映画『帰郷(2004)』あらすじとネタバレ感想

帰郷(2004)の概要:「帰郷」は、2004年の日本映画。監督は「楽園」、「クロエ」の萩生田宏治。主演は「クロエ」、「マナに抱かれて」などの西島秀俊。共演には片岡礼子、守山玲愛、吉行和子、高橋長英、光石研、相築あきこなど。

帰郷 あらすじ

帰郷
映画『帰郷(2004)』のあらすじを紹介します。

東京で働く晴男(西島秀俊)は、再婚する母(吉行和子)の結婚式に出席するため故郷に戻った。再婚相手は晴男の同級生・ナオミの父親で、どちらも早くに連れ合いを亡くしていた。その夜、先輩の山岡(三石研)が営む居酒屋に出かけた晴男は、そこにかつての恋人・深雪(片岡礼子)と偶然再会する。数年前に故郷を離れたものの、半年前に子連れで戻ってきた深雪は、昼間はパート、夜は山岡の店を手伝いながら女手一つで子どもを育てているという。閉店後、一人店に残って黙々と後片付けをする深雪の元に、山岡らと飲みに行ったはずの晴男が戻ってくる。昔を懐かしむ内に、暗闇の中で二人は愛し合った。帰り道に深雪は自分の子どもについて語り始め、別れ際に晴男を自宅へ招待し自転車で走り去った。翌日に晴男は深雪の家を訪ねるも留守であり、振り返るとランドセルを背負った少女が怪訝そうに晴男を見ていたが、自分のことをチハル(守山玲愛)と名乗り、ぶっきらぼうな応対で家の中に消えてしまう。晴男があきらめて帰りかけた時、再びチハルが家から出てくる。ためらいながら彼女の後を追いかける晴男。微妙な間隔を置き二人は田舎道を歩く。再び深雪の家に戻ると、チハルは無言で晴男を家に招き入れる。気まずい空気が流れる中に部屋へ置き忘れられた深雪の携帯電話のベルが鳴った。電話の主は山岡であり、チハルに代わって受話器をとった晴男に山岡は、レジの計算が合わないので確認のため深雪の勤め先に電話をしたが不在だと告げる。晴男を伴いチハルは深雪の勤めるスーパーに向かうが、やはり彼女は出勤していなかった。幼いチハルを一人にするわけにもいかず、晴男はひとまずチハルを実家に連れて行く。晴男の母親はチハルをあたたかく出迎え食事をふるまう。なぜ深雪は突然いなくなってしまったのか。晴男とチハルは再び歩き出した。深雪のメール友達が住むアパートを訪ねたり、昔チハルが家族で行ったレストランに入ったが深雪の姿はどこにもない。落ち込むチハルを肩車し、晴男は歌いながら海辺を歩いた。帰りのバスを待つ間に祭囃子に誘われ、二人は祭りで賑わう神社へと向かう。そして互いに時間を共有するうちに二人の距離も縮まって行った。

帰郷 評価

  • 点数:80点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★☆
  • キャスト起用:★★★☆☆
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★☆☆
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:2004年
  • 上映時間:82分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ
  • 監督:萩生田宏治
  • キャスト:西島秀俊、片岡礼子、守山玲愛、光石研 etc

帰郷 ネタバレ批評

映画『帰郷(2004)』について、感想批評です。※ネタバレあり

日本的な日常生活をロードムービー風に仕立てた佳作

主人公の晴男は、優柔不断でありながら真面目で、純粋というか子どもの部分を持ち続けているような人物である。話の内容はちょっと不思議な偶然が重なってしまったストーリーで展開され、昔の恋人である深雪と偶然にも再び一夜限りの関係になり、翌日招かれた家には本人が不在で、代わりにその子供であるチハルがおり、晴男とチハルが行方が解らなくなった深雪を一緒に探すという、一日限りのロードムービーである。深雪を探す内にチハルに情が移ってしまい、昔一回だけの関係でチハルが出来たと思い込んでしまう、主人公晴男の心理がユニークに描かれている。ドイツのロードムービーの鬼才、ヴィム・ヴェンダースの「都会のアリス」を思い出してしまったが、本作はたった一日の出来事であり、結局はチハルの母親が起こした天の邪鬼的行動が原因で小さな騒動が起こってしまった。物語のプロセスは面白いのだが、エンディングの事実が解明されてしまうところは何かスッキリしない。しかし期待とは違った形のエンディングで締めくくったというところは、世の中そうスンナリと思うようにはならないというところでもあり、上手い演出であると感じた。

少し切ないが巧みなエンディング

独身の男が昔の恋人の子供に接し、もしかしたら自分の子供なのかも知れないと錯覚を起こし、本物の父親になりたいという願望が切なく描かれている。ラストシーンから先がどうなって行くかというところで、観る側にいろんな想像を掻き立てさせるところも心憎い演出であり、まったりとしたロードムービー風の流れが途切れずに終わって行くところの造りは映画らしくて好感が持てる。これが大団円的展開で落ち着いてしまったりすれば陳腐な映画になっていたのだろうが、ギリギリの部分でハッピーエンドかそうでないかの部分をぼかしているところが秀逸である。

帰郷 感想まとめ

主人公の人格設定が良かった。優柔不断だが子供に惹かれて行くひたむきさがよく表現できている。青年と少女の話というのは映画の題材に向いているのか、あまり駄作を見たことがない。前述の「都会のアリス」もそうだが、好例としてはライアン・オニールとテイタム・オニール親子の名作、「ペーパー・ムーン」なども挙げられる。これが青年と少年ではあまり画にならず、そこに出てくるのが少女というのがポイントなのである。頼りない物語の主人公を、大人のような行動力で引っ張って行くような展開がユニークなのだろうか。本作の少女チハルも幼いながら主人公の晴男をリードするように行動するところが感銘を受けるのだろう。子供と動物には敵わないとよく耳にするが、本作もその好例ではないだろうか。

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