映画『くちづけ(1957)』のネタバレあらすじ結末 | MIHOシネマ

「くちづけ(1957)」のネタバレあらすじ結末

くちづけ(1957)の概要:50年代末〜70年代において、大映のエースにして日本映画界で最も優れた監督の1人であった増村保造のデビュー作。キャリア初期はテンポのいい演出が特徴であった。本作ではあまりにもテンポが良すぎて長編映画としての上映尺に届かず、追加撮影を施してやっと74分にしたというエピソードが微笑ましい。

くちづけの作品概要

くちづけ

公開日:1957年
上映時間:74分
ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ
監督:増村保造
キャスト:川口浩、野添ひとみ、三益愛子、若松健 etc

くちづけの登場人物(キャスト)

宮本欽一(川口浩)
大学生でパンの配達のバイトをしている。ひねくれた性格で喧嘩っ早い。両親は離婚して父と暮らしているが、気持ちは母の方に向いている。
白川章子(野添ひとみ)
絵画のヌードモデルをして生計を立てている。父は拘置所におり、母は入院中で金銭的に苦労している。
宇野良子(三益愛子)
宮本欽一の母。夫が政治に熱中しすぎて家庭を顧みなくなったことから離婚し、現在では宝石商をしており、経済的には潤沢。夫は憎いが、欽一は可愛い。
宮本大吉(小沢栄太郎)
宮本欽一の父。政治家で、選挙法違反で捕まっている。通算3度目の逮捕である。高慢で外部への見栄を気にする人物。
白川清子(村瀬幸子)
白川章子の母。現在は入院している。
大沢繁太郎(吉井莞象)
父は著名な画家で、金銭的には苦労していない。章子に好意があり、金にものを言わせて自分のものにしようと考えている。自宅の庭でベンチプレスをして上腕筋を鍛えるハードパンチャーでもある。
島村(入江洋佑)
宮本欽一の大学の同級生。実家は自動車修理を営んでおり、手伝いをしている。本人曰く「頭が弱い」。

くちづけのネタバレあらすじ

映画『くちづけ(1957)』のあらすじを結末まで解説しています。この先、ネタバレ含んでいるためご注意ください。

くちづけのあらすじ【起】

宮本欽一は父と面会するために小菅にある拘置所にやってきた。宮本は面会室に向かう途中、ある面会室から白川章子が泣きながら出てくるのを見る。宮本は面会室に入り、父と面会している。父は選挙違反のため勾留されているのだ。父は看守の前では偉ぶっているが、面会室を出る際に小声で欽一に保釈金を用意して釈放してほしいとお願いする。宮本は父の弁護士に保釈金について相談しようとするが、いなされて取り合ってもらえない。保釈金として10万円が必要なことは分かった。

宮本は帰り際に、白川章子が支払い所で父の食費が払えなくて困っているのを見て、金を置いて去っていく。白川は宮本を追いかけて支払い所のお釣りを返し、出してもらったお金を返したいので住所と名前を教えてほしいと言う。宮本は返さないでいいと言うが、白川はしつこく付いて来るので、受け取ったお釣りを競輪で大穴に賭けてみると見事的中。
料理屋で昼食を食べているとき、宮本と白川は紙ナプキンにお互いの名前と住所を書いて交換した。白川の父も拘置所で勾留されており、職場の金を横領して捕まったのだと言う。

宮本は友人の島村(実家で自動車修理を営んでいる)を訪ね、半ば強引に修理済みの客のバイクを借りていく。その際に白川を島村に紹介する。

くちづけのあらすじ【承】

バイクを飛ばして2人は江の島の海に行く。宮本は白川に水着と帽子を買ってあげ、海水浴とローラスケートをして楽しむ。

宮本はふとある女性がホテルに入っていくのを見かけ、白川を待たせてホテルに向かう。白川は待っている間に、仕事で付き合いのある大沢に「今晩付き合わないか」と絡まれる。大沢は白川の父が勾留されているのを知っており、自分と付き合えば保釈金となる10万円を出してやると言う。大沢の父は著名な画家で、10万円はいくらでも融通の利く額である。
宮本が追いかけた女性は、彼の母親で宝石商をしている。宮本は父の保釈金の工面をお願いするが、もう夫に愛はないという理由で断り車で去っていく。宮本は母の車のナンバーを先ほどもらった白川の住所が書かれた紙ナプキンにメモする。
白川がやって来て、宮本に母との関係を聞く。宮本の父と母は3年前に離婚しており、それ以来宮本はひねくれた人間になってしまったと言う。

