映画『奇跡』あらすじとネタバレ感想

奇跡の概要:「誰も知らない」「歩いても歩いても」などで知られる是枝裕和監督作品。主演にまえだまえだの二人を迎え、世界的にも高い評価を受けた作品として知られる。

奇跡 あらすじ

奇跡
映画『奇跡』のあらすじを紹介します。

木南一家は大阪で暮らしていたが、いつまで経っても定職につかず音楽ばっかりやっている父・健次(オダギリジョー)に愛想を尽かして母・のぞみ(大塚寧々)は息子の航一(前田航基)を連れて、家を出て、鹿児島の実家に戻ることとなった。残された父と、もう一人の息子であり、航一の弟である龍之介(前田旺志郎)は一緒に福岡で暮らすこととなる。

兄の航一は、桜島をみては、どうしてこんなところに皆住んでいるんだろう、となかなか環境に適応できないでいる。そんな中、学校で航一はある噂を耳にする。それは、九州新幹線の「さくら」と「つばめ」が最初にすれ違う瞬間に願い事をすると、その願いが叶うというものだった。

あるとき、航一は祖父(橋爪功)から桜島が噴火したらこのあたりは皆引っ越さなければならなくなるという話を聞いて、桜島が噴火すればまた家族が一緒に住めるようになるのではないかと考えるようになる。それ以来、航一は新幹線がすれ違う瞬間に桜島が噴火するように願掛けをしようと考えるようになる。

そして、航一は弟や仲間を引き連れて、九州新幹線が開通する日に「さくら」と「つばめ」がすれ違う瞬間を見に行くことを計画し始める。

奇跡 評価

  • 点数:95点/100点
  • オススメ度:★★★★★
  • ストーリー:★★★★★
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★★★
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★★

作品概要

  • 公開日:2011年
  • 上映時間:128分
  • ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
  • 監督:是枝裕和
  • キャスト:前田航基、前田旺志郎、林凌雅、永吉星之介 etc

奇跡 ネタバレ批評

映画『奇跡』について、感想批評です。※ネタバレあり

演技とドキュメンタリーのあいだ

是枝裕和監督と言えばドキュメンタリー作家と言う彼自身の執事の影響もあってか、彼が監督する映画の中にはドキュメンタリーと役者の演技の間を行くようなアンビバレントな演出が見受けられることで有名である。実際に本作の撮影においても子役たちにはあえて台本を渡さずその都度その都度口伝えで監督がセリフを子供たちに伝え、一つ一つのカットを撮影していったということが知られている。これによって、本作では子役たちの中に妙なキャラクターとしての自意識が生まれる事なく、ある種の体当たりといってもいいような演技が見てとれるのだ。これにより、物語内のリアリティーは極限まで高められ、観客は次第に単なる作り物としての映画と言うよりも、実在する少年達の心の機微や迷いをその中に感じずにはいられないのだ。

微細な演出

是枝裕和監督作の中では過去最高とも言っていいほど、映像の中で展開されるさまざまな行動や小道具にさりげない人物の心情や決意などが見てとれると言う非常に映画的な演出に富んだ作品と言っていいのが本作である。例えば冒頭の兄と弟の生活の描写。兄は自分が住んでいる環境に適応することがなかなかできずに、なぜこんなところに住んでいるのかという疑問を抱き続けている。これに対し弟は、どうやら福岡での生活が快適なようで、自家栽培の野菜を育てていたりする。 これは単に、兄と弟の周囲の環境への適応度合いを対比的に描いているというだけではなく、弟が植物を栽培していると言う演出を入れ込むことによって、文字通り弟が福岡と言う土地に音を下ろしているということをさりげなく演出しているのだ。

奇跡 感想まとめ

本作を語る上で子供たちの演技が光っているというのは言うまでもない。子供のある行動が大人に影響与えるということそれ自体は、映画としてはありがちなストーリーに思えるかもしれないが、それを実際に映画の中で展開するには子供がどれほどがんばって自分の頭で考え行動しているかを描く必要がある。 その意味では、子供のがんばりが大人に影響与えると言うジャンルの映画としては成功しているのは、本作と「オトナ帝国」ぐらいであると言って間違いない。常に新しい視点を獲得し続け、冷静な視点で映画を作り続ける是枝裕和はまさに現代の巨匠である。しかしその冷静な作品作りの中に血の通った人間のぬくもりが感じられるのは、まさに「奇跡」である。

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