映画『哀しみの街かど』あらすじネタバレ結末と感想

哀しみの街かどの概要:ニューヨークの片隅で生きるヘロイン中毒のカップルの崩壊ぶりを残酷なまでに淡々と描いた絶望的に救いのないラブストーリー。若き日のアル・パチーノが主演を務め注目を浴びた。1971年公開のアメリカ映画。

哀しみの街かど あらすじネタバレ

哀しみの街かど
映画『哀しみの街かど』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

哀しみの街かど あらすじ【起・承】

ニューヨークのウェストサイドにあるシャーマン・スクエアは別名ニードル・パークと呼ばれるヘロイン常習者たちの溜まり場だった。

そこの常連ボビー(アル・パチーノ)は絵描きのマルコのところでヘレン(キティ・ウィン)と知り合う。彼女は中絶手術後に体調を崩していた。ボビーはヘレンを気づかい、入院先まで見舞いに行ってやる。マルコは彼女を放って旅に出てしまい、行き場をなくしたヘレンとその日暮らしのボビーは行動を共にするようになる。

ボビーは仲間や兄貴のハンクにヘレンを紹介する。ハンクは泥棒を生業としており、仲間は薬物中毒者ばかりだった。ヘレンは初めて見る世界に驚くが、ボビーに惹かれ彼を頼る。

ボビーとヘレンは結ばれ、2人は恋人同士となる。しかし、金が入ればヘロインを買ってラリってしまうボビーとの暮らしはどこまでも退廃的だった。

ヘレンはボビーの代理で売人のフレディのところへ行き、警察に捕まる。ずっとボビーたちを追っている警察のハッチはヘレンに“ヤクの売人は平気で人を売る”と彼女に忠告する。

しかしヘレンもヘロインに手を出してしまう。ヘレンが中毒になっていることに気づいたボビーは彼女との結婚を決意する。しかし、ボビーもヘロインから抜けられず結婚できる見通しなどまるで立たなかった。

ボビーは金のためにハンクの仕事を手伝い、そこで警察に逮捕される。ボビーは刑務所生活には慣れっこだったが、1人になったヘレンはヘロイン欲しさに身体を売りハンクとまで寝るようになっていた。

哀しみの街かど あらすじ【転・結】

出所したボビーはハッチからヘレンの現状を聞かされ、怒りに任せて彼女を殴り飛ばす。それでも2人は仲直りするが、彼女の口からハンクとまで寝たと聞きボビーはショックを受ける。このままではいけないと思いながら、出口の見えない生活は続く。

ボビーは刑務所で仕入れた情報を頼りに大量のヘロインを扱うサントと接触し、売人の仕切りを任せてもらえることになる。わずかの期間仕事は順調だったが、またすぐ金は尽き、ヘレンと喧嘩を繰り返す。その頃にはハンクもすっかり薬物中毒者となっていた。

結局ヘレンが売春を続け、2人の暮らしを支えていた。ヘレンは売春相手の財布を盗んだ容疑で逮捕されるが、ハッチの計らいですぐに釈放してもらう。

ある日、ヘレンの母親から手紙が来る。母の知人がニューヨークへ行くので会うようにという内容で、ボビーはその知人から金をせしめるようヘレンに言う。ヘレンは知人と会うふりをして売春しており、現場に乗り込んだボビーは売春相手から大金を脅し取る。そのことで久しぶりに2人は一緒に笑う。

2人はヘレンの希望で船に乗って犬を買いに行く。可愛い子犬を買ってもらいヘレンは幸せだった。しかし帰りの船でボビーがどうしても一緒にヤクを打ちたいと言い出し、2人は子犬を外に出しトイレにこもる。子犬は海に転落してしまい、ヘレンは悲しみにくれ、ボビーの前から姿を消す。

ボビーは諦めていたが、結局ヘレンは戻ってくる。ヘロインが出回らなくなり、ヘレンは医者を騙して強烈な鎮痛剤を手に入れる。それを売ったことで再び警察に逮捕される。

ハッチはヘレンに刑務所送りになるのが嫌ならボビーを売るように言う。近々サントが大量のヘロインを入手するという情報が入っており、ボビーを使って元締めのサントを捕まえるのが狙いだった。ヘレンは精神的に追いつめられ、どんどんラリっていく。

