映画『インソムニア(2002)』あらすじネタバレ結末と感想

インソムニア(2002)の概要:正義感の強い敏腕刑事が、ある事件をきっかけに白夜のアラスカで不眠症に陥り、自分を見失っていく。1997年製作のノルウェー映画をクリストファー・ノーラン監督がリメイクした。2002年公開のアメリカ映画。

インソムニア あらすじネタバレ

インソムニア
映画『インソムニア(2002)』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

インソムニア あらすじ【起・承】

ロス市警殺人課の刑事ウィル・ドーマー(アル・パチーノ)とハップ・エクハート(マーティン・ドノヴァン)は、女子高生殺人事件解決の助っ人として白夜のアラスカへ飛ぶ。

この事件は17歳のケイが撲殺され、全裸でごみ捨て場に捨てられていたもので、ウィルは彼女の遺体から犯人が冷静に自分の痕跡を消していることを読み取る。さらに遺体には複数の古いアザがあり、彼氏のランディがケイを虐待していたことがわかる。学生時代からウィルを尊敬していた地元警察のエリー(ヒラリー・スワンク)は、ウィルの捜査能力に感心する。

ウィルは現在ロス市警の内務捜査を受けていた。少年が殺害された事件の捜査を担当したウィルは、犯人が証拠不十分で釈放されるのを阻止するため、証拠を捏造した。この事実は相棒のハップしか知らない。しかしハップは自分の身を守るため、内務課と取引すると言い出し、ウィルと対立する。

釣り小屋でケイのバッグが発見される。ウィルはバッグを使って、犯人をおびき寄せる囮捜査を決行する。目論見通り犯人が姿を現したが、犯人は逃走。警察は深い霧の中で犯人を追跡する。地元警官が犯人に足を撃たれ、ウィルは人影めがけて発砲する。しかしその人影はハップだった。ウィルが駆けつけてすぐにハップは死亡し、近くには銃が落ちていた。ウィルは咄嗟にその銃をしまい、さらに自分の誤射を隠してしまう。

白夜に加え、ハップを殺した良心の呵責がウィルを苦しめ、彼は全く眠れなくなる。死ぬ間際、ハップは内務捜査の件で自分を故意に殺そうとしたのかと言い残しており、その発言にウィルは動揺していた。しかし後戻りすることはできず、ウィルは証拠の弾丸をすり替え、アリバイ工作をしていく。そんなウィルに犯人から“君が相棒を撃つのを見た”という脅迫電話がかかってくる。

インソムニア あらすじ【転・結】

ランディと浮気をしていたケイの親友から、ケイが通称ブロディという男と会っていたことを聞き出したウィルは、その男がケイの愛読するミステリー小説の作家であることを突き止める。ウォルター・フィンチ(ロビン・ウィリアムズ)というその男が犯人だと確信したウィルは、フィンチを追う。さらにフィンチの家の排気口にハップ射殺の証拠となる銃を隠す。フィンチはウィルと取引したがっており、待ち合わせ場所を指定してくる。そんな中、熱心に捜査を続けていたエリーも、フィンチの存在に気づく。

ウィルはフィンチと会い、話をする。フィンチは自分も故意にケイを殺害したわけではないので協力して別の犯人を仕立て上げようとウィルに持ちかける。フィンチはウィルが裏切らないよう、このやり取りを全て録音していた。

警察の取り調べを受けたフィンチは、ランディを犯人に仕立て上げるための嘘をつく。これによりランディが容疑者として逮捕される。ウィルはフィンチを殺そうとするが、不眠のせいで思考回路は混濁しており、結局フィンチに言いくるめられ、あきらめてしまう。

ハップ射殺の報告書を書いていたエリーは、いくつか不審な点を見つけ捜査を続けていた。現場でウィルが予備の銃として使っているワルサー9ミリの弾丸を見つけたエリーは、ハップを撃ったのはウィルではないかと疑い始める。

