映画『キツツキと雨』あらすじネタバレ結末と感想

キツツキと雨の概要:「雨でも…きっと晴れるさ。」をキャッチコピーに役所広司演じる木こりの男と小栗旬演じる新人映画監督が交流し成長していく様子をコミカルに描いた2012年公開の日本映画。沖田修一監督作品。

キツツキと雨 あらすじネタバレ

キツツキと雨
映画『キツツキと雨』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

キツツキと雨 あらすじ【起・承】

とある地方の人里離れた山村で木こりをする岸克彦(役所広司)は妻に先立たれ、現在ニートの息子浩一(高良健吾)と二人暮らしをしている。

職人気質で不器用な男である克彦は、仕事仲間からは信頼されていたが浩一とはうまくいっておらず衝突が絶えない。さらに最近は血糖値が高くなり、好物の甘いものも控え、ただ黙々と働いて家事をこなす日々を送っていた。

そんなある日、この山奥の村に映画の撮影隊がやってくる。監督は新人の田辺幸一(小栗旬)という25歳の青年で、助監督は田辺よりずっと年上の鳥居(古舘寛治)が勤めていた。

克彦は車が脱輪して困っている田辺と鳥居を助けたことで、ロケ地を案内する羽目になりついにはゾンビ役のエキストラとして映画へ出演してしまう。人生初の体験に克彦は何となくウキウキしていた。

ある晩、秘湯の温泉で克彦は田辺と出会い、東京へ帰るという田辺を駅まで送っていく。
田辺は監督としての自分に自信が持てずスタッフに遠慮ばかりしてしまい、逃亡しようとしていたのだ。

田辺は監督を辞めるつもりで自分の台本を克彦に渡し、一人で電車を待っていたが、後を追ってきた鳥居に捕まる。鳥居は長年助監督止まりで、若くして監督が出来る自分の環境に感謝のない田辺を本気で怒る。

克彦が家へ帰ると、浩一は東京へ行くと言って出て行ってしまう。腹の虫が収まらないところへ、田辺が台本を返して欲しいとやってくる。克彦はB級映画臭のプンプンするゾンビ映画の台本を読んで本気で感動しており、自信をなくしていた田辺は少し持ち直し、2人は互いに親しみを感じ始める。

キツツキと雨 あらすじ【転・結】

克彦は息子と同じ年頃の田辺のことが気にかかり、勝手に撮影現場を訪れ、元気のない田辺を励まそうと手作りの監督椅子をプレゼントする。
さらにエキストラが足りないことを知り、村の人たちに声をかけ田辺を助ける。

克彦のおかげで撮影は徐々に盛り上がり、田辺も少しずつ自分の想いを役者やスタッフへ伝えられるようになり、現場は活気づく。

克彦はスタッフの一員となり撮影に熱中していたが、そのせいで妻の三回忌のことをすっかり忘れてしまう。遠方から来た親戚を見て慌てて家に帰ると、法事の準備はすっかり済ませてあった。東京から浩一が帰ってきていたのだ。

その晩、いつもの温泉の食堂でおばちゃんが田辺に餡蜜をサービスしてくれる。田辺は撮影成功のための願掛けで甘いもの断ちをしていたが、克彦は田辺の口に無理矢理餡蜜を押し込み、殻を破らせようとする。

田辺は大御所俳優の羽場(山崎努)を迎えての撮影現場で自分が納得するまで撮影を続け、羽場から認めてもらい感動する。

克彦も法事の席で親戚からあれこれ説教される浩一をかばい、親子は信頼関係を取り戻す。

最後の撮影の日。ゾンビと村人たちが野外で戦うクライマックスシーンの撮影は、大雨のため中断する。中止か続行かで悩む田辺に克彦は“一瞬だけ晴れるぞ”と告げ、田辺は撮影続行を決める。そして、克彦の予言通り一瞬の晴れ間が現れ、撮影は無事に終了する。

後日、日常に戻った克彦の前には同じ作業着を着て朝ごはんを食べる浩一がいた。
そして田辺は、海辺で次の映画の撮影をしており、そこには克彦が作った重たい木の監督椅子が置かれていた。

キツツキと雨 評価

  • 点数:80点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★☆☆
  • キャスト起用:★★★☆☆
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★★☆

作品概要

  • 公開日:2011年
  • 上映時間:129分
  • ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
  • 監督:沖田修一
  • キャスト:役所広司、小栗旬、高良健吾、臼田あさ美 etc

キツツキと雨 批評・レビュー

映画『キツツキと雨』について、感想と批評・レビューです。※ネタバレ含む

さすがのベテランとちょっと残念な若手

この映画は木こりの克彦を演じた役所広司と新人監督の田辺を演じた小栗旬のダブル主演と言っていいだろう。

すっかり山奥の木こりになりきっている役所広司はやっぱりうまい。田舎のおっさんにしては男前だが、生活臭や野暮ったさをうまく表現し、この岸克彦という不器用な男の持つ魅力を最大限に引き出している。

一方、自信を失った新人監督を演じている小栗旬だが、どうも全体に綺麗すぎて彼の苦悩や生々しい人物像が伝わってこない。髪型や衣装のせいもあるのだろうが最後まで物作りをする人に見えないのだ。それは克彦の息子を演じた高良健吾も同様で、ダサいジャージ姿でも田舎の青年臭さがない。

2人ともどこか“男前でおしゃれな若手俳優っぽい雰囲気”のままだったことは、他の役者がいいだけに少し残念に思えた。

丁寧に作り込まれた細部

本作の脚本は映画らしい脚本で、テレビドラマのようにだらだらとした説明台詞がなくその点はとても心地いい。うまく小道具を使い人物の人となりや置かれている状況を観客に見せるコツを心得ている監督だなと感じる。

例えば、克彦がやたらと食べる味付けのり、手作りの将棋盤と飛車の代用品、逃亡したスタッフのかぶっていたニット帽をすっかりスタッフの一員になってしまった克彦がかぶっている等、細かいところに神経の行き届いた演出が随所に見られる。

全体にとても丁寧に映画を作っているなと好感が持てるし、コメディセンスもさりげなくて何度もクスッと笑えるシーンがある。

克彦の自宅や田辺の宿泊している旅館の部屋も細部まで作り込まれており、そういう小さなこだわりが映画ファンには嬉しい。

キツツキと雨 感想まとめ

この映画は確実に平均点を取れる優等生のような作品だ。

キャストは実力派のベテランから役所広司、伊武雅刀、平田満、山崎努、中堅から古舘寛治、若手の売れっ子からは小栗旬、高良健吾とバランスよく揃え、ストーリーも主人公の成長物語でありながら力みのないコメディで楽しめる。

ものすごく面白くて強烈な印象が残るわけではないが、観終わって“うん、面白かったよ”と大体の人が感じるようにできている。

それは評価に値することであるし、今の日本映画界の現状を考えればかなりの良作だと言えるだろう。

終始心穏やかに観られるほのぼのした映画なので、家族で楽しむのもいいだろう。

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