その夜、ダンスホールに行った2人は大沢に絡まれ、宮本と大沢が取っ組み合いの喧嘩になったため宮本と白川は店を追い出されてしまう。
飲み屋で白川は宮本に「愛してる?」と聞くが、素直に答えてくれない。すねた白川は宮本とは別に帰ると言い、別れのキスを求める。しかし、「酔っぱらいは嫌いだ」と言って、白川を置いてバイクで帰ってしまう。

くちづけのあらすじ【転】

白川は母が入院する病院にお見舞いに行くと、入院費用が上がることを知らされる。白川の母は、夫が拘置所にいるのを知らされておらず、お見舞いに来てくれないことに不安を感じている。白川は、きっと今度の日曜日に父を連れてくると約束する。
宮本は公衆電話で東京自家用車組合に連絡し、昨日メモした母の車のナンバーを伝え、住所を聞き出す。そこに白川の住所も記された紙ナプキンのメモを置いて行ってしまう。
宮本は母を訪ね、10万円をねだる。母は宮本を抵当に入れるという条件で、10万円の小切手をくれた。

白川は職場であるモデル事務所から1ヵ月分の給料6800円を受け取り、10万円という額の大きさを痛感する。
宮本は弁護士のもとに行くが、父の保釈の件が一向に進んでおらず工面した10万円もまだ使えない。
白川はモデルとして大沢の父のもとを訪れた際、息子の大沢に10万円を求める。大沢は後で金を持って白川の家に行くと言う。
白川は不安になり、宮本の住所が書かれたメモを見る。

宮本がバーでやけ酒をして家に帰ると、女中から先ほど家を訪れた白川の置き手紙を渡される。宮本は白川に自分の小切手を渡せばいいのだと思いつくが、住所の書かれたメモが手元にないことに気付く。公衆電話のところへ行ったが見つからない。

くちづけのあらすじ【結】

雨が降り始める。白川の家に大沢が来る。
宮本は雨の中を歩き、再びバーに行く。バーには島村がおり、彼が白川を紹介した際に住所の書かれたメモを見ていたことから、何とか住所を思い出させようとする。島村は麻雀屋と同じ名前だったという理由で「紅梅荘」というアパート名を思い出す。宮本は電話をするもつながらないので、店を出ていく。

白川の部屋で、大沢は10万円を白川に渡す。大沢は強引に白川にキスを迫ってもみ合っていると、ドアがノックされる。白川がドアを開けると、入ってきたのは宮本。宮本は大沢に「下がんな。てめえみたいな豚野郎は大嫌いだよ」と言うと、殴られてボコボコにされる。宮本はビール瓶を叩き割り、「帰れ」と迫る。宮本の気迫に押された大沢は、10万円を拾って帰っていく。
宮本は大沢に「これで親父さんを出してやれ」と言って小切手を置いて去っていく。
白川は宮本を追いかけ、「なぜ私にくれるのか」と迫るので、宮本は「理由がなければ受け取れないのか」と白川にキスする。宮本が「これで理由ができただろう」と言うと白川に思い切りビンタされる。謝る宮本に、白川は泣きながら「愛してると言ってほしかった」と訴える。宮本は白川に「好きだよ。大好きだ」と伝えると、白川は泣き崩れる。

拘置所から保釈されて出て来た白川とその父。その様子を宮本と母が車内から見ている。母は車を走らせ、白川とその父を車に乗せる。

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