イギリス映画のおすすめランキング10選

独特な文化と歴史を持つイギリスですが、多様な文化の植民地を持っていたので、その多様性に裏付けられ作風もバラエティ豊かです。ここでは印象深く心に残るおすすめイギリス映画のセレクトを、ランキング形式で紹介します。

イギリスは大英帝国という激動の歴史の中で世界中に影響力を及ぼしましたが、栄光の裏で侵略による数多くの悲劇も生み出しました。栄光と没落の中で数多くのムーブメントの先駆けとなった文化も持っています。そのイギリスという国から生まれた映画も多種多様であり、革新性に富んだ作品から、史劇、コメディに至るまで話題作や問題作も多く作られてきました。ほんの一部ですが、イギリス映画を代表する個性的な作品をピックアップしてみました。

第1位 アラビアのロレンス

あらすじ

英国陸軍に勤務するロレンス少尉(ピーター・オトゥール)は、トルコに対して反乱を起しつつあるアラブ民族の情勢確認のため三ヶ月の派遣を命ぜられる。反乱軍の指揮者ファイサル王子(アレック・ギネス)の陣営へと旅立ったロレンスは、イギリス軍将校ブライトン大佐(アンソニー・クェイル)に逢ったが、突如トルコ空軍の爆撃を受け、自軍の無力さを見せつけられながらもゲリラ戦を主張し、指導者の任務を与えられる。ロレンス支持者の集落へ訪れたとき、そこはトルコ軍の襲撃を受け壊滅し、怒ったロレンスはトルコ兵を全滅させた。やがて戦いが収束しロレンスは無用となり英国へ帰還する。大佐への昇格がロレンスの功績に対する感謝の印だった。ダマスカスを発ったロレンスは顔馴染みを探したが、彼に気づく者は誰もいなかった。

注目ポイント&見所

あまりにも美しいアラビアの風景と、そこをラクダで移動しながらアラブ民族として戦う、英国軍人ロレンスの生き様が美しく描かれた作品。戦争の背景うんぬんより、民族の中で戦う事に意義を見つけた男の生きる姿と、圧倒的な美意識が紡ぎ出されるカメラワークに心酔する、イギリス映画史に残る不朽の名作である。

⇒アラビアのロレンスの感想

第2位 第三の男

あらすじ

アメリカの作家マーチン(ジョゼフ・コットン)は、旧友ハリーの依頼でウィーンを訪れたが、そこでは事故で死亡したハリーの葬儀が行われており、彼が闇取引の悪人と聞かされ真相の究明に乗り出す。ハリーと恋仲だった女優のアンナ(アリダ・ヴァリ)から、彼の死を目撃した男が三人いることを聞き出し、二人は判明したが“第三の男”だけが判明しない。アンナは偽の旅券を所持する罪でソ連に連行され、彼女の家から出たマーチンは、街角に死んだ筈のハリー(オーソン・ウェルズ)を見つけMPに通報し、アンナの釈放と交換で彼の逮捕に協力要請をされる。マーチンは親友を売る決意をし、自ら囮となって彼を待った。現れたハリーは警戒から逃走したがマーチンの銃弾に倒れる。そして“第三の男”の埋葬が行われた日、アンナは冷徹な表情でマーチンの前を通り過ぎていった。

注目ポイント&見所

モノクロームの画面の中で闇に浮かぶオーソン・ウエルズの表情が何度見ても印象的である。シニカルなセリフで綴られる、各々の人間像を映し出すキャロル・リードのダイナミックなカメラワーク。深い余韻を残すドラマチックなラストシーンなど、原作を読んでいるかのような想像的な刺激が味わえる作品である。

⇒第三の男の感想

第3位 アルフィー(1966)

あらすじ

ロンドンで狭いアパート暮らしをしているアルフィー(マイケル・ケイン)は、クールな外見であり無類の女好きであった。最初は人妻のシディー(ミリセント・マーティン)であり、次の相手であるギルダとの間には子供が出来てしまう。彼はお構いなしに様々な女性たちとの関係を続けたが、息子がすっかり気に入った様子で、週末には共に過ごすようになるが、ギルダは優しい昔なじみと結婚してしまう。そんな中、アルフィーは肺結核での療養生活を余儀なくされるが、担当の女医や看護師とも男女の関係になる。半年後に退院したアルフィーは、再び恋愛を繰り返したが、やがて全てを失ってしまう。寂寞と街を歩く彼の前に最初の女性シディーが現われ、二人はよりを戻す事になる。そして近づいてきた昔染みの野良犬とじゃれ合いながら、アルフィーは夜の静寂へと消えていった。