ケイ殺害事件は解決したことになり、ウィルはロスへ帰ることになる。しかしウィルはエリーの身に危険が迫っていることを知り、フィンチの別荘へ向かう。案の定、フィンチはエリーを始末しようとしていた。現場へ駆けつけたウィルとフィンチはもみ合いとなり、意識を取り戻したエリーは2人の会話を聞いてしまう。ウィルはエリーに自分の罪を認め、正義感を取り戻す。フィンチとウィルは同時に銃を撃ち合い、フィンチは死亡。瀕死のウィルは、ウィルをかばい証拠品の弾丸を捨てようとするエリーを止め、“道を見失うな”と言い残して永遠の眠りにつく。

インソムニア 評価

  • 点数:80点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:2002年
  • 上映時間:119分
  • ジャンル:サスペンス、ヒューマンドラマ
  • 監督:クリストファー・ノーラン
  • キャスト:アル・パチーノ、ロビン・ウィリアムズ、ヒラリー・スワンク、モーラ・ティアニー etc

インソムニア 批評・レビュー

映画『インソムニア(2002)』について、感想と批評・レビューです。※ネタバレ含む

ウィルの葛藤の根底にあるもの

ウィルの葛藤はアラスカへ来る前からすでに始まっている。幼い少年を酷い拷問の末に殺害した凶悪犯を有罪にするため、証拠を捏造したウィルは、内務捜査を受けている。ハップが内務課との取引に応じ、ウィルの証拠捏造を証言すると言った時、ウィルは怒る。それは、自分が裁かれるからではなく、それにより凶悪犯が釈放されることが許せなかったからだ。ウィルはそれほど正義感が強く、悪を憎んでいる。

そんなウィルがハップを誤射により殺害してしまい、自分の罪を隠蔽する。最初はウィルが自己保身のため、フィンチに罪をなすりつけようと偽装工作しているのかと思う。しかし最後になって、ウィルが咄嗟に自分の誤射を隠したのは、内務捜査の対象となっている少年殺害事件の真相を隠したいからだということがわかってくる。

もし、ウィルがハップを事故とはいえ射殺したことが明るみになれば、内務課は芋づる式に少年殺害事件での証拠捏造も暴き出し、凶悪犯が釈放されていただろう。それだけはどうしても避けたいというのが、ウィルの葛藤の根底にある。途中でウィルの行動にいくつかの矛盾を感じるが、この根底がわかれば全てがつながってくる。簡単に真実を見せようとしない、複雑で面白い脚本だ。

アル・パチーノとロビン・ウィリアムズ

様々な心の葛藤に加え、白夜という自然現象の枷まで重なり、ウィルは完全な不眠症に陥っていく。このウィルを演じているのがアル・パチーノであり、彼の芝居がやはり凄まじい。アル・パチーノが醸し出す疲労感には、こちらまで眠りたくなるようなリアリティーがある。それだけに最後の“眠らせてくれ”というウィルのセリフが重い。ウィルが死んだことより、眠れたことに安堵してしまうほど、ウィルの疲労を体感している自分がいる。

そんなウィルを苦しめるフィンチという殺人犯を演じているのがロビン・ウィリアムズだ。フィンチは複雑な内面を持った知能犯で、心の奥底に潜む凶悪さを簡単には見せない。このそこはかとなく怖いフィンチをロビン・ウィリアムズが好演しており、彼はまさに屈折したプライドと卑劣さを持つ三流小説家だった。死体になって水に沈んでいるロビン・ウィリアムズの芝居には目が釘付け。仰向けでピクリとも動かず、ちょっと微笑んでいるような表情でこちらを見ている。やっぱり実力派の役者は死体をやってもすごいんだと、感動した。この実力派俳優の共演により、映画の完成度は何倍も高まっている。

インソムニア 感想まとめ

見終わってこれほど眠りたくなる映画も珍しい。本気で布団が恋しくなる。とにかく何も考えずに眠りたいと思ってしまう。キャストの熱演に加えて、クリストファー・ノーラン監督の演出もうまいので、何とも言えない独特の疲労感に襲われる。いい意味で。

サスペンスとしてもヒューマンドラマとしてもよくできており、映画全体のクオリティーも高い。個人的には結末も好きだった。ウィルの人間性を考えると、あれでよかったはず。眠れたし。バトンを渡されたエリーは、これから大変だろうが…。

見応えのある映画だが、見る側の精神状態が良くない時はやめておいたほうがいい。マジで不眠症になるかも。

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