結局ヘレンはボビーを売り、サントのアジトからヘロインを持って出てきたボビーは現場で逮捕される。ボビーはハッチといるヘレンを見つけ“結婚する気だったのに!”と叫ぶ。

しかし刑務所から出所してきたボビーをヘレンは待っている。ボビーは何も言わずに歩き出し、ヘレンは後をついて行く。ボビーは立ち止まりヘレンに“行くか”と声をかけ、2人は並んで歩き出す。

哀しみの街かど 評価

  • 点数:85点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★☆☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★☆☆

作品概要

  • 公開日:1971年
  • 上映時間:109分
  • ジャンル:ラブストーリー、青春
  • 監督:ジェリー・シャッツバーグ
  • キャスト:アル・パチーノ、キティ・ウィン、アラン・ヴィント、リチャード・ブライト etc

哀しみの街かど 批評・レビュー

映画『哀しみの街かど』について、感想と批評・レビューです。※ネタバレ含む

暗澹たるラブストーリー

若い男女が出会い、恋に落ち、結婚したいと考えている。そう考えるとこの映画のジャンルはやはりラブストーリーになるのだが、これほど気が滅入るラブストーリーも珍しい。

ジャンキーのボビーと出会ったヘレンは、おそらくボビーの根底にある無邪気さのようなもの(ただ頭が悪いだけとも言えるが)に惹かれ恋人同士になる。ボビーと出会った頃のヘレンは、男遊びぐらいはしていても地獄のようなジャンキーたちの世界は知らない。

それが好奇心からヘロインに手を出したことで、底なし沼のようなジャンキーたちの世界へ仲間入りする。一瞬明るい兆しが見えたような気がしてもすぐに地獄へ逆戻りだ。子犬を買ってもらい久しぶりに明るいヘレンの笑顔を見たと思ったら、その子犬は2人の薬物中毒のせいで海に転落して死んでしまう。家に連れて帰ることさえできなかったのだ。

この容赦のない脚本と演出により暗澹たるラブストーリーは生々しく薬物の恐ろしさと残酷さを観客に見せつける。ただ淡々と、どんどん悲惨になっていくボビーとヘレンの様を見せられるのはかなりきつい。この2人を結びつけているものは愛なのかクスリなのか。それがわからないことが何よりも悲しい。

アル・パチーノとキティ・ウィン

アル・パチーノとキティ・ウィン。この2人をボビーとヘレンにキャスティングしたことでこの作品は成功したと言っても過言ではない。

2人とも擦れていない感じがいい。出会った頃のボビーとヘレンは本当に笑顔の可愛い微笑ましいカップルだ。だからこそ、そこから転落していく2人に強烈なインパクトがある。

アル・パチーノはこれが2作目の映画出演になるが、すでに大物になりそうなオーラがすごい。屈託のない若者のようで中身はヘロイン中毒者であるこのボビーという青年を恐ろしいまでのリアルさで演じている。ゾクッとするほど魅力的な笑顔を見せたかと思えば、すごい迫力で怒鳴り暴力的になる。完全にラリっている時の表情は本気で怖い。

そのボビー以上に急速に崩壊していくヘレンをキティ・ウィンが体当たりで熱演している。ヘレンの凄まじい壊れ方は目を覆いたくなるような痛ましさだ。

最初から最後の最後まで、2人の迫真の演技から全く目が離せない。

哀しみの街かど 感想まとめ

薬物中毒者を描いた作品はいろいろと見たが、ここまで生々しいのは初めてだった。マリファナやコカインではなく静脈注射をするヘロイン常習者の崩壊ぶりは強烈だ。腕に深く注射針を突っ込んでいくシーンなど、並のホラー映画より怖い。

音楽も一切使わず、ドキュメンタリーのように中毒者たちのありのままを追ったような演出が薬物の怖さを実感させてくれる。

何度も見たくなるような映画ではないが、一度見たら決して忘れられないこのインパクトは一体何だろう。この映画には夢も希望もない。あるのは絶望的に救いのない薬物中毒者の現実だけだ。これを見れば絶対に薬物には手を出すまいと嫌でも思う。

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