注目ポイント&見所

片っ端から女性を口説き落とし、次々と相手を替えてゆく主人公アルフィーのプレイボーイ振りは、当然鼻持ちならない野郎なのであるが、どこか憎めない不思議なキャラクターである。全編に渡って観る者へ語りかける演出も、イギリスらしいユニークさに溢れた、マイケル・ケインの魅力が堪能できるハートウォーミングな異色のラブコメディである。

⇒アルフィー(1966)の感想

第4位 欲望

あらすじ

ロンドンでカメラマンとして活躍するトマス(デヴィッド・ヘミングス)は、ある日、公園で魅惑的な女と中年男の戯れを見つけ反射的に撮影していた。その女はジェーン(ヴァネッサ・レッドグレイヴ)と言い、フィルムを要求し彼を訪ねてきた。フィルムを渡すからヌードを撮らせろと言うと彼女は仕方なく応じ、違うフィルムを渡すと帰って行った。トマスは写真を現像し引き伸して見たが、背景に銃を持つ男と死体が写っていた。再び訪れた公園にはジェーンと逢びきをしていた男の死体があり、急いで帰った家では、写真もフィルムも全て盗まれていた。翌朝トマスが再び公園へ向かうも死体は消えていた。するとそこへモッズ族が乗り込み、パントマイムでテニスを始めた。トマスはいつ幻想の世界へ足を踏み入れたかという疑問を抱きながら、目に見えないテニスボールを追っていた。

注目ポイント&見所

60年代半ばのロンドンのカルチャーをアバンギャルドな手法で表現した、アントニオー二監督のイマジネーションがぎっしりと詰まった夢想譚である。難解な作品と思われがちな内容ではあるが、写真集を眺めるような感覚で鑑賞するのがいいだろう。見所としては、ロック・ギタリストのジェフ・ベックとジミー・ペイジが同時に在籍していた伝説的グループであるヤードバーズの演奏が見られる。

⇒欲望の感想

第5位 時計じかけのオレンジ

あらすじ

治安が悪化した近未来のロンドン。強姦と暴力とベートーベンに生き甲斐を求める15歳のアレックス(マルコム・マクドウェル)を首領とする一味は、郊外の邸宅に押し入り、主人のアレクサンダー(パトリック・マギー)の眼前で妻を凌辱する。ある日、些細な事から仲間の二人はアレックスを裏切り警察に売ってしまう。刑務所に入ったアレックスは特殊人格治療の実験台にされ、暴力やセックスを受け付けない体に改造され釈放されたが、町中で警官になったかつての仲間に捕まり暴行を受けたアレックスは、ある家に辿り着いたが、そこは半身不随となったアレクサンダーの家だった。彼は自分が属する反政府運動の道具にアレックスを使おうと思いつく。軟禁されたアレックスは、翌朝に第九交響曲の拒絶反応で窓から飛び降りた。アレクサンダーの狙いは、アレックスへの復讐を果たすと同時に、非人間的な行為を行なった政府を攻撃する事だった。しかしアレックスは一命を取り留め、アレクサンダーは逮捕された。失脚を恐れた大臣はアレックスを元に戻すと発表し、やがて彼は再びセックスとベートーベンに歓びを見い出していった。

注目ポイント&見所

キューブリック監督の傑作であり、幻想的で得体の知れない恐怖感が漂う近未来のSF作品である。ストーリーは一貫して人間の闇の部分を強調する風刺が込められており、幻想的ではあるがダークで無機質な神経症的な描写が生々しい。その独特な映像の強烈さに芸術性はあまり感じることはないが、印象的でありながらも身近なリアリティがストレートに伝わってくる。

⇒時計じかけのオレンジの感想

第6位 ガンジー

あらすじ

1893年、インド人商社の顧問弁護士として南アフリカへ渡ったガンジー(ベン・キングズレー)は、不当な人種差別を受け反対運動に立ち上がる。彼は暴力での戦いを否定し、アシュラム(共同農園)を建設。インド人労働者たちも結束し始めた。インドは英国からの独立を願っており、ガンジーはボンベイに戻り国民から英雄として迎えられ、4月6日を国民の祈りと断食の日とし、ストライキを呼びかけた。ガンジーは逮捕されたが、“マハトマ(偉大なる魂)”と呼ばれ、国民の精神的支柱となる。やがて英国に対する不満が暴動を引き起こし、嘆いたガンジーは断食で無言の説得を行ない鎮静させるが、直後に英国に対する非協力で逮捕され6年間投獄される。やがて第二次大戦が勃発し独立目前のインドだったが、回教徒はヒンズー教徒と袂を分かち、1947年8月にパキスタンが建国。国境付近では内戦状態になる。これを悲しむガンジーは断食を行ない民衆の武器を捨てさせた。1948年1月30日。ガンジーはデリーで夕べの祈りの際、ヒンズー教極右派の一員により暗殺された。葬儀には250万を越える人々が集まり、遺灰は聖なるガンジス川に流された。

