映画『川の底からこんにちは』あらすじネタバレ結末と感想

川の底からこんにちはの概要:「しょうがない」が口癖の佐和子は自らを中の下の女と称し、東京に上京して5年間、妥協だらけの毎日を送っていた。しかし病に倒れた父に代わって実家のしじみ工場を継ぐことになる。

川の底からこんにちは あらすじネタバレ

川の底からこんにちは
映画『川の底からこんにちは』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

川の底からこんにちは あらすじ【起・承】

佐和子は上京して5年目。便秘に悩み何度も腸内洗浄に来ている。仕事も5つ目。上司にクズと言われても感情なく仕事する。そして恋人も5人目。会社の上司の健一は仕事ではかっこいいけど、実は編み物好きでバツイチ子持ち。
どこか妥協だらけの佐和子の元に、ある日おじさんから父が肝硬変で入院したと連絡が来る。先も長くないらしく佐和子の目からは涙が流れていた。佐和子は健一に言われるまでなぜ涙が流れているのか気づかないくらい感情が鈍っていた。

健一が勝手に仕事を辞め、父のしじみ工場を継ぐと言い出す。佐和子も仕事を辞め、健一の娘の加代子と一緒に5年ぶりの帰省をする。

しじみ工場での勤務が始まるが、パートのおばさんたちは駆け落ちで田舎を出た佐和子のことをよく思っていない。健一は佐和子の幼馴染の友美と家出してしまう。
自宅で出たうんこを河原にまく佐和子。その中に綺麗な花が咲いているのを見つける。父に見舞いでその花を持っていく。
佐和子の状況は最悪だったが、しじみ工場は2カ月先が危うい状態。佐和子は「頑張るしかない」と悟る。そんなとき病気の父が一時帰宅する。

川の底からこんにちは あらすじ【転・結】

車いすの父としじみが取れる河原を散歩する佐和子。自分が死んだらしじみが取れる川に散骨しそれで儲けろと遺言のようなことを言われる。健一の娘加代子はだんだん佐和子に懐いていくが、健一が友美と戻ってきて加代子を連れ出そうとする。そこに父が「おとうさんだから」と雨の中病の体を顧みず恋人たちに応戦する。さわ子の味方をしてくれる父。加代子も健一に「そんなんだからお母さんいなくなった」と初めて言葉を発する。健一と友美は出ていくが、佐和子側は結託する。
そんな状況にもかかわらずなぜか健一と「結婚する」と言い出す佐和子。「所詮大したことないからがんばらなきゃ」と開き直る。

しじみ工場でも開き直って仕事に打ち込む佐和子。「中の下だから、何が悪い?何回男に捨てられてもがんばるしかない」と従業員たちの前で叫ぶ。開き直って奔走する佐和子をパートのおばさんたちも支え始める。父にもらった5万円を資金に会社を立て直す佐和子。会社の歌を作ってパートのおばさんたちのやる気が上がると売り上げも2倍越え。

そのころ出ていった健一と友美も生活に飽きて田舎に戻ってくる。

お父さんの病状が悪化し再入院。「がんばってよ」佐和子が声をかけてもかなわず父は死
ぬ。父の死に落ち込むがうんこをまいていた河原に花がいっぱい咲き大きなスイカもできている。会社のパートのおばさん達は葬儀の時に「新しいお母さんになってあげる」と味方してくれる。

父の遺骨を遺言の通りしじみが取れる川に散骨する前、健一が戻ってくる。佐和子はお父さんのお骨を健一に投げつける。失ったものもある。しかし「しょうがないから頑張る」という単純明快な論理で佐和子は叫ぶのであった。

川の底からこんにちは 評価

  • 点数:85点/100点
  • オススメ度:★★★☆☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:2009年
  • 上映時間:112分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ
  • 監督:石井裕也
  • キャスト:満島ひかり、遠藤雅、相原綺羅、志賀廣太郎 etc

川の底からこんにちは 批評・レビュー

映画『川の底からこんにちは』について、感想と批評・レビューです。※ネタバレ含む

主人公佐和子役を満島ひかりが好演

この映画の主人公佐和子という女性は映画の主人公にはあまりいないタイプです。キャッチーではありませんし観ている側としては憧れも抱きませんでした。しかし、自分を中の下と悟り「しょうがないから」と流されるままに生きている姿を見ていると、ああ、この人みたいに妥協しちゃうことってあるよな、と物語冒頭から共感してしまう部分がありました。
その佐和子が徐々に強さを発揮していきます。男に捨てられ子供はおいていかれ、父のしじみ工場では女狐扱いされて。状況は最悪なのに「自分なんて所詮大したことないからがんばらなきゃ」と開き直っていきます。お洒落な女性だったら現実逃避の旅に出たりするかもしれない。キツい女だったら周囲に当たり散らすかもしれない。しかし佐和子の場合、プライドなんてものもない。あるがままをすべて受け入れて泥臭く突っ走るんです。

そんな気の抜けた佐和子から開き直る強さを持った佐和子に至るまで、いい人でも悪い人でもない、ある意味癖のあるむつかしいキャラクターを満島ひかりは見事に演じ切っています。演じ切っているというか、石井監督がうまく演出しているのかな?満島ひかりはこの佐和子の役柄にドはまり役なんです。

ユーモアに溢れている

演出の緩急がとてもいいです。前のめりに歌を歌うしじみ工場のパート従業員たちのシーンはとてもインパクトがあります。歌の歌詞も皮肉に満ちていてついつい注目してしまうシーンでした。石井監督作品にはいつもユニークなダンスがあったり歌があったり、ちまたの人々をユーモアに富んで描くのがとても上手です。キャラクターそれぞれが皮肉に満ちています。酒癖の悪いおじさん。カツラで従業員のほとんどと浮気していたお父さん。しかしどのキャラクターにも共感してしまう要素があるのが監督の演出のすごいところです。作中には浮気されていても女は歩いていくしかないし、男は浮気をしても結局帰る場所を求めている。みたいなメッセージもあるのかな?なんて感じました。
キャッチーじゃないし、おしゃれな映画じゃないので、何度も見ようと思いません。しかし爽快で楽しい映画です。

川の底からこんにちは 感想まとめ

私はこの映画を観てから日本映画まだまだ捨てたもんじゃないなと思いました。石井裕也監督のような脚本から映画まで手掛けることのできるユニークな監督がいることを知れたからです。日本映画はこのところ漫画の映画化ばかりです。漫画ってどれもちょっと小じゃれた設定やキャラクターばかりなんです。見終えたときにいつも感じていたのは、楽しかったけど私って映画のキャラクターとは違って普通の人なんだよなっていう共感しきれない虚しさでした。しかしこの映画は普段光の当たらないようなタイプに焦点をあてています。たぶん主人公じゃないタイプ。でも世の中にはそういう人がたくさん溢れているんですよね。光が当たらないところにユーモアを見出してくれていて。生きてくには努力だけじゃなくて、ユニークさも必要。観ていて実に爽快でした。石井監督映画がこれからも楽しみです。

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