映画『鑑定士と顔のない依頼人』のネタバレあらすじ結末

鑑定士と顔のない依頼人の概要:孤独で女性不振な天才鑑定人ヴァージルの元に、孤独な女性から鑑定依頼が入る。クレアは両親を失ってから天涯孤独だった。病気のせいで外に出れない彼女に惹かれて行くヴァージルは奇妙な事件に巻き込まれる。

鑑定士と顔のない依頼人の作品概要

鑑定士と顔のない依頼人

公開日:2013年
上映時間:131分
ジャンル:ミステリー
監督:ジュゼッペ・トルナトーレ
キャスト:ジェフリー・ラッシュ、シルヴィア・フークス、ジム・スタージェス、ドナルド・サザーランド etc

鑑定士と顔のない依頼人の登場人物(キャスト)

ヴァージル(ジェフリー・ラッシュ)
女性に不信感があり、未だに独身の美術鑑定人。依頼人のクレアに翻弄されるが、次第に彼女に惹かれて行く。
クレア(シルヴィア・フークス)
両親を亡くし、家に閉じこもる若い娘。15歳から誰とも会っていない。ことあるごとにパニックを起こしてしまう天涯孤独な女性。

鑑定士と顔のない依頼人のネタバレあらすじ

映画『鑑定士と顔のない依頼人』のあらすじを結末まで解説しています。この先、ネタバレ含んでいるためご注意ください。

鑑定士と顔のない依頼人のあらすじ【起】

白髪を染めて、新しいスーツを選ぶ。高級レストランでひとりぼっちでシャンパンを飲む。今日は自分の誕生日だ。レストランからケーキをもらったが、手を付けなかった。ろうそくが消える。

孤独な女性から鑑定の依頼が入る。彼女は父の遺言で、鑑定はヴァージルに頼めと言われていた。

ヴァージルがオークションを開く。そこで彼は金で雇った男に本日の目玉商品を落札させていた。あとでその商品を受け取る。クローゼットの隠し扉を開いてソファーに座る。そこにはびっしりと女性の絵画が飾られていた。

孤独な女性の家に行くが、雨の中40分も待たされた。電話にむかってどなりつけるヴァージル。彼女は自殺未遂を起こしてまでヴァージルを呼んだ。顔をしかめるヴァージル。

廃墟のような屋敷に、足を引きずった管理人が現われた。カーテンを開け照明をつけると物置のように美術品が置かれていた。この家の不思議な感じは何だろう。

屋敷の美術品を鑑定するのに多くの人員が必要だった。ここには誰かが住んでいる。前と感じが変わっているのだ。姿を現さない女性が不気味でならない。

鑑定士と顔のない依頼人のあらすじ【承】

管理人いわく、孤独な女性クレアは奇病を患っているらしい。両親を立て続けに亡くし、ひとりぼっち。ヴァージルは近くのカフェから屋敷を偵察した。クレアは現われない。彼女から電話があり、家のヴィラで姿を現すという。

彼女と音声だけで会話する。15歳から誰とも会っていないという。決して外には出たくないとクレアは言った。どうやら壁の中に隠れているらしい。

信頼できる機械工にクレアの家から拾っている部品を渡した。この部品は歴史に残る機械人形の可能性がある。完成したらその価値はすさまじいものになるだろう。機械工は興奮していた。

契約書を確認すると、個人情報が抜けていた。壁のすきまからパスポートが差し出される。かなり前に失効していたが、これでどうにかしてくれと言う。壁の隙間から光が漏れた。彼女は壁の中からヴァージルの様子を伺っているようだ。

彼女が電話に出ない。心配になって管理人に電話すると、何日も連絡はしていないという。食料を買って家に入ると、クレアはパニックになった。そんな彼女を安心させようとする。ヴァージルは彼女の事が気になってしょうがない。機械工に頼んで、携帯電話の使い方を教わった。いつしか彼女の声が楽しみになっていた。

一度姿を見たい。鑑定の相談に行ったヴァージルは部屋を出たふりをした。そこにクレアが姿を現す。髪の長い華奢な女性。バレるのを恐れたヴァージルは逃げるように屋敷から消えた。

鑑定士と顔のない依頼人のあらすじ【転】

ある日、屋敷に行くと鍵が開かなかった。電話しても出ない。カフェで様子を伺い、管理人と同時に中に入る。彼女はヴァージルを試している。

部品が集まり、機械人形が完成に近づいていた。機械工にクレアとのことを相談する。ヴァージルがずっと独身なのは女性に気持ちがわからないから。クレアにどうすればいいのかわからない。

今日はクレアの誕生日。ピンクの花束を持って、屋敷に行った。クレアは鑑定の結果が安すぎるとヴァージルを罵った。その態度に怒るヴァージルは、お前など消えてしまえと言ってしまった。