注目ポイント&見所

「殺人と流血による自由は要らん」と語り、断食という個人的な行動によって人々を諭したガンジーのストイックさに心を打たれる。常に生死の境に立ち、命を削りながら生き抜いたガンジーをベン・キングズレーが見事に演じている。エキゾチックな風景の中で展開される民族の独立運動が激しく美しい。人が生きて行く中で、本来の自由という姿を改めて考えさせられてしまう。

⇒ガンジーの感想

第7位 眺めのいい部屋

あらすじ

1907年のイギリス。良家の令嬢ルーシー(ヘレナ・ボナム・カーター)は、従姉シャーロット(マギー・スミス)とフィレンツェを訪れる。ペンション“ベルトリーニ”についた二人は、部屋が美しいアルノ河に面していないことに落胆する。シャーロットの苦情を耳にしたエマソン(デンホルム・エリオット)は、息子のジョージ(ジュリアン・サンズ)と泊る部屋との交換を申し出てくれた。躊躇したシャーロットは同宿の牧師に説得され申し出を受けた。翌朝、町を見物していたルーシーは、寺院でジョージと偶然に出会い、共に礼拝堂の壁画を見て回った。やがて二人に特別な感情が芽生えはじめるが、二人の仲に気づいたシャーロットはルーシーをイギリスに連れ帰り、数ヵ月後にルーシーはシシル(ダニエル・デイ・ルイス)と婚約する。そんな矢先、偶然にもロンドンでエマソン父子と会ったシシルは、ルーシーの家に近い貸家の世話をする。やがてジョージと再会したルーシーは、シシルとの婚約解消を決意する。その秋のフィレンツェ。ペンション“ベルトリーニ”の眺めのいい部屋に二人は再び訪れ、窓の外には美しい風景が広がるのだった。

注目ポイント&見所

イギリス人のヒロインが旅先のフィレンツェで出逢った青年と恋に落ちるラブストーリー。プッチーニのオペラをバックに英国の田園風景やフィレンツェの街並み、衣装や家具調度に至るまで、当時のイギリス貴族の生活や世相風俗が見事に再現された、ノスタルジックでゴージャスな近世のおとぎ話である。

⇒眺めのいい部屋の感想

第8位 トム・ジョーンズの華麗な冒険

あらすじ

トム・ジョーンズ(アルバート・フィニー)は、イングランドの大地主オールワージー(ジョージ・ディヴァイン)の許に捨てられていた。実の親である使用人と理髪師は追放されトムはオールワージーの養子として育てられた。オールワージーの一人息子ブリフィルは、トムとは対照的な模範青年であり、陽気で暴れん坊のトムとは気が合わなかった。ある日トムは大地主のウェスターン(ヒュー・グリフィス)の娘ソフィー(スザンナ・ヨーク)を暴走する馬上から救い、自らは右肩骨折で失神し、ウェスターン家に留まる内に二人は愛し合うようになる。トムが家へ帰ると、馬車の事故でオールワージーは重傷、その妻のブリジッドは亡くなっていた。やがてトムを嫌うブリフィルの陰謀でトムは勘当されロンドンへ旅立った。ある日トムは横恋慕で誤解をした男に怪我を負わせてしまい、ブリフィルの嘘の証言で死刑宣告を受ける。トムの忠僕が事件の真相を解明し、これを知ったオールワージーは正当防衛であったことを知らせるために刑場に駆けつけトムを無事に助け出した。ソフィーはトムは堅く抱き合いハッピーエンドを迎えた。

注目ポイント&見所

遊び心が満載でダイナミックな演出が冴える、躍動感満点のエンターテインメント。主役のアルバート・フィニー、恋人役のスザンナ・ヨークに加え、脇を固める俳優陣の怪演など見所満載で、スピード感が溢れたアクションもスリル満点。風刺が効いて健康的なエロスも見応えのドタバタコメディの快作である。

⇒トム・ジョーンズの華麗な冒険の感想

まとめ

イギリス映画と言えば007シリーズを忘れてはならないのですが、以前に紹介した部分も多いので今回は割愛させていただきました。イギリスは歴史の中で多様に文化を変化させ時代の移り変わりも激しく、画的にはこれぞイギリス映画という特徴は少ないのですが、名匠デヴィッド・リーンやリチャード・アッテンボロー。文学的な要素の高いオーソン・ウェルズに、近未来的なスタンリー・キューブリックなど、優れた映画監督、俳優や脚本家が多く存在します。他国との合作映画も多いのですが、ハリウッドとはひと味違う重厚なイメージの作品が多いのが特徴でしょう。

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