映画『顔のない天使』あらすじネタバレ結末と感想

顔のない天使の概要:複雑な家庭に育った少年と事故で顔半分に火傷の跡が残る孤独な元教師が出会い、互いに唯一の理解者となっていく。メル・ギブソンが主演と初監督を務めた1993年公開のアメリカ映画。

顔のない天使 あらすじネタバレ

顔のない天使
映画『顔のない天使』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

顔のない天使 あらすじ【起・承】

1968年の夏、12歳になるチャールズ(ニック・スタール)は母親と姉と妹の4人でメイン州にある避暑地にやってくる。母親は今までに3回も結婚しており、子供の父親はみんな違う。この複雑な家庭環境のせいでチャールズは時々空想世界に入り込むようになり、おかしな子だと思われていた。

チャールズは家を出たい一心で寄宿制の士官学校を志望していたが、勉強が苦手で試験に落ちていた。しかしどうしても諦めきれず、再び試験を受けることにする。町から離れた海沿いの屋敷で暮らすマクラウド(メル・ギブソン)が元教師だと知ったチャールズは、母親には内緒で彼に勉強を教えて欲しいと頼みに行く。

マクラウドは顔半分に火傷の跡があり、その容姿のせいで人々は彼を怖がっていた。マクラウドもそれを自覚し、飼い犬と静かに暮らしている。そのため最初はチャールズにも冷たく接するが、チャールズの熱意に負けて個人授業を引き受ける。

マクラウドの授業で学ぶことの楽しさを知ったチャールズは、勉強熱心な生徒になる。長年人付き合いを避けてきたマクラウドも教えることの喜びを思い出し、2人は信頼関係を築いていく。

ある日、マクラウドに火傷の理由(交通事故が原因で同乗していた生徒が死亡した)を聞いたチャールズは彼を慰めようとして逆に怒られてしまう。チャールズは腹立ち紛れに事故のことを友達に話してしまい、そのことを後で後悔する。

顔のない天使 あらすじ【転・結】

山登りをした日、チャールズは事故の話をしてしまったことを打ち明ける。マクラウドは少しも怒らず、明日は模擬試験をすると言ってチャールズを励ましてくれる。

模擬試験の結果も良好で、マクラウドはご褒美に小型飛行機をチャーターしてくれる。2人が強い絆で結ばれていく一方で、周辺住民からは不穏な噂が立ち始めていた。

ある夜チャールズは彼氏とベッドにいる姉を見てしまい、そのことで姉と喧嘩になる。姉は喧嘩の勢いで、チャールズの父親が酒乱で精神病院に入って自殺をしたという事実を彼にしゃべってしまう。深く傷ついたチャールズはマクラウドに助けを求めに行く。

翌朝、警官がマクラウドの屋敷を訪ねてくる。事故の際、マクラウドは過失致死の罪で服役した。死亡した生徒には虐待の跡があり、それもマクラウドのせいであるかのように誤解されていた。そしてチャールズも性的虐待を受けているのではと疑われていたのだ。

チャールズはマクラウドに会えないまま試験の日を迎える。しかし試験前にマクラウドに会い、真実を見極める。2人の間の真実はひとつだったが、世間は外見でマクラウドを判断し、裁定でチャールズへの接触を一切禁止する。

士官学校に入学したチャールズは、行方不明となったマクラウドの屋敷で手紙を見つける。マクラウドはチャールズがわかってくれていればそれでいいと考えていた。そして4年後の卒業式の日。立派に成長したチャールズは群衆の向こうにマクラウドの姿を見つけ、2人は笑顔で手を振り合う。

顔のない天使 評価

  • 点数:80点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★☆☆
  • 設定:★★★☆☆

作品概要

  • 公開日:1993年
  • 上映時間:115分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ、青春
  • 監督:メル・ギブソン
  • キャスト:メル・ギブソン、ニック・スタール、マーガレット・ホイットン、ギャビー・ホフマン etc

顔のない天使 批評・レビュー

映画『顔のない天使』について、感想と批評・レビューです。※ネタバレ含む

偏見という恐ろしい怪物

差別や偏見が世にはびこっているという現実はいつの時代にもある。昔のヨーロッパで数え切れないほどの犠牲者を出した“魔女狩り”なども差別や偏見がその根底にある。

人々はマクラウドの顔反面の火傷を見て“人間性も普通ではない”と判断し、事実無根の噂を広める。マクラウドはそういう人間の悪意を心得ているので、できるだけ誰とも接触しないで生きている。絵描きという仕事を選択し、町から離れた一軒家で動物を相手に暮らしている。差別や偏見と闘うのではなく、関わらないという選択をしたのだ。そこに行き着くまで、数え切れないほどの苦い経験をしてきたのだろう。

マクラウドは自分のことを“孤独な怪物”と表現していたが、私には彼を取り囲む周囲の人間こそが怪物に見える。偏見という恐ろしい怪物を刺激しないようじっと息を潜めて生きているマクラウドをさらに追い詰めていく人々を見て、人間とはつくづく残酷な生き物だなと改めて痛感した。どんな怪物よりも人間の悪意(差別と偏見)が怖い。

心の変化

本作で感心したのはマクラウドとチャールズの心の変化の見せ方だ。最初はマクラウドの傷を見て“怖い”と感じていたチャールズが、マクラウドの人間性に触れ彼の真実の姿を見るようになると“もう顔の傷が見えない”と言う。チャールズ自身が不思議がっていることから、これが誇張ではなく本心なのだということがよくわかる。

マクラウドは基本的に厳しい先生なので優しい言葉は使わない。そのためチャールズをどこまで可愛がっているのかも見えにくい。しかしチャールズには“採点は夜ゆっくりする”と言いながら、一人になると猛ダッシュで模擬試験の採点を始めるマクラウドから、その思い入れが伝わってくる。教え子のチャールズが可愛くてしょうがないというマクラウドの温かな愛情が見え、思わず笑みがこぼれる。

人々の偏見で表面上2人が引き裂かれたことは悔しいが、2人の心の変化と結びつきを見てきた私たちには“2人の信頼関係は壊れない”という確信がある。そう思えるのは、本作が観客の心に届く作品に仕上がっているからだろう。

顔のない天使 感想まとめ

真実を見極めるというのはとても難しい。ほとんどの人は真実を見る目を持てず、人を傷つけ、また自分も傷ついていく。本作はそういうシビアな現実と並行して、人が学び成長していくことの尊さや、ひとつの揺るぎない愛と信頼関係があれば人は前向きに生きられるのだという希望もしっかり描かれており、鑑賞後は明るい気持ちになれる。

ベタな話ではあるが、メル・ギブソンの演じるマクラウドとニック・スタールの演じるチャールズの距離感がちょうどいいので説教くさくはない。なかなかの良作だ。

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