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映画『ほえる犬は噛まない』あらすじ・ネタバレ結末と感想

映画『ほえる犬は噛まない』の概要:「殺人の追憶」(03)や「母なる証明」(09)の鬼才ポン・ジュノ監督が、韓国の悪しき因習に独特のセンスで斬り込んだコメディ。出演はイ・ソンジュ、ペ・ドゥナ。犬好きな人は鑑賞注意!2000年の韓国映画。

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映画『ほえる犬は噛まない』 作品情報

ほえる犬は噛まない

  • 製作年:2000年
  • 上映時間:110分
  • ジャンル:コメディ、ミステリー
  • 監督:ポン・ジュノ
  • キャスト:ペ・ドゥナ、イ・ソンジェ、コ・スヒ、キム・ホジョン etc

映画『ほえる犬は噛まない』 評価

  • 点数:60点/100点
  • オススメ度:★★★☆☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★☆☆

映画『ほえる犬は噛まない』 あらすじ(ストーリー解説)

映画『ほえる犬は噛まない』のあらすじを紹介します。

大学の非常勤講師をしているユンジュ(イ・ソンジュ)は、身重の妻を抱え、どうしても教授になりたいと思っていた。しかし、大学教授になるには、多額の賄賂が必要だと先輩に言われ、悩んでいた。

そんなストレスからか、鳴き声のうるさい犬を地下室に閉じ込めて放置したり、屋上から落としてみたりと虐待を繰り返していた。実際、犬を飼うことは禁止されている団地であったが、犬の失踪事件が続いていた。

代わりばえのない単調な毎日に飽き飽きしている、団地の管理会社で働くヒョンナム(ペ・ドゥナ)は、やる気はあるが空回りしてばかり。ある日、行方不明の犬ペンドリを捜してほしいと小学生の女の子が訪ねてきた。

その女の子の代わりに犬を捜す、ビラ紙を団地に貼るヒョンナム。そのビラ紙に書かれた犬が自分のいじめた犬ではないかと不安を感じる、ユンジュ。彼は地下室へ、その犬を探しにいったがもうどこにもいなかった。

ビラには、犬の特徴として、声帯を取ったため吠えることができないと書いてあった。
しかし、ユンジェは地下室で年老いた警備員ピョン(ピョン・ヒボン)の秘密を知ってしまう。

警備員ピョンの趣味は、地下室で犬を殺して犬鍋を食べること。この奇行を隠すために、修理士ボイラー・キムの怪談を思いつく。”ここにいるとね・・妙な音がするんだよ。”と。

殺されたボイラー・キムの亡霊が地下室に出ると吹聴するのだった。

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映画『ほえる犬は噛まない』 結末・ラスト(ネタバレ)

ある日、ヒョンナムは犬が虐待されている現場を目撃。黄色のパーカーを被って、犯人を追います。もし、犯人を捕まえることができれば、TVに出て有名になれると考えたからでした。

しかし、あと1歩というところで犯人に逃げられてしまう。更に追い打ちをかけるように、犬の飼い主だったおばさんがショックで亡くなってしまい、落ち込むヒョンナム。怒りで、車のドアミラーを壊そうとするのだった。

一方、犬殺しのユンジェは、身重の妻が飼っている愛犬スンジャを散歩中に見失ってしまう。それを知った妻は逆上し、その犬は退職金で買った大切な犬だと話す。妻の気持ちを知り、犬を取り戻そうとするユンジェ。

結局、犬殺しの犯人は捕まらず、近くをうろつく浮浪者ではないかと思われ、真相は闇に消えてしまう。

映画『ほえる犬は噛まない』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『ほえる犬は噛まない』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

犬好きな人は鑑賞注意!ポン・ジュノ流ブラック・コメディの魅力

あなたは犬派?それとも猫派ですか?この映画は、愛犬家にとっては観るのが辛いことを最初にことわっておきます。筆者も愛犬家なので、前半の部分だけで泣きそうになりました。

