映画『アメリカ、家族のいる風景』あらすじネタバレ結末と感想

アメリカ、家族のいる風景の概要:「パリ、テキサス」(84)や「ベルリン天使の詩」(87)のヴィム・ベンダース監督が現代のアメリカを舞台に描く家族の物語。出演はサム・シェパード、ジェシカ・ラング、ティム・ロス。2005年独・米国映画。

アメリカ、家族のいる風景 あらすじネタバレ

アメリカ、家族のいる風景
映画『アメリカ、家族のいる風景』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

アメリカ、家族のいる風景 あらすじ【起・承】

西部劇を演じる俳優ハワード・スペンス(サム・シェパード)は、若い頃人気だったが今は落ち目だった。ある日、撮影中にカウボーイの恰好をしたまま、失踪してしまう。

ハワードは、砂漠で出会った老人に服を交換してもらい、現金を下ろすと約30年ぶりに母親が住むネバダ州へ戻った。

一方、撮影現場ではハワードの行方が知れず、撮影も止まってしまう。映画会社に雇われた探偵のサター(ティム・ロス)が根気強く、ハワードの行方を探していた。

ネバダの実家に戻ったハワードだが、母親(エヴァ・マリー・セイント)に”戻ってくるには何か理由があるんでしょ?”と言われます。外食をしていても、誰かに見られているようで落ち着かない様子のハワード。

気晴らしに出かけたカジノでも、偶然、同級生に再会→ケンカをするなどして騒ぎを起こしてしまう。その間に、探偵のサターはハワードの母親がネバダ州にいることを突き止めた。

ハワードは、母親から20年前に、ある女性から子供を妊娠したという電話があったと聞く。モンタナでかつて愛した女性ドリーン(ジェシカ・ラング)だと思い出したハワードは、彼女に会うためモンタナへ行くことを決めた。

アメリカ、家族のいる風景 あらすじ【転・結】

ハワードはモンタナへ行き、かつてドリーンが勤めていたバーを探した。バーには、ハワードを見つめる若い女性スカイ(サラ・ポリー)の姿が。彼女は亡くなった母の骨壺を大切に持っていた。

ハワードのかつての恋人ドリーンは、昔と変わらずウェイトレスをして生計を立てていた。ステージでは、ロックを歌う男性がいて、ドリーンは誇らしげに見つめていた。
”見て、あなたの息子よ!”とハワードに教えた。

家族の絆を取り戻したい一心で、一緒に住むことを提案するが、ドリーンにあっさり断られてしまう。

息子アール(ガブリエル・マン)は、ハワードが父親だということを知らなかった。ところが、うっかりハワードが自分が父親だと話してしまう。彼はショックを受けて、怒り狂い、ソファに崩れるようにして泣くのだった。

一方、スカイは、アールやハワードの元を訪れ、自分が母親違いのハワードの娘であると伝えた。生前、母親から父親について聞かされていたらしい。

ハワードを受け入れることができないアールに対して、”アールは私とつながりがあるということが怖いのよね。でも、本当に嫌なの?繋がりたいと思ってないの?”と優しく話すのだった。

スカイのおかげで、家族のわだかまりが少しづつ溶けてゆく。町を去ることに決めたハワードの前に、探偵のサターが現れ、撮影現場に戻そうとするのだった。

ハワードは最後に子供たちに別れが言いたいと話し、スカイを抱きしめた。
そして、アールには車を形見として渡した。その後、ハワードは撮影現場へと戻っていった。

アメリカ、家族のいる風景 評価

  • 点数:80点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★☆
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:2005年
  • 上映時間:124分
  • ジャンル:ドキュメンタリー、ラブストーリー、ファンタジー
  • 監督:ヴィム・ヴェンダース
  • キャスト:サム・シェパード、ジェシカ・ラング、ティム・ロス、ガブリエル・マン etc

アメリカ、家族のいる風景 批評・レビュー

映画『アメリカ、家族のいる風景』について、感想と批評・レビューです。※ネタバレ含む

「パリ、テキサス」を超えない、家族の再生と絆の物語

ロード・ムービーといえば、ヴィム・ベンダース作品が好きなのだけども、彼にはずっとアメリカに対しての憧れや夢があるようだ。この映画では、そんな夢を投影しているのが、かつてのスター俳優ハワード。

名作「パリ、テキサス」と比較しつつ、考えてみたい。まず、「パリ、テキサス」では、主人公トラビィスが息子と元妻ジェーンを探しに行く物語だった。家族の再生というよりも、息子を託すための重要な旅なのだ。

「のぞき部屋」を通して、元妻ジェーンの声や表情を見つめるシーンが切ない。どんなに愛していても一緒に生きることが出来ない現実が痛いほど伝わってきます。

本作「アメリカ、家族の風景」は、孤独で落ちぶれた俳優が愛を知り、愛に泣く物語だと思う。勝手に別れておいていまさら父親かよ?と受け入れられない息子の気持ちはもっともだと思う。

家族とは、やり直しの効かないものなのに、すぐ簡単に一緒に住めるとハワードは思ってしまうのだ。ただ、女性陣が明るく逞しく生きていて本当に好きです。

西部劇に投影される強い男性像はもういらない。その終焉をロックに乗せて軽快に魅せるのがヴィム・ベンダース流。

ロックは時の翼に乗って

ロック好きで知られるヴィム・ベンダース。彼は映画音楽に対して、アメリカ文化への憧れと尊敬を音楽で表してきたという。だが、「アメリカ、家族のいる風景」では少し違う。

気になったのは、ハワードの息子アールがライブでロックを歌うシーン。歌も下手だし、なんだかしょぼい。アマチュアのライブを観ているようです。

ところが、風景と音楽が一体化したシーンでは、余計な雑音は聞こえなくなりました。わざと音楽を選別してやっているのだろうか?

ヴィム・ベンダースは、「ベルリン天使の詩」で、ナイーヴな音響の3次元化に成功し、天使が奏でるような多彩な色を音に込めた。
だが、本作では少し音楽の効果が弱いようです。

それは本作を最後にヴィム・ベンダースが、アメリカを離れるからなのかもしれない。

アメリカ、家族のいる風景 感想まとめ

ロード・ムービーは、つまらなくて眠くなるから観ないという友人がいます。本当につまらないの?例えば、アメリカの砂漠をずっと映していたとしても、空の色が変わってゆく様やナレーションを楽しむことが出来るのです。

本作「アメリカ、家族のいる風景」は、家族とは何かを問いながら、終わることのない旅を続けています。私は、スカイがアールに語るシーンが好きです。家族って複雑で厄介だけど、離れられないもの。

またヴィム・ベンダースが描く女性像は、自立していて人間が大きいのだ。そんなところに惹かれて観てしまう。

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