映画『カラスの親指』あらすじとネタバレ感想

カラスの親指の概要:2012年に公開されたミステリーサスペンス映画で、主演は阿部寛、監督は伊藤匡史。原作は直木賞受賞作家の道尾秀介の推理小説。5人の詐欺師が共通の敵である闇金業者に一泡吹かせようと奮闘する作品。

カラスの親指 あらすじ

カラスの親指
映画『カラスの親指』のあらすじを紹介します。

やさぐれた詐欺師のタケと、アナグラムが得意な相方のテツが帰宅途中、自宅アパートが火事に。
かつては真面目なサラリーマンだったが、借金の保証人にされて闇金会社で働くよう強制されたテツは、借金の取立てをやらされている時に相手が自殺。
警察に通報し闇金会社を潰すことには成功したが、娘がいるはずの自宅が放火されて詐欺師になったのだ。
そして人生に絶望していたテツを拾い、コンビを組むようになった。
アパートの火事も、タケを恨んでいるはずの闇金会社のヒグチの追っ手とにらんでいた。

安い一軒家を借りた2人が仕事に向かうと、スリに失敗した少女まひろを見かけ、助ける。
亡くなった娘と同年代で、アパートを追い出されそうだというまひろに「うちに来ればいい」と言ったが、次の日、まひろの姉やひろ、彼氏の貫太郎が自称用心棒として居座っていた。
そこにトサカと名づけられた子猫が入り込み、奇妙な共同生活が始まる。

やひろ、まひろ姉妹の荷物の中に大金が入っていると気が付いたテツだったが、それはタケが姉妹に贈ったものだった。
やひろとまひろは、かつてタケの借金取立ての末に自殺してしまった女性の娘だったのだ。

ふたたびタケの周囲にヒグチの追っ手が迫ってきた。
トサカが無残な姿で見つかり、5人はヒグチたちに反撃することを決意。
培ってきた詐欺師としての頭脳を使い、テツが命名した「アルバトロス作戦」が開始される。

カラスの親指 評価

  • 点数:80点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★☆☆
  • 設定:★★★☆☆

作品概要

  • 公開日:2012年
  • 上映時間:160分
  • ジャンル:ミステリー、サスペンス
  • 監督:伊藤匡史
  • キャスト:阿部寛、村上ショージ、石原さとみ、能年玲奈 etc

カラスの親指 ネタバレ批評

映画『カラスの親指』について、感想批評です。※ネタバレあり

不安が残るキャスティングだからこそ成立した大どんでん返し

序盤のユースケ・サンタマリアの登場から引き込まれるストーリー。
中盤でプロ、玄人の事を黒いからカラスと呼ぶということを明かし、手の指を「お父さん指」「お母さん指」などと喩えること、そして最後に「お父さん指だけが全員の顔を見ることができる」という、タイトルの意味と共に大どんでん返しに持っていく設定と演出が上手い。
演技派の阿部寛演じるタケ役は安定している。芸人の村上ショージが演じるテツは不安感が残るのだが、だからこそラストの大どんでん返しに気がつきにくく、阿部寛とのデコボコ感も際立っていて上手いキャスティング。
ベテラン詐欺師でやひろまひろ姉妹の父親、さらには劇団員を雇ってタケと娘たちを引き合わせ、それぞれの足枷を取ろうとする大きな役が、演技の危うさが垣間見える村上ショージとは思えないという見る側をも騙そうとする配役だ。

「あまちゃん」でブレイクした能年玲奈と、ふんわりしたイメージの石原さとみの姉妹役もピッタリ。
だが村上ショージと美人姉妹の親子設定は少々違和感がある。

軽めのミステリーに安心

タケの悲惨な過去を重くしすぎないよう適度なタッチで描き、過酷な環境で生きてきたかに思えるやひろまひろ姉妹も、姉やひろの常識の無さやぼんやりした印象と妹まひろの純粋さで、悲劇のヒロイン姉妹ではなくたくましさを併せ持つ姉妹に見せているのは好感が持てる。
しかし、やひろの常識が無くふわふわとしたキャラクターはやりすぎな印象を受ける。
また鶴見辰吾演じるヒグチの机を引っかく音が嫌悪感を覚え、耐えられないものがある。

やひろまひろ姉妹の持つ大金の出所や詐欺のネタバラシ、「アルバトロス作戦」での貫太郎の暴走がタケの合図の失敗だったり、まひろが死んだフリをした理由などもすぐに解明されるが、それに目を引かれて他の伏線に気がつかないストーリーには驚かされる。
テツが何度も行う、文字の並べ替えで違う言葉を作るミステリーの基礎アナグラムも、徐々にレベルが上がっていくのでなじみやすい。
だが最後の種明かしに30分もかかるのは長すぎるし、ベテラン詐欺師が詐欺師に説教するというのは違和感がある。

カラスの親指 感想まとめ

直木賞をはじめ、さまざまな賞を受賞している人気ミステリー作家の道尾秀介の長編小説の映画化作品であり、原作とは大きく違うラストに驚かされる作品。
私は道尾秀介を好んで読むのだが、このラストは映画オリジナルとしてありだと思う。

芸人の村上ショージの配役に不安感はあったものの、その不安感を逆手にとって見る側をも騙すというカラスじみた演出には「やられた」と感じるものがある。
なだぎ武、古坂大魔王といった配役には芸人つながりの友情出演のようなものを感じるが、ユースケ・サンタマリアや地方出身タレントの戸次重幸といった味の濃い役者も多いので、違和感無く楽しめる。

なお、村上ショージが病院のベッドで読んでいた文庫本は、道尾秀介の「向日葵の咲かない夏」の表紙のようにも見える。

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