映画『J・エドガー』のネタバレあらすじ結末 | MIHOシネマ

「J・エドガー」のネタバレあらすじ結末

J・エドガーの概要:FBI(米国連邦捜査局)の初代長官、ジョン・エドガー・フーバーの半生を、レオナルド・ディカプリオの主演で描いた作品。司法省の捜査局長時代から半世紀、アメリカを共産主義や犯罪組織から守る一方、この国の政治をも操ってきた人物の裏と表の顔を生々しく表現している。監督はクリント・イーストウッド。

J・エドガーの作品情報

J・エドガー

製作年:2011年
上映時間:137分
ジャンル:ヒューマンドラマ、伝記
監督:クリント・イーストウッド
キャスト:レオナルド・ディカプリオ、ナオミ・ワッツ、アーミー・ハマー、ジョシュ・ルーカス etc

J・エドガーの登場人物(キャスト)

ジョン・エドガー・フーバー(レオナルド・ディカプリオ)
FBIの初代長官。司法省時代から48年間、長官の職に就き、8人の大統領に仕えてきた。FBIを強大な犯罪捜査機関として確立し、指紋の検証など科学的手法も捜査に取り入れる。その一方で要人の極秘ファイルを秘密裏に作成し、それを利用して権力を操るなど、黒い噂も絶えない。また、私生活では母親に溺愛され、同性愛者と思われるような言動をとるなど、謎も多い人物。
ヘレン・ギャンディ(ナオミ・ワッツ)
エドガーの秘書として、彼の仕事を長きにわたり、支え続けてきた。若い頃、エドガーと出会ったときにはエドガーからプロポーズを受けるが、結婚に興味がなく、仕事に打ち込みたいと断る。以来、エドガーが死ぬまで秘書として彼に仕え、彼の死後は、託された極秘ファイルを処分する。
クライド・トルソン(アーミー・ハマー)
FBI副長官。エドガーの大学の後輩にあたり、その華麗な服装の着こなしと上品な言葉遣いがエドガーの目に留まり、司法省に入省。若くしてエドガーの片腕として活躍し、のちにFBIの副長官となる。一方、私生活でもエドガーとの関係が緊密となり、ある日、エドガーが女優との結婚を予定していることを打ち明けると、激怒して彼を殴った上、彼に口づけして自分の思いを打ち明ける。
チャールズ・リンドバーグ(ジョシュ・ルーカス)
1927年、大西洋単独無着陸飛行に初めて成功した米国の英雄。しかしその数年後、幼い長男が自宅から誘拐され、エドガーらの捜索の甲斐もなく、自宅近くで遺体となって発見される。後にエドガーらFBIはこの誘拐殺人事件の容疑者を逮捕。さらにこの事件をきっかけに、誘拐事件に関するFBIの権限を拡大した「リンドバーグ法」を成立させる。
アニー・フーバー(ジュディ・デンチ)
エドガーの母。幼い頃からエドガーに「強くあれ」ということを諭し続け、エドガーの心の支えとなってきた。浪費癖があり、ドレスや宝石などを衝動買いしてしまう一面も持つ。彼女が亡くなったとき、エドガーは大いに嘆き悲しんだ。
エージェント・スミス(エド・ウェストウィック)
犯罪記録課の広報官。エドガーが晩年、自分の伝記を残すために、口述原稿をまとめる役として抜擢。歯に衣着せぬ質問をぶつける一方で、エドガーに対する敬意も忘れず、エドガーに気に入られる。
ブルーノ・ハウプトマン(デイモン・ヘリマン)
リンドバーグの長男ジュニアを誘拐し、身代金を要求した容疑者としてFBIに逮捕されたドイツ系移民。身代金要求の筆跡や、彼が使った金券、はしごなどが、エドガーらの捜査により犯罪の証拠として挙げられ、死刑となる。後に冤罪説も流れるが、真偽は定かでない。

J・エドガーのネタバレあらすじ

映画『J・エドガー』のあらすじを結末まで解説しています。この先、ネタバレ含んでいるためご注意ください。

J・エドガーのあらすじ【起】

FBIの本部。年老いたジョン・エドガー・フーバーは、黒人の公民権運動を主導するキング牧師を非難していた。牧師が共産党とつながりを持ち、このままでは米国を無政府状態にする、という彼の批判は、キング牧師本人から相手にされないどころか、FBIの職員の中にもエドガーの言動に批判的な者が出てきていた。

そこでエドガーは、自らの正当性を主張するために広報官のスミスを呼ぶ。そして、回顧録を残すために自分の過去を語り始め、スミスに記録させた。

1919年。司法省で最初にエドガーのボスとなった、パーマー司法長官の自宅が爆破された。当時の米国では、ロシア革命後のソビエト政権の誕生を受け、共産主義者らによるテロが活発化しており、その夜も多くの要人が爆破事件の標的となった。

