映画『インサイダー』あらすじネタバレ結末と感想

インサイダーの概要:巨大なたばこ産業の不正を告発し国民に真実を伝えるため、内部で働いていた科学者とテレビ局のプロデューサーが大きな圧力に立ち向かっていく。実話をもとに製作された1999年公開のアメリカ映画。

インサイダー あらすじネタバレ

インサイダー
映画『インサイダー』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

インサイダー あらすじ【起・承】

ローウェル・バーグマン(アル・パチーノ)は、CBS放送の報道番組“60ミニッツ”のプロデューサーをしている。司会者はベテランジャーナリストのマイク・ウォレス(クリストファー・プラマー)で、硬派な社会派の番組として有名だった。

ある日、ローウェルの自宅に匿名でフィリップ・モリス社の内部資料が届く。ローウェルは科学データの解説してもらうため、同じくたばこ産業の大手企業“B&W社”の元社員ジェフリー・ワイガンド(ラッセル・クロウ)とコンタクトを取る。

ワイガンドはケンタッキー州のルイビルで妻と2人の娘と暮らしていた。彼は科学者としてB&W社の研究開発部門のトップにいたが、人体に有毒な香料の使用停止を会社に警告したことで解雇されたばかりだった。退職の際には、会社の情報を他言しないという守秘契約を交わしており、ローウェルと接触することを警戒する。

しかしワイガンドはニコチンに中毒性があることを把握していながらセールス重視でその事実を隠蔽している巨大たばこ産業のやり方にずっと反感を感じていた。ローウェルと会い、彼の人柄を信頼したワイガンドは、会社の情報を暴露するインタビューに応じるべきか迷い始める。

会社側はワイガンドの動きを全て把握しており、様々な手を使って彼を追いつめていく。
新しく引っ越した家まで見張られ、脅迫メールまで届き、家族まで危険にさらされる。

ローウェルはミシシッピ州でたばこ会社を訴える裁判を担当しているスクラッグス弁護士に、ワイガンドが法廷で宣誓証言をするという形なら守秘義務の拘束を回避できるか相談する。法廷記録ならそれは可能だが、会社側はあらゆる手口で口封じをしようとするのでワイガンドによほどの覚悟が必要だと言われる。

会社側の汚いやり口に怒りを感じたワイガンドは“60ミニッツ”への出演を決める。収録でワイガンドはB&W社がニコチンにアンモニアを加え体内へ吸収されやすくしていたことや、ニコチンの中毒性を暴露する。それはたばこ産業が大打撃を受ける内容だった。しかし彼の妻は危険に怯え続ける生活に疲れ果て、離婚を切り出す。

インサイダー あらすじ【転・結】

番組が放送される前に、ワイガンドは宣誓証言をするためミシシッピ州へ向かう。しかし会社側は公開禁止命令を取り、証言を阻止しようとする。これによりもし証言をすればワイガンドが投獄される可能性まで出てくる。

ワイガンドは信念を貫き“ニコチンには麻薬と同じ中毒性がある”と証言する。しかし自宅へ帰ると、そこに妻と娘の姿はなかった。

ローウェルはずっとワイガンドを守りながら番組の編集を進めていた。ところがCBS本社の弁護士から“違法行為への関与”の可能性があるので、放送をやめるように指示される。

現在売却の交渉を進めているCBSは、番組を放送してB&W社から告訴された場合に出る巨額の損失を恐れていた。B&W社はワイガンドの細かい過去の失敗を念密に調べ上げ、その情報を新聞社に流していた。ワイガンドの人格に問題があることにすれば、その発言に信憑性がなくなり、真実をもみ消せると考えていたのだ。

ローウェルの直属の上司もマイクも会社には逆らえず、番組を編集し直して放送することに賛成する。しかしローウェルは多くを失う覚悟で情報源となってくれたワイガンドとの約束を守るため、孤立無援で会社側ともB&W社とも戦う。

ローウェルは個人的にワイガンドの情報を洗い直し、ウォール・ストリート・ジャーナルやニューヨークタイムズといった大手新聞社に内部情報を流す。各新聞社は一面で圧力によってスクープがもみ消されたことや、CBS側が保身のためにワイガンドのインタビューを放送しなかったことを取り上げる。これにより事態は変わり始める。