ひとりで彼女の誕生日に生まれたワインを飲む。そこに電話がかかってきた。クレアに呼び出され、壁の前で話をする。また部屋を出たふりをして、彼女の姿を盗み見た。汗をびっしょりかいている。携帯を落としてしまって盗み見していたのがばれた。

ヴァージルの目の前にクレアが姿を現した。頬に触れるヴァージル。

クレアに綺麗なドレスを買って与えた。高いヒールの靴も一緒に。背中のファスナーを上げるのを手伝ってくれと言うクレア。戸惑っているが、うれしそうだった。

次は化粧品を買い与える。うまくいかないクレアは自分の顔をぐしゃぐしゃにしてしまった。

鑑定士と顔のない依頼人のあらすじ【結】

ヴァージルの手によって美しく変わっていくクレア。彼女ははじめてヴァージルを部屋に入れ、口づけをした。彼女の部屋に機械人形の最後のパーツがあった。

足りないパーツを見つけたヴァージルは機械工に会いに行った。クレアの信頼か、機械人形の完成か。どっちか選べと機械工は言った。

クレアが姿を消した。様子のおかしい彼女が門から出て行ったのを見た人間がいる。オークションがあるのを忘れていた。会場で競りをするが失敗ばかりしてしまう。

失踪したクレアを見つけ、風呂に入れる。クレアは最愛の人を亡くし、心を壊したと言った。傷ついた彼女を裸で抱きしめる。ヴァージルとクレアは一緒に暮らし始めた。

愛を知ったヴァージルは鑑定人を引退することを決めた。彼の最後の競りで会場にいた全員から拍手が起こる。

家に帰るとクレアはいなかった。探すとどこにもいない。コレクションルームに入ると部屋の絵がすべて消えていた。そこには機械人形が置かれている。ヴァージルは崩れ落ちた。

ショックで入院したヴァージルはボロボロだった。諦められず、カフェでクレアが戻らないか監視する。そこにいつもいる障害者の女性は、自分はクレアだと名乗った。機械工の青年にカフェの前の豪邸を貸していたと話した。クレアと機械工はグルで、ヴァージルを騙していたのだった。

クレアがいつか話していたカフェの近くに引っ越した。機械仕掛けの建物の中でお茶をする。ヴァージルは美しい思い出を抱え、彼女を待ち続けた。

鑑定士と顔のない依頼人の解説・レビュー

『鑑定士と顔のない依頼人』について、考察・解説します。※ネタバレあり

贋作の価値

ジョン・マイアットという画家がいる。彼は著名な贋作家の一人であり、かつては詐欺行為で逮捕されているが現在は「人気贋作家」として作品は高値で取引されているという。

今作の主人公ヴァージルは一流の鑑定士であり、全ての美術品の真偽を見極めることができる人物だ。彼の回りは一流のものばかりであり、友人や恋人がいなかったのも恐らく本物のみを手元に置きたいという願望によるものなのだろう。しかしその性格ゆえに彼は贋作の価値を見落としがちだ。それが最初に現れるのがオークションのシークエンスだ。ヴァージルは本物を贋作と偽ってオークションにかけ、パートナーに安く落札させるという悪事を働いているが、ある日落札に失敗してしまう。落札したのは贋作マニアの老婆である。彼女にとっては贋作こそ価値があるものなのだ。ヴァージルは贋作の価値を見誤って手痛い目にあってしまう。

物語の最後に彼は大切にしていた本物の絵画たちを全て失ってしまう。しかし彼が本当に嘆いたのは、偽物の愛が失われたことだった。彼は偽物と分かっていながら、彼女の愛を探してプラハの街まで辿り着く。中途半端な贋作なら諦めがつく。しかし極限にまで本物に近づいた贋作には、本物と同じだけの価値があることにヴァージルは初めて気がついたのだ。

鑑定士と顔のない依頼人の感想まとめ

非常に良く作り込まれた美術と、エンリオ・モリコーネによる重厚な音楽が映画の格式を高めている。それに応えるようなジェフリー・ラッシュの演技も見事だ。しかしそれ故に観賞後には悪い意味での後味の悪さが残ってしまう。所謂ドンデン返しものに含まれる作品だとは思うが、それにしては騙し騙されの軽快さが欠けているのだ。主人公は確かに悪事も働いてはいるが、ここまでされる映画的必然性があるのかと言われれば首を傾げてしまう。
またミステリーとして見ると、あまりにも犯人の計画が場当たりすぎるのは気になる。「広場恐怖症」という設定も、結局は序盤のミステリー感を煽る機能しか持ちあわせていない。またこれは邦題のせいだが、「顔のない依頼人」と言いながら中盤で素顔を晒してしまうのは興ざめだ。

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