こうした背景から、司法省は、共産主義の過激派と戦う特別捜査課を立ち上げ、エドガーがその責任者に命じられた。一族の中で一番の栄光をつかむのはエドガーだと言い聞かせ、厳格にエドガーを育ててきた母のアニーは、息子の昇進を喜ぶ。

その夜、エドガーは、司法省の秘書になったばかりのヘレン・ギャンディとデートする。彼はヘレンを国会図書館のデートに誘い、自分が作った検索カードを見せる。図書館の利用者がすぐに蔵書を探すことができる、この画期的なシステムを評価する者はまだ少なかったが、ヘレンはそれを認めた。

機嫌をよくしたエドガーは、ヘレンにプロポーズするが、あっさり断られてしまう。ヘレンは結婚に興味がなく、仕事に打ち込みたいという。そこでエドガーは、ヘレンに個人的な秘書になってくれるよう依頼し、ヘレンはそれを受け入れる。

場面は再び1960年代に戻り、エドガーは秘書のヘレンを呼び、スミスを呼ぶよう申し渡す。ヘレンはあの日以来、40年以上もエドガーの秘書を続けていた。スミスを呼び、再びエドガーはFBI発足の頃の話を始める。

J・エドガーのあらすじ【承】

国会図書館の検索システムを構築したエドガーは、そのファイリング技術を活かして、米国に興味を与える恐れのある外国籍の人物5000人のファイルを作成し、この人物たちを国外追放にするため、パーマー長官と共に労働省を訪れる。しかし、エドガーたちの提案は、リストの人物を国外追放にする法律がないとして、労働省の担当官に却下される。

しかし、その間にも共産党が主導する国内過激派の活動は、ますます活発になっていく。そこでエドガーは、過去の犯罪者のみならず、将来の犯罪の芽を摘み取るため、潜在的過激派のリストを集め始める。

エドガーは、労働省移民局長のカミネッティが、過激派の「英雄」とも言われているエマ・ゴールドマンを憎んでいることを知っていた。そこでカミネッティと共に、ゴールドマンを裁判の場に引きずり出して有罪とさせ、国外追放の前例を作る。

さらに過激派を現行犯逮捕するため、全米各地の地元警察と組み、過激派たちの集会場に踏み込んでは一斉検挙していった。その中で、パーマー長官が爆破事件に巻き込まれたときの犯行声明文も見つかった。エドガーの指揮によって、4000人の共産主義者が逮捕され、500人が国外追放となった。

米国はテロの脅威から救われるが、大量検挙の代償として関係者のパーマー長官らが失職。しかし、まだ24歳の若いエドガーは、上官の命令を遂行しただけということで、お咎めなしとなった。それだけでなく、新長官から呼び出されたエドガーは、司法省捜査局の局長代行に任命される。

エドガーは、捜査局の綱紀を粛正し、自分の基準に沿わない者は上司や同僚でも構わず解雇した。代わりに優秀な人材を集め、自ら面接を行って採用した。その中に、エドガーの大学の後輩に当たるクライド・トルソンがいた。気品ある風格で、服の着こなしもセンス良く、上品な言葉遣いのトルソンを、エドガーは気に入る。

トルソンと面接したエドガーは、なぜか落ち着かなかった。将来、弁護士になるために経験を積みたいというトルソンに対し、司法省の仕事はそんな甘い考えでは務まらないと諭す。しかしトルソンは、それを誠実さでカバーするという。その言葉を信じ、エドガーは彼を採用する。

この頃、エドガーは、ある計画を秘書のヘレンに打ち明けていた。それは、権力者の情報を記した極秘ファイルを作成するというもので、そのファイルの管理を信頼できるヘレンに依頼した。

J・エドガーのあらすじ【転】

大量検挙の後、共産党員の活動は弱まったかに見えたが、代わりに米国内ではアル・カポネらギャングのボスなどに率いられた犯罪組織が暗躍するようになり、司法省の捜査官からも犠牲者が出た。しかし、そうした犯罪から市民を守るエドガーたちの活動に対して、世間の関心は薄かった。

そんなとき、米国の英雄チャールズ・リンドバーグの長男が誘拐され、犯人が身代金を要求するという事件が発生した。エドガーは、本来なら地方警察の管轄であるこの事件の捜査に積極的に関与し、政府に対しては、誘拐事件の捜査に関する司法省の権限拡大、捜査官の武器携行の許可などを要求した。