他のマスコミ各社もB&W社のワイガンドに対するやり方を“最悪の組織的中傷”と書き立て、CBSの上層部も過ちを認める方向に動く。そしてついにワイガンドのインタビューが放送され、大きな反響を呼ぶ。

ワイガンドは娘たちとその放送を見る。ローウェルはこの戦いには勝ったが、会社を信頼することができなくなり、自ら辞職する。

その後、たばこ業界は全50州での訴訟に総額2460億ドルで和解。ワイガンドは高校教師として、ローウェルはジャーナリズムの世界でその後も活躍する。

インサイダー 評価

  • 点数:85点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★☆☆
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:1999年
  • 上映時間:158分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ
  • 監督:マイケル・マン
  • キャスト:アル・パチーノ、ラッセル・クロウ、クリストファー・プラマー、ダイアン・ヴェノーラ etc

インサイダー 批評・レビュー

映画『インサイダー』について、感想と批評・レビューです。※ネタバレ含む

よくできた人間ドラマ

この映画はアメリカでの実話をもとにして製作されており、社会派映画としてなかなか見応えがある。科学者として巨大たばこ産業の不正を告発したワイガンド博士と、ジャーナリストとして真実を伝えることに誇りを持つローウェルの人物像も魅力的で、かなり熱い。

前半は主にワイガンドとB&W社の戦い、後半はローウェルとCBSの戦いという構成になっており、上映時間は長め(157分)だがメリハリがあるので飽きることはない。ラッセル・クロウの演じるワイガンドもアル・パチーノの演じるローウェルも骨太な男で、様々な障害に屈することなく、自分の信念を貫く姿勢は見ていて気持ちがいい。

特にローウェルが“約束は必ず守る”“自分を信用してくれた人間は絶対に裏切らない”という価値観を最後まで捨てず、迅速に最善の手を尽くそうとする姿は素直にかっこいい。

たばこ産業の不正がどうこうよりも、ワイガンドとローウェルという2人の男の生き様や葛藤を丁寧に描いたヒューマンドラマとしての部分が強く心に残る。2人の人物像とその行動に矛盾を感じない脚本は秀悦で、高く評価できる。

好感触のラッセル・クロウ

ワイガンドを演じたラッセル・クロウは1990年に映画デビューを果たしており、この映画が製作された当時はまだ35歳だ。それにしては貫禄がある。特に後半、彼の演技から家族を失い追いつめられたワイガンドの精神状態がジリジリ伝わってくるので、自殺をするのではとハラハラさせられる。演出は少し大げさだったが、ラッセル・クロウの表情はとても印象的だ。心労で一気に老け込んだ感じも良く出ていた。

アル・パチーノという大きな存在を前にして、ラッセル・クロウは善戦している。実年齢差は約25歳もあるが“アル・パチーノに比べてラッセル・クロウはやっぱり若造だな”という感じはしない。2人のシーンでも、しっかり対等にやりあっている。アル・パチーノも男気のある職人気質の敏腕プロデューサーをさすがの安定感で人間臭く演じており、このキャスティングはよかった。

ちなみにマイクを演じたクリストファー・プラマーも好きだ。

インサイダー 感想まとめ

個人的にたばこやお酒などの嗜好品に関しては、合法である限り各自の責任でやるやらないを選択すればいいし、他人がとやかく言うことではないと思っている。むしろ20年ほど前のアメリカでニコチンの中毒性が認知されていなかったことの方に驚いた。その事実はさておき…。

冒頭はちょっとくどいかなと思ったが、後半になるほど面白くなる。真実が闇に葬り去られていく構図もわかり、いろいろと興味深い。ただ、とにかく何でも訴訟になるアメリカの感覚が日本人にはわかりづらいかもしれない。

法的なことをあまり細かく考えるとややこしく感じてしまうので、巨大な権力と戦う2人の男の物語という認識で、彼らの葛藤や貫徹行動に注目して欲しい。

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