犬鍋とはなんなの?と頭を抱えてしまいます。まだこんな古い習慣が残っている点にも驚くが、ソウルオリンピックの1988年まで犬を食べていたらしいのです!野蛮だとか動物虐待であるとか言い方はたくさんありますが、韓国の文化の裏側を映し出した点は評価できると思います。

皮肉なことに、この映画は韓国では不発に終わり、海外では高く評価されたそうです。鬼才ポン・ジュノ監督の才能を持ってしても、韓国民の心に届かなかったらしい。前半部分は、犬の虐待や犬鍋の実態を描き、後半部分には、やる気満々のペ・ドゥナがコミカルに演じ、笑いで昇華させようと努力します。

善人はいないし、真犯人は捕まらないといういいかげんさです。これまで、多くのポン・ジュノ作品を観てきましたが、やるせない気持ちになったのはこの作品で3作目です。
どうか注意してご覧下さい。

コミカルな演技に開眼!平凡から非凡へ

ペ・ドゥナは、平凡な日常を生きるヒョンナム役を軽快に演じ、強烈な存在感を印象つけました。2作目にして初主演だったこの映画で気負いを感じさせることもなく、堂々としています。

ポン・ジュノ監督からは、NGを出さないようにするための工夫や撮影時の心構えなど多くの事を学んだと後に語っています。前半の、無気力さから一転、解放された演技で、誰もが抱くであろう”ヒーロー願望”を実現しようとします。

日本人はどうか分かりませんが、目立ちたい思いは韓国人に多いのではないでしょうか。社会構図の縮図ともいうべき、団地とそこに住む市民を登場人物におくことで、ポン・ジュノ流のブラック・ユーモアが確立します。

何故、黄色のパーカーを被って追いかけるのか?仕事中なのに、友達に電話をかけても叱られないのか?など疑問点はいっぱいです。ペ・ドゥナは、韓国女優にありがちな烈しさではなく、緩い演技が魅力です!


さすがポン・ジュノ監督作品は難しい。
少しやり過ぎだと思う演出もあるけど、やっぱり監督の描く世界が凄く好きだと思った。簡単に答えが出なさそうだが、何か見つかりそうな作品だ。

何かが犠牲になって何かが生かされている、そんな世の中の仕組みを見事に表していたと思う。犬好きにとっては辛いシーンもあるので、観る人は少し心構えした方がいいだろう。それでも社会問題を上手く織り交ぜたストーリーは見応え抜群だ。(女性 20代)


ブラックユーモアのかたまり。犬を飼っているので恐る恐る観ましたが、結構キツかったです。韓国の一部では犬を食べる習慣があることは知っていたのでそれは驚きませんが、どこまで安全に撮影されているのか気になって話に集中できませんでした。
犬と関係ない部分では笑えるシーンもあり、ポン・ジュノ監督らしい作品ですが犬好きにはおすすめできないですね。犬を使って表現する必要があるのか、どう受け止めたらいいか難しい作品でした。(女性 40代)

映画『ほえる犬は噛まない』 まとめ

鬼才ポン・ジュノ監督の長編デビュー作であり、ペ・ドゥナのコミカルな演技が面白い作品です。ただ、韓国内でヒットしなかった点がとても残念です。実は韓国人に1番観てもらいたかった映画なのではないでしょうか。

アジアやヨーロッパでは高い評価を得ているが、”犬鍋”という悪しき因習や弱いもの(犬)へ向かう暴力性など思わず目をそむけたくなる現実が描かれています。動物虐待の観点からみると、近年、日本の捕鯨文化が世界的に非難されていますが、この映画を観れば韓国への見方が変わるのではないでしょうか。

鯨と犬とを単純に比べるつもりはありませんが、文化的背景の違いに関心を持ってほしいと思います。この映画について、好きか嫌いかと問われたら、嫌いです。愛犬家としては辛いからです。ただこの映画の役割を考えると、ポン・ジュノ監督には不発でもめげずに作り続けてほしい。

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