一方でエドガーは、政治家の極秘ファイルを利用してその権限を拡大していた。新任の大統領は、エドガーを辞任に追い込もうとするが、ファイルで弱みを握られ、逆にエドガーの権限拡大を容認せざるをえない状況に追い込まれた。

そうした中、誘拐されたリンドバーグの長男が、白骨化した遺体で発見される。エドガーは、専門家に依頼して、犯罪に使われたはしごの材質から犯人を割り出すなどの科学的手法を用いて、捜査を進めていった。

国民の英雄の息子の誘拐事件で、国民の犯罪に対する関心は高まっていた。犯罪の解決に挑む司法省捜査局の活動も映画化されるなど、注目度も急上昇していった。

そんなある日、議会の場でエドガーは、犯罪組織の主要人物の逮捕に際し、エドガー自身は何も手を出さず、部下にやらせているのではないか、という質問を受ける。捜査局の活躍を描いた映画などでは、エドガー自身が犯人を逮捕しているように描かれているが、事実は違うのではないか。それはエドガーにとって、屈辱的な指摘だった。

以来、エドガーは、自ら銃を持って犯人逮捕の現場に乗り込むようになった。捜査局の人気は再び上昇し、エドガーは国民の英雄的存在となる。共産主義者もギャングも、もはや過去の存在となり、子供たちのヒーローは、後にFBIとなる司法省の捜査局だった。

ある夜、エドガーは、母アニーやトルソンと共に、FBIを主人公にした映画を鑑賞する。その後、母をホテルに送り届け、トルソンとクラブに行き、女優たちと楽しく語り合った。ここでもエドガーは彼女たちの憧れの的だった。しかしエドガーは、1人の女優からダンスに誘われると、頑なにそれを拒んで逃げるように店を出た。

ホテルのアニーの部屋には、「ダンスなんかしたくない」と、何度も繰り返すエドガーの姿があった。しかもその言葉には、普段のエドガーらしい活舌さがなく、つっかえ、つっかえしながら、ようやく口から絞り出されていた。実はエドガーは小さいころ吃音で、いやな思いをするとその頃の記憶が蘇り、吃音の癖が出てしまうのだ。

アニーはそんなエドガーに、今まで同様「強くあれ」ということを強調する。そして、息子の手を取り、ダンスを指導するのだった。

J・エドガーのあらすじ【結】

科学的な捜査の効果もあって、エドガーたちはリンドバーグの長男を殺した容疑者を割り出すことに成功した。ドイツ系ユダヤ人のブルーノ・ハウプトマンという男だった。エドガーは自らハウプトマンの家に行き、車で出かける彼を追跡して逮捕する。1934年のことだった。

話は再び1960年代に戻り、エドガーの元に、大統領のスキャンダルを盗聴したテープが届く。それを再生して聞いているエドガーの元に、ダラスの捜査官から、ケネディ大統領が撃たれたという報告が入る。呆然とするエドガーだったが、気を取り直し、大統領の弟のロバート・ケネディ司法長官に、大統領が狙撃された件を報告する。

再び1930年代。エドガーとトルソンは西海岸の競馬場で、つかの間の休日を楽しんでいた。ホテルのスィートに泊まっていた2人は、酒を酌み交わす。そこでエドガーはトルソンに、ある女優と結婚しようと考えていることを告げる。

それを聞いて怒り出すトルソン。2人は殴り合を始め、エドガーを組み敷いたトルソンはエドガーに無理やりキスをする。トルソンの気持ちを知り、驚いたエドガーだが、「2度とするな」とトルソンを諭す。失意のトルソンは、エドガーが止めるのを振り切って部屋を出て行く。1人部屋に残されたエドガーは、「愛してる、クライド。愛してる」と呟くのだった。

再び1960年代。年老いたエドガーとトルソンは、昔と同じように、競馬場でレースを観戦していた。しかし、トルソンはその場で突然倒れ、命はとり止めたものの、言語などに麻痺が残る身体となってしまう。一方のエドガーもこの頃から体調が思わしくなく、ビタミン剤や強壮剤を打ちながら仕事を続けていた。

エドガーは、回顧録の最後をブルーノ・ハウプトマンの裁判の話で締めくくるよう、記録係のスミスに指示する。ハウプトマンには死刑判決が下された。犯罪者は罰を受け、FBIが英雄となる。そういう結末をエドガーは望んだ。

その頃、キング牧師に対して、ノーベル平和賞が授与される話が進んでいた。エドガーは牧師がノーベル賞の授与を辞退するよう、盗聴テープと脅迫状を牧師に送りつける。送り主がエドガーだと分からないよう、脅迫状は内部告発であるかのような内容にした。しかし、キング牧師はエドガーの脅しに屈することなく、ノーベル平和賞を受賞する。

エドガーの体調は、ますます悪化していった。彼は、最愛の母親が亡くなった時のことを回想する。母の死を悲しみながら、エドガーは母の衣服や宝石を身にまとう。小学生の頃、エドガーの同級生は、女装を皆にからかわれて自殺した。母は、弱い者の結末はそうなるとエドガーを諭し、常に彼に強くなるよう教えてきた。エドガーは「弱さ」との決別を母に誓うかのように、身に着けた母のネックレスを引きちぎる。

リチャード・ニクソンが第37代大統領に就任する。エドガーは、この新しい大統領が今までの大統領のように、極秘ファイルでコントロールのできない人物だと悟る。そこでエドガーは、自分の身に何かあった時には、極秘ファイルを全て削除するようヘレンに頼む。ヘレンは、たとえどんな圧力を受けようとも、ファイルを誰にも渡さないと誓った。

ある日、エドガーは、トルソンから引退を勧められる。しかし、エドガーはその意見に耳を貸さなかった。エドガーは、共産主義や犯罪者から米国を守った功績を強調する。しかしトルソンは、エドガーがスミスに記録させた彼の功績の多くが嘘と誇張だと指摘する。ハウプトマンを逮捕したのも、実はエドガーでなく別の捜査官だった。

しかしトルソンは、どんなに世間に嘘をついても構わないが、自分にだけは嘘をつかないでほしいと頼む。エドガーは、トルソンが面接に来た時から、トルソンが必要な存在であったことを告げ、彼の額にキスをする。

それからしばらくして、エドガーが自宅の寝室で亡くなっているところをメイドが発見し、トルソンに連絡する。駆け付けたトルソンは、上半身裸で床に横たわるエドガーの遺体に布団をかけ、優しく抱きしめた。

エドガーの訃報を聞いたニクソン大統領は、FBIに人を送り込み、極秘ファイル入手しようとする。しかし、その頃にはヘレンが、エドガーとの約束通り、極秘ファイルの全てをシュレッダーにかけていた。

エドガーの家はトルソンが相続した。そして今、エドガーの墓のそばで、トルソンも眠っている。

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みんなの感想・レビュー

  1. 匿名 より:

    ①性の抑圧が生んだ権力欲の怖さ。

    「J・エドガー」を、政治的な映画とばかりに思って観ると、後半、どんでん返しのような衝撃があります。

    この衝撃というのは、性的な指向なのですが、J・エドガーがゲイで女装癖があったという。
    後半になり、自分の右腕であるクライド・トルソンと親密な感じになるのですが、ホテルで痴話ゲンカするシーンやラストまで気が抜けません。

    本作の脚本家が、「ミルク」の脚本を書いたダスティン・ランス・ブラック。彼もゲイで、この映画の根幹には性的マイノリティの人に向けたメッセージが込められているのではないかと思います。

    性の抑圧が本人だけでなく、周りの人にも悪影響を与えるということ。ただ、性を解放しすぎるのも困りますけどね。

    アメリカでのこの作品への反響は、事実に基づいたドラマ構成は良いが曖昧に終わらせている点がもやもやするそうです。

    私達は、アメリカの近代史に詳しいわけではないので、J・エドガー氏に対する印象は不器用な人とか孤独な人生に映るのではないでしょうか。

    ②リアル王子様ならアーミー・ハマー!

    アーミー・ハマーは、身長が196センチで財閥の御曹司だそうです!そんな人が俳優として活躍しているなんて驚きですが、本作「J・エドガー」では、主役を演じるデカプリオのそばをつかず離れず寄り添うクライド・トルソン役を熱演しています。

    彼の人気作となったのが、ガイ・リッチー監督の「コードネームU.N.C.L.E」でした。
    アーミー・ハマーがKGBのスパイ役を演じ、アメリカのスパイを演じたヘンリー・カヴィルとのW主演も話題になりました。

    また、リアル王子様といえば、「白雪姫と鏡の女王」(12)です!ただし、ちょっと弱々しい王子様ですが、そんなギャップも楽しめるでしょう。

  2. 匿名 より:

    レオナルド・デカプリオは、作品ごとに演技の限界を超えて進化し続けているように思う。
    「J・エドガー」では、FBI初代長官の人生を体当たりで演じ、フケ顔も披露してくれています。なにより、人間味あふれる表情に惹きつけられます。

    アメリカの近代史に詳しくはないですが、8人の大統領に仕え、盗聴という形で弱みを握っていた男が実はゲイでというくだりはなんだか切なくも見えます。

    政治的映画というよりも、マイノリティに向けての映画だったという点を評価したいと思います。レオナルド・デカプリオの変貌ぶり、そして相棒を演じたアーミー・ハマーの存在感に注目して下さい。