連子を止めるためだった。決して乱心からではない。藩主は別家の帯屋(吉川晃司)の進言にさえ、耳を貸すことはなかった。

兼見の世話をする、姪の理尾(池脇千鶴)は、”死に場所を見つけるために殺めたのでしょうか。”と彼を心配するのだった。兼見から身の振り方を考えるよう言われるが、秘かに兼見を思う理尾は、今さらよそへ行きたくないと答えます。

やがて1年が過ぎ、兼見は蟄居を解かれるが、親戚にさえ会おうとしない。ご領内を歩いてみると、馬にのった別家・帯屋にすれ違った。以前と藩政は変わらないばかりか、興牧院を再建する為の資金を捻出する為に村人は年貢の取り立てにあえいでいた。
そして農民たちの一揆が起こってしまう。なんとか農民たちを説得する別家・帯屋のおかげで、ことなきを得たように見えたが見せしめの為に5人の村人が斬首されてしまう。

2年後、中老・津田(岸部一徳)の使いが来て、蟄居以前の禄高に戻された後、藩主のそばに仕えるよう言われます。近習頭取の役目を拝命するが、藩主は兼見の顔を見たくないとわがままを言う始末だった。
津田に呼ばれ、”鳥刺しという、必勝の技があるそうだな”と聞かれ、帯屋様を殺してほしいと頼まれます。兼見を生かしたのは、天心独名流の達人で帯屋に唯一対抗できる者だったからという。

兼見は、保科(小日向文世)に理尾の結婚相手を世話してくれるよう頼み、理尾と牧十兵衛を会わせます。風呂で背中を流してもらう時に理尾に思いを聞くと、”おじ様のそばに置いてほしい”と告白されます。
その夜、2人は結ばれるが、翌朝に兼見は、理尾に鶴羽村に行くように勧めます。そして、”時期が来れば必ず迎えにゆく”と約束します。

大雨の日。藩主に不満を持つ別家・帯屋がやってきた。帯屋は直心流の達人。藩主を守る為、兼見は帯屋と剣を交え、見事に斬るが。中老・津田の”兼見が乱心の末、帯屋を斬ったぞ!”という一言で裏切られ、多勢を相手にする羽目になってしまう。
捨て駒にされたのだという怒りと哀しみの中、やがて兼見は絶命したかに見えたが!津田が兼見に近寄ったその瞬間だった。死んだはずの兼見は座したまま、津田を刺し殺したのだった。この技こそが、”必死剣鳥刺し”だった。

しばらく経って、理尾は鶴羽村で兼見の子供を産んだ。いつまでも、兼見が迎えにくるのを待ち続けるのだった。

必死剣 鳥刺し 評価

  • 点数:85点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★★

作品概要

  • 公開日:2010年
  • 上映時間:114分
  • ジャンル:時代劇、アクション、ラブストーリー
  • 監督:平山秀幸
  • キャスト:豊川悦司、池脇千鶴、吉川晃司、戸田菜穂 etc

必死剣 鳥刺し ネタバレ批評

映画『必死剣 鳥刺し』について、感想批評です。※ネタバレあり

ミステリータッチで描く前半とラスト15分間の死闘に痺れる映画

主人公は、天心独名流の達人、兼見三左ェ門。”鳥刺し”と呼ばれる、絶対絶命の時にしか使わない究極の技を持っています。そんな剣の達人で実直な兼見がなぜ、藩主の愛妾・連子を刺殺したのか?それは、愛妾・連子によって、傾く藩政をなんとか止めたい一心で殺したわけで、決して乱心からではありません。

この点をきちんと押さえておけば、ラストでああ、成程と納得することができますよ。兼見三左ェ門を演じる、豊川悦司の演技力が深く迫ってきます。覚悟を持った孤高の男。正しいことをしたはずだが、1年経っても、おバカな藩政が変わる事はなかった。軽い処分のツケがどうラストに影響するかも注目です。

兼見は、中老・津田から、”剣の達人だったから、お前を生かしたのだ”と聞かされます。この中老・津田を演じる、岸部一徳も悪役をやらせると本当にはがゆくなるくらい上手い!腹黒さと知略家の2面性を持ち、最後までなかなか真の企みを見せないのです。兼見は藩政に対して対抗しているように見えるが、本当の敵は中老・津田だったのです。

本作を観て、怒りや虚しさを感じる人もいるでしょう。でもあきらめてはダメ!ラスト15分間の死闘を観れば、死んだ振りをして相手を斬るという究極の技に出会えます。別家の帯屋との闘いに始まり、中老・津田の裏切りを経て、本当の敵を切り捨てるまでの迫真の殺陣シーン。殺陣のシーンをゆっくりと見せながら、闘う兼見の輝きが際立っています。
満身創痍になりながらも、彼が打ち取るのは中老・津田のみ。ラスト15分間に凝縮された、剣士の生き様に痺れます!

闘いの狭間で揺れる、姪・理尾との恋

本作の癒しともいうべき、存在が姪・理尾です。池脇千鶴演じる、理尾は控えめだが、芯の強い女性。死に場所を求めて彷徨う、兼見の日々を支えています。藤沢周平作品の理想の女性像に近い。それは現代の好みにも通じる点があるのではないでしょうか。原作を読むと、病気の妻が生きていた時にも理尾へ心が揺れた瞬間があったと描かれています。

映画では、歳月の細かな描写がいくつか映し出されますが、2人きりのシーンは出てきません。映画を観ただけでは、2人の恋が突然始まったかのように思えます。静かな秘めた想いを池脇千鶴の、抑えた演技が見事に魅せています。

必死剣 鳥刺し 感想まとめ

「必死剣鳥刺し」は、藤沢周平の短編集「隠し剣孤影抄」のなかの1編で、筆者も大好きな作品です。映画では、藩主の愛妾を殺すシーンから始まり、良質なミステリーを予感させます。なぜ、兼見三左衛門は殺したのか?それに至るまでの経緯が分かるとより切なくなります。

人を殺す事は悪いことですが、そうまでしないと藩政が変わらないと思ったのでしょう。孤高の男、兼見三左ェ門を豊川悦司は体現させています。彼の研ぎ澄まされた剣術の技や生き方が、所作の1つ1つに表現されています。蟄居期間があるので、少し体重が増えたという設定で腹が出た姿も見せています。

観客には、剣士とは引き締まった体でないといけないというイメージがあるようですが、少し太っていた方がリアル感があると思いませんか?彼はそこまで計算して体作りをしたのではないかと思います。ただ背中が油を塗ったようにギラギラしているのには驚きました。ラスト15分の死闘をお見逃しなく!

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コメント

  1. ふじもと より:

    秘剣の存在について、私は『切腹』という映画を思い出します。結局のところ、戦は敵の旗頭を取れば勝ちです。その一点に絞って考えるなら、『鳥刺し』は究極の武器と言うことになるでしょう。普通なら多勢に無勢では勝てません。旗頭(この場合は藩主)は奥の院にいるのです。そこまでたどり着けません。しかし相手が自分の生死を確かめにやってくるなら、その時が唯一の勝機。そのためには、その前段として命を賭した大立ち回りが必要なのです。どうしても死んだのを確かめずにはおられなくなるような存在になる必要があるのです。だからあのとき、兼見が打とうとしたのは、藩主であったと思います。戦では、家臣を何人殺しても勝てません。
    しかし兼見が殺したのは津田です。結局、本丸に到達しなかったというむなしさも含めて、この話なのだと思います。