映画『風にそよぐ草』あらすじネタバレ結末と感想

風にそよぐ草の概要:フランスの巨匠アラン・レネ監督が87歳で製作したロマンティック・コメディ。実力派キャストが妙齢の男女の複雑さを演じる。フランス・イタリアの合作映画。2009年公開。

風にそよぐ草 あらすじネタバレ

風にそよぐ草
映画『風にそよぐ草』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

風にそよぐ草 あらすじ【起・承】

歯科医をしているマグリット・ミュイール(サビーヌ・アゼマ)は靴を買った帰り、ひったくりに逢う。お金を抜かれた彼女の財布はショッピングモールの駐車場に捨てられており、それを拾ったのはジョルジュ・パレ(アンドレ・デュソリエ)という初老の男だった。

ジョルジュは定年退職し、一軒家で妻のスザンヌ(アンヌ・コンシニ)と2人暮らし。娘と息子は結婚して独立し、孫も2人いた。年下の妻はまだ仕事をしており、家に1人でいることの多いジョルジュの精神状態を心配していた。

財布には身分証が入っており、マグリットが小型飛行機の操縦免許を持っていることがわかる。若い頃から飛行機を操縦するのが夢だったジョルジュは彼女に興味を持ち、勝手に電話番号や経歴を調べる。しかし電話をすることはできず、結局財布は警察に届ける。

娘夫婦と息子が食事に訪れていた日、マグリットからお礼の電話がある。ジョルジュはお礼だけの素っ気ない電話に怒りを覚え、彼女にきついことを言う。しかしすぐに後悔し、謝罪の手紙をマグリットの自宅ポストに直接投函する。ジョルジュはその後も彼女に手紙を書き続け、毎晩留守番電話にメッセージを入れるようになる。

これに迷惑していたマグリットは、手紙を送らないでくれとジョルジュに頼む。激怒したジョルジュは彼女の車をパンクさせ“やったのは私だ”という手紙を残しておく。さすがに怖くなったマグリットは警察に相談し、警察は彼女に近づかないようジョルジュを説得に行く。ジョルジュはマグリットのやり方に失望し、彼女への連絡を断つ。

風にそよぐ草 あらすじ【転・結】

ところが今度はマグリットの方がジョルジュのことを気にし始める。ジョルジュの自宅に電話をしてスザンヌと会話したマグリットは、映画館までジョルジュに会いに行く。わざわざ自分に会いに来たマグリットを見て、ジョルジュは2人のこれからを妄想するが、マグリットはスザンヌのことを考え、ジョルジュに踏み込もうとしない。

すっかり様子がおかしくなってしまったマグリットのことを心配し、親友のジョゼファ(エマニュエル・ドゥヴォス)は“彼女に近づかないで”とジョルジュに警告する。

それでもマグリットはジョルジュへの気持ちを抑えきれず、またジョルジュの自宅へ電話をする。スザンヌと会うというマグリットを自宅前で待っていたジョゼファは、帰宅したジョルジュとなぜかキスをする。ジョルジュと3人の女が同席する奇妙な空気のリビングで、ジョルジュはマグリットに怒り出し、彼女たちを追い出してしまう。

マグリットは仕事も手につかなくなり、職場放棄して飛行場へ向かう。そしてジョルジュ夫妻を飛行場へ招待する。迎えに来たジョゼファの車で飛行場に到着したジョルジュは、尿意を催して事務所のトイレへ向かう。マグリットは飛行中だった。

トイレを終えたジョルジュはズボンのファスナーを壊してしまう。どうしても上がらないファスナーを気にしながら階段を降りると、そこにマグリットの姿がある。2人は抱き合い、熱いキスを交わす。

マグリットが操縦する飛行機に乗り込んだジョルジュとスザンヌは、遊覧飛行を楽しむ。マグリットは助手席のジョルジュに操縦してみるよう促し、ジョルジュは喜んで操縦桿を握る。ところがジョルジュのズボンのファスナーは全開になっており、それに気づいたジョルジュとマグリットが動揺したことで機体は大きくバランスを崩す。そしてそのまま墜落していく。

風にそよぐ草 評価

  • 点数:65点/100点
  • オススメ度:★★☆☆☆
  • ストーリー:★★☆☆☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★★
  • 演出:★★★☆☆
  • 設定:★★★☆☆

作品概要

  • 公開日:2009年
  • 上映時間:104分
  • ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ、コメディ
  • 監督:アラン・レネ
  • キャスト:サビーヌ・アゼマ、アンドレ・デュソリエ、アンヌ・コンシニ、エマニュエル・ドゥヴォス etc

風にそよぐ草 批評・レビュー

映画『風にそよぐ草』について、感想と批評・レビューです。※ネタバレ含む

そよぐどころではない

「風にそよぐ草」というタイトルから想像するのは、熟年の男女が人生最後の恋にそよそよと揺れているような、そんなイメージ。しかし原題の直訳は「雑草(狂った草)」であり、本作もアスファルトを突き破って生える雑草のカットから始まる。内容も「狂った」というキーワードで考えるのがわかりやすい。

全編を通して主人公ジョルジュの心の声が入り、それは妄想のてんこ盛り。ジョルジュは初老で仕事もしておらず、暇だ。おそらくうつ気味。被害妄想や誇大妄想に悩まされ、軽い自殺願望もある。若い妻はまだ仕事をしており、すでに独立した娘や息子もそれぞれに充実した日々を過ごしている。しかし自分は暇でしょうがない。そうなると悪いことばっかり考えてしまい、どんどん落ち込んでいく。

そこに現れたのがマグリットという女性。現れたと言っても彼女が落とした財布を拾い、身分証を見ただけなのだが。ジョルジュはそのマグリットに勝手な妄想を抱き、異常に執着していく。それはもう完全に狂っている。この晩年を迎えようとしている男の憂鬱と偏屈さ。さらに狂気。ここはとてもよく描けていた。

後半は不快

妄想癖があり、人生そのものに怒りを感じているような親父の狂気はよく描けていたが、その親父の妄想があまりに都合よく実現していく後半部分はどうもしっくりこない。

妻のスーザンがマグリットの存在を受け入れたのはわかる。芝刈りやペンキ塗りを頼むのと同じで、ふさぎこんでいる夫に元気を出して欲しかったのだろう。しかしマグリットがあれほど迷惑していた恐怖のストーカー男に惚れ込んでいく展開はしらける。ジョルジュは自分の妄想通りにいかないとすぐに切れるような器の小さい男だ。はっきり言って猛烈に面倒臭い自己中親父であり、女に惚れ込まれるような魅力はない。

もしかして後半は全部、ジョルジュの妄想なのか?とさえ思えるようなこの展開。妙な結末も含めて“なんじゃこら?”が見終わった後の正直な気持ち。ファスナーが壊れて飛行機が墜落するって面白いかなあ…。最後の“猫になったら猫のエサが食べられるの?”という少女のセリフも不快。人を煙に巻くような、悪趣味な終わり方だ。

風にそよぐ草 感想まとめ

話はさておき、映像センスの良さと若々しい色彩感覚はすばらしい。様々なアングルで映し出されるフランスの街並みや建物は、本当に映画的。視覚的には大いに満足。キャスト陣もいい。マグリット役のサビーヌ・アゼマのキュートな年の取り方も、ジョルジュ役のアンドレ・デュソリエの渋い声も素敵。そう、全体の雰囲気はとてもいい映画なのだ。

しかしつまらない。“ヌーヴェル・ヴァーグの巨匠が作った何かあるっぽい作品”という思い込みと“これがわからないとバカだと思われそう”という不安感。まさに裸の王様を褒め称える民衆のような心理に襲われるのも確か。でもやっぱり自分には、うまく装飾してあるが、大して中身のない映画としか思えなかった。

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