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映画『KOTOKO』あらすじネタバレ結末と感想

映画『KOTOKO』の概要:深すぎる愛情と壊れた心を持つシングルマザー琴子と、周囲との危うい関係を描いた作品。歌手のCoccoが映画初主演を務めた。メガホンを取ったのは、海外で高い評価を得ている塚本晋也。

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映画『KOTOKO』 作品情報

KOTOKO

  • 製作年:2011年
  • 上映時間:91分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ
  • 監督:塚本晋也
  • キャスト:Cocco、塚本晋也、黒沼弘己 etc

映画『KOTOKO』 評価

  • 点数:75点/100点
  • オススメ度:★★★☆☆
  • ストーリー:★★☆☆☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★★☆
  • 設定:★★★☆☆

映画『KOTOKO』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)

映画『KOTOKO』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

映画『KOTOKO』 あらすじ【起・承】

未婚のシングルマザーの琴子には、なぜか1人の人間が2人に見える。
自分が生きていいかを確認したくて、手首を切る癖がある。

琴子には幼い息子の大二郎がすべてだが、1人が2人に見えるせいで他人と付き合えなく、頼れる人もいないせいで心が壊れていく。
そして幼児虐待の疑いがかかり、琴子の姉が大二郎を預かることになった。

ひとり寂しい生活を強いられるが、姉から大二郎に会いに来ないかと誘われ、久々に楽しい時間を過ごす。
まだ琴子には大二郎と暮らす許可が下りておらず、ひとりの生活に戻る。

ある日、琴子の前に田中という男が現れる。
田中が2人に見えた琴子はパニックに陥る。
落ち着いた琴子に対し、偶然琴子の口ずさむ歌を聞いて一目ぼれしたという田中は、結婚を前提に付き合ってほしいと告げる。
彼は有名な小説家で大きな賞も受賞していた。

拒絶されてもめげずに、田中は琴子のもとに通い続ける。
会うたびに田中の手にフォークを突き立てる琴子の危うさに気付いた田中は、琴子の部屋に向かう。
彼女は手首を切っていて、田中は慌てる。

それでも琴子を諦めきれない田中は、琴子のすべてを受け入れる決心をする。

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映画『KOTOKO』 結末・ラスト(ネタバレ)

田中を受け入れるかどうか決められない琴子は、大二郎に決めてもらう提案をする。
そして琴子は田中と一緒に暮らし始めるが、琴子からの暴力を受けるようになる田中。

いつの間にか、琴子には1人が2人に見えることはなくなっていた。
そして大二郎と一緒に暮らす許可が出て、大喜び。
しかし、精神的に危うい琴子を守り続けるため、小説家をやめようとまでした田中が琴子の前から姿を消す。

大二郎とのふたりきりの生活に戻ったが、琴子には大二郎の姿が2人に見えるようになってしまった。
さらには、ニュースで見た銃を持った人物に襲われ、大二郎を目の前で殺されるという幻覚も見てしまう。
精神的に追い詰められた琴子は、お昼寝をしていた大二郎を殺そうとする。

ふと気が付くと大二郎の姿は無く、手作りの飾りつけが施された部屋にいた。
そして彼女の世界は白く染まっていった。

精神病院に入院している琴子。

ある日、彼女の息子が面会にやって来る。
大二郎は死んだと思っていたため戸惑う琴子の前に現れたのは、声変わり間近の少年だった。
また来る、と告げた息子を静かに見送った琴子。

映画『KOTOKO』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『KOTOKO』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

好き嫌いは分かれる

見る側を選ぶ作品で、生きる確認と説明こそされているが、自分で自分の手首を切る行為のリストカットは見ていて気持ちのいいものではない。
しかもそれが序盤から行われるため、掴みとしては最悪。
しかし経験した人や理解のある場合には感じ方が変わる。

物語が進むうちに、どれが現実でどれが幻なのかわからなくなっていく、不思議なストーリー。
兵隊に殴られた琴子の額には確かに傷がのこっているのに、殺されたはずの大二郎は生きている。
突然消えた田中はどこへ行ったのか、そもそも存在していたのかさえ疑問に思えてくる。

確実に暴力事件を起こしているのに捕まらない琴子や、小学校高学年くらいに見えるくらいに成長した大二郎と、年をとったように見せることをしなかった琴子の外見はツッコミどころ。

幼い大二郎を抱え「みんなはどうしているの」という琴子の声は、子育てに悩む母親たちの悲痛な叫び声のようなセリフだ。

歌手のプロモ映画ではない

琴子役を演じた主演のCoccoの本業は歌手だが、作中でも多くの歌が披露されている。
一歩間違えれば歌手のプロモーション映画になるだろうが、Coccoの演技力が高く、子育てに悩み自分自身にも悩む琴子を演じきっている。

しかし、やせ細ったCoccoがバレエに似たダンスを踊り歌うシーンの多さに、やはり“歌手Cocco”としての映画というイメージがついて回る。
その部分を切り離せなかったのが残念。

監督の塚本晋也は、他の監督作品「悪夢探偵」や「野火」と同様に、出演もしている。

美術も担当したCoccoの、色彩豊かな手作りの折り紙の世界と、塚本晋也の描く琴子に見える2人の人間の黒い感情という、世界観のぶつかり合いが印象に残る。


琴子のキャラクターはCoccoだから演じられたと思います。自傷行為と拒食症を公表している彼女の演技から伝わってきたのは、生きることの苦しさと、希望でした。
生きて良いのか確かめるための自傷行為。決して死にたくてリストカットする訳じゃないんです。経験したことがある人はわかると思いますが、切ることで生きていることを実感し、生きていいんだと言って貰えたような気持ちになるんです。
見る人によってはかなり不快に感じるかもしれませんが、私は好きな作品です。(女性 30代)

映画『KOTOKO』 まとめ

自傷行為と拒食症をカミングアウトし、歌手活動だけでなく絵本なども出版したシンガーソングライターのCocco(こっこ)と、自身の監督作品に出演することが多い鬼才、塚本晋也監督の共同作品のような映画。
第68回ベネチア国際映画祭で喝采を浴びた作品でもある。

リストカットする琴子の姿は一般的には受け入れがたいものだが、気持ちがわかる人なら違った感情が湧いてくるだろう。
歌を歌うCoccoのシーンは何度も出てくるが、歌手のプロモ映画にならず、ストーリーの中に歌うシーンがちょっと強引だが組み込まれているのは好感が